転職活動における行動特性調査 2023年版
- 転職活動で3人に1人がChatGPTなどの生成系AIを活用。活用方法は転職活動の相談相手など多岐にわたる
- 生成系AIを活用した人は、活用しなかった人に比べ、内定獲得率・社数ともに2倍以上高い結果に
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、正社員の20代~50代男女のうち、直近1年間(2021年6月以降)に転職活動をした1,600名(①すでに新しい職場に転職した「転職者:800名」、②まだ転職活動を終えていない人「転職活動者800名」)を対象とした「転職活動における行動特性調査2022年版」を発表。なお、本調査は2020年から実施し、今回で4回目となります。
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トピックス
- 転職活動を行った人のうち3人に1人が転職活動でChatGPTなどの生成系AIを活用。活用方法は選考書類の作成補助だけでなく、仕事のマッチング・転職活動の仕方の相談など、多岐にわたる【図1、2、3、4】
- 転職活動で生成系AIを活用した人の内定獲得率と内定獲得社数はAIを活用しなかった人の2倍以上に【図5】
- 将来的に管理職や役員になりたくない人は過半数以上。女性の4割以上は管理職・役員ともに「全くなりたくない」と回答し、男性より15pt以上高い結果に【図6】
- 長期継続的に就業するためには「働きがい」より「働きやすさ」を重視。仕事の充実感を得るためには「働きやすさ」より「働きがい」を重視【図7】
調査詳細
転職活動時の生成系AI活用の有無
直近1年間(22年6月~23年7月)に転職活動を行った人の32.6%がChatGPTなどの対話型生成系AIを活用したことがわかった。【図1】
【図1】転職活動時の生成系AI活用の有無

転職活動時の生成系AIへの質問内容と活用方法
実際の質問内容・活用方法では、「自己PRの作成」が33.4%で最も高いが、「自分に合う仕事のマッチング」「転職活動の仕方」がトップ5に入るなど、生成系AIの活用は書類作成や添削だけでなく、転職活動の相談相手としても活用されているようだ。【図2】
【図2】転職活動時の生成系AIへの質問内容と活用方法

転職活動の総合的な難易度意識
転職活動時の生成系AI活用の有無ごとに転職活動の総合的な難易度について聞いてみると、活用した人では「簡単だった」が45.3%になる一方で、活用していない人は25.1%に留まり、生成系AI活用の有無により、転職活動の難易度意識に大きな差がある。【図3】
【図3】転職活動の総合的な難易度意識

転職活動フローごとの難易度意識
また、転職活動のフロー別で、「簡単だった」の差が最も大きいのは「条件面談(条件交渉)」が22.2pt差(活用した:38.6%、活用していない:16.4%)となり、書類選考や面接選考だけでなく、条件面談(条件交渉)など転職活動ならではの場面でも、生成系AIの活用有無により難易度意識に大きな差が出る結果となった。【図4】
【図4】<生成系AI活用有無別>転職活動フローごとの難易度意識

生成系AIの転職活動への影響
直近1年間(22年6月~23年7月)に転職活動を行い転職した人の選考状況を生成系AI活用の有無別にみると、応募数の平均・書類選考通過数の平均・内定獲得数の平均いずれも生成系AIを活用した人の方が多かった。
特に内定獲得数の平均は4.6件(活用していない人との差:2.8件)で、活用していない人より2.5倍以上多い。また、生成系AIを活用した人の内定獲得率は27.1%に対し、活用していない人は12.0%で、2倍以上の差が出る結果となった。
転職活動の難易度意識だけでなく、内定獲得数や獲得率でも差は出たが、活用方法次第では、自分の個性や本質的な強みに気づけず、画一化されてしまう恐れもあるため、今後AIとの付き合い方はより重要になってくるだろう。【図5】
【図5】求人応募数・書類選考通過数・内定獲得数(数値回答)

将来的な管理職意向・会社役員意向
現在役職に就いていない一般社員に対し、将来的に管理職や役員になりたいかを聞いたところ、「管理職になりたくない」は59.5%、「役員になりたくない」は65.5%となり、管理職・役員ともに6割程度の人が前向きではないことがわかった。
性別でみると、女性の7割以上が「管理職・役員ともになりたくない」と回答しており、そのうち「全くなりたくない」は管理職・役員ともに4割を超える一方で、男性は2割台に留まっており、その差は15pt以上となった。
政府は時期を区切り、女性の管理職比率や役員比率の数値目標を定めたが、男女の区別なく、将来的に管理職や役員を目指したいと思える制度や組織作りなどを優先することが重要だと考えられる。【図6】
【図6】将来的に管理職や会社役員になりたいと思うか

働きやすさと働きがい
仕事をする上で、「働きやすいこと」「働きがいが持てること」のどちらが重要となるかについて、5項目別にきいたところ、「働きやすいことが重要」が最も高かったのは「長期継続的に就業するため」で62.8%(働きがいとの差:27.7pt)となった。
反対に「働きがいを持てることが重要」が最も高かったのは「仕事の充実感を得るため」で51.8%(働きやすさとの差:6.6pt)となった。その他の項目で、「働きがい」より「働きやすさ」が高いのは「個人の労働生産性を上げるため」が56.1%(働きがいとの差:15・2pt)、「仕事のモチベーションを高く維持するため」が52.6%(働きがいとの差:7.4pt)となり、反対に「働きやすさ」より「働きがい」が高いのは「自律的なキャリアを築くため」が49.2%(働きやすさとの差:2.0pt)となった。
仕事をする上で、働きやすさや働きがいはともに重要ではあるが、働きやすさの方が、より重視されている様子がうかがえる。【図7】
【図7】働きやすさと働きがいはどちらが重要か

調査担当者コメント
転職活動においても生成系AIの利活用が広がりつつあり、活用方法も多岐に渡っていることがわかりました。また、AI活用者と非活用者では、転職活動の難易度意識、実際の内定獲得数などに大きな差が出ているようです。
AI活用者にはデジタル分野への感度が高く、ITリテラシーの高い人材が多いことも要因の一つと考えられます。生成系AIの活用方法には留意すべき点もありますが、求人・転職サービスや働き方も多様化するなか、生成系AIは個人が持つ様々な希望を叶える新たな転職活動のサポーターとして、今後も利活用が進んでいくものと考えられます。
また、今回の調査結果から、将来的に「管理職や役員になりたくない」人が過半数を超えていることがわかり、特に女性においてその考えが多い結果がみえました。政府では多様な人材が活躍できる社会を目指し、女性の管理職比率や役員比率の数値目標を定めていますが、このような管理職や役員に「なりたくない」という多様な価値観も踏まえた上で、将来的に管理職や役員に「なりたい」「なれる」と思える施策を議論していくことが重要だと考えます。
キャリアリサーチラボ研究員 関根貴広
調査概要
内容 | 転職活動における行動特性調査 2023年版 |
---|---|
調査期間 | スクリーニング調査: 2023年7月6日(月)~7月12日(木) 本調査: |
調査対象 | 正社員として働いている20代~50代の男女のうち、直近1年間(2022年6月以降)に転職活動をした方 |
調査方法 | インターネット調査 |
有効回答数 | ①転職者 800s (転職をした) ②転職活動者 800s |
レポート内目次
- 転職サービス利用実態
- 転職活動の実態
- 転職理由・こだわり・勤務先決定理由
- 転職活動・転職サービスで得られた情報満足度
- 「働きやすさ」と「働きがい」 /今後1年以内の転職意向
- リモートワーク・在宅勤務
- その他の企業施策への意識
詳しくは下のPDFデータをご覧ください
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