マイナビ キャリアリサーチLab

女性活躍の現状(2021年)
~女性のキャリア選択肢を増やすために~

非正規雇用で働く女性は男性の約3倍。役職者の女性比率は2割に届かず

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:中川信行)は、3月8日(月)の「国際女性デー」に合わせ、『女性活躍の現状に関するレポート』を発表した。
本レポートは2020年9月に実施した「マイナビ ライフキャリア実態調査」をもとに、女性の雇用や仕事、ライフイベントなどに関する調査・考察をまとめている。

◆ 調査概要

目的 就業・非就業に関わらず就業状態の変化の実態と傾向を明らかにする
調査期間 2020年9月24日(木)~9月29日(火)
調査対象 15歳以上の男女
調査方法 インターネット調査
有効回答数 14,333名

◆ TOPICS

コロナ禍においても依然人手不足は続いている

弊社調査によると2020年8月時点採用担当者の48.5%が「正社員が不足している」と回答したが【図1】、政府統計によると生産年齢人口は減少予測。働き手として「女性活躍」が注目されている。実際に女性を中心に働く人は増加しているが、「女性活躍」にはいくつか課題が見られた。【図2】

【図1】有効求人倍率が低下している一方、以前人手不足感は続く

マイナビ ライフキャリア実態調査・女性活躍の現状/有効求人倍率の低下・人手不足感

【図2】働く女性は増加している

マイナビ ライフキャリア実態調査・女性活躍の現状/働く女性は増加

女性の非正規雇用率の高さ、管理職割合の低さが課題

2020年8月時点で男女の働き方の差をみると、働く男性のうち非正規雇用は16.8%だったのに対して、働く女性のうち非正規雇用は48.5%と3倍近い割合だった。【図3】また日本の女性管理職割合は諸外国と比べても低く、14.9%。2020年までに30%という政府目標数字は未達成である。【図4】

【図3】働く女性の非正規雇用割合は48.5%と男性の約3倍

マイナビ ライフキャリア実態調査・女性活躍の現状/働く女性の非正規雇用割合は48.5%と男性の約3倍

【図4】日本の女性管理職割合は12ヵ国中11番目の14.9%

マイナビ ライフキャリア実態調査・女性活躍の現状/日本の女性管理職割合は12ヵ国中11番目の14.9%

20代の正社員率は男女変わらず。女性の正社員採用は進んでいる

30代以降は初職から正社員比率に差があったが、20代は見られなかったため、
新卒採用など雇用の入り口においては雇用の平等が進んでいると考えられる。【図5】
一方、女性20代に対して女性30代以上は非正規雇用率が高かった。
また第1子が4~6歳で正社員で働いている女性の割合が減り、7~9歳で非正規雇用で働いている女性の割合が増加している。また30代女性は働いていた日も「家事を8時間以上していた」が10%以上だった。仕事と家庭の両立が女性活躍が進まない理由のようだ。【図6】

【図5】20代女性就業者の正社員割合は、男性全体とほぼ同じ

マイナビ ライフキャリア実態調査・女性活躍の現状/20代女性就業者の正社員割合は、男性全体とほぼ同じ

【図6】30代女性正社員の家事時間は働いていた日も8時間以上が12.6%

マイナビ ライフキャリア実態調査・女性活躍の現状/30代女性正社員の家事時間は働いていた日も8時間以上が12.6%

管理職を選択できない状況にあるのではないか

特に20代女性は自己成長に意欲的で主体的であったが【図7】、勤務時間が長くなる管理職を選択できないのではないかと考えられる。実際に、最も勤務時間が長い「課長級」の女性比率がすべての役職の中で最も低かった。

また、「今後転職したい」と答えた男女にその理由を聞いたところ、30代女性は特に「仕事と家庭を両立できる制度・環境が無いため」を答えた割合が高く、30代男性と10pt近く差があった。
仕事と家庭の両立のために、管理職を目指すのではなく、働く時間や場所が柔軟な非正規雇用の働き方を選んでいるのではないかと考えられる。

【図7】20代女性正社員は「今後さらに自分を伸ばし高めたい」という意欲が高い

マイナビ ライフキャリア実態調査・女性活躍の現状/20代女性正社員は「今後さらに自分を伸ばし高めたい」という意欲が高い

【図8】今後「転職したい」と答えた理由は「仕事と家庭を両立できる制度がないため」

マイナビ ライフキャリア実態調査・女性活躍の現状/「転職したい」理由は「仕事と家庭を両立できる制度がないため」

現在働いている正社員の女性を育て、管理職になれるような環境づくりを

まずは制度導入の前に、業務の可視化を行い、属人化を少なくすることで、男女問わず社員が柔軟な働き方をしても生産性が落ちないようにすることが重要だ。そのうえで働く日、時間、場所を柔軟に選べる制度を導入する。例えばテレワークで通勤時間を削減し家事や育児の負担を減らすことで、女性の勤務継続を促す。
そして制度を入れるだけでなく、定着、継続運用していくために、意識改革をするなど、ハード面だけでなくソフト面も変えていくことが重要だ。【図9】

【図9】現在正社員で働く若手女性が管理職を目指せるようにする3つのステップ

マイナビ ライフキャリア実態調査・女性活躍の現状/正社員で働く若手女性が管理職を目指せるようにする3つのステップ

◆ INDEX

■ 調査概要
■ ウェイトバック集計について
■ サマリー
■ 今後の課題・対策
■ 第1章  働く女性の概況
■ 第2章 女性活躍が進まない理由
■ 第3章 ライフキャリア実態調査から見える具体策

キャリアリサーチLab研究員 朝比奈 あかり

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