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Z世代のSNS就活

マーケティングの対象として注目されている「Z世代」は一般的に1996年から2010年ごろに誕生した若者たちとされ、2021年現在では11~25歳という年齢に属している。(明確な定義はなく、この区切りには諸説あり) 

つまり、新卒として就職活動を行う大学3年生・大学院1年生の学生の多くがこの世代なのだ。 

そのため、新卒の採用活動においても「Z世代」の志向が意識されている。Z世代の特徴はさまざまあるが、本コラムでは、特に「SNSネイティブ」という特徴に注目して、SNS就活について掘り下げたい。 

「SNSネイティブ」とは 

まず、モバイルデバイス(情報通信機器)の利用状況について確認する。 

23年卒として就職活動を行う予定の現役大学3年生の生まれた時期は概ね2000~2001年とすると、Z世代のなかでは年上となるため、「生まれたときからスマホがある」状態ではないが、小学生の頃、急激にスマートフォンが普及していった世代であることはわかる。中学生になる頃には、7割の世帯がスマートフォンを保有しているような状態だった【図1】。友人とのネットワークが急速に広がる中学生や高校生の年齢になる頃にはスマートフォンが当たり前に手元にあった人も多かっただろう。 

【図1】主な情報通信機器の保有状況推移 『通信利用動向調査(総務省)』  より筆者作成

マイナビで行っている「2022年卒大学生のライフスタイル調査」によると、約半数が中学3年生までに「LINE」を使い始めたと回答しており、利用し始めた時期としてもっとも多いのは「高校1年生」だった。22年卒は一つ上の学年だが、彼らもまたZ世代だ。こうした状況からもわかるように、Z世代は「デジタルネイティブ」「スマホネイティブ」「SNSネイティブ」などと呼ばれ、それ以上の世代に比べると、デジタルリテラシーが高いと考えられている。  

【図2】LINEの利用開始時期『2022年卒大学生のライフスタイル調査』

就活にSNSを使うことへの拒否感は無いのか 

筆者は40代で、X世代からY世代へ移り変わる時期の生まれなのだが、友人や家族など親しい人とのやり取りでSNSを利用することは日常的に行っている。しかし、かなりパーソナルな利用が前提なため、就活にSNSを使うことに拒否感は無いのだろうか、と感じてしまう。先ほど紹介した「大学生のライフスタイル調査」では毎年「就職活動において実名を伴ったソーシャルメディア・SNSをどの程度、活用したいですか」と聞いている。 2011年に実施した2013年卒学生向け調査では、「積極的に活用したい(7.8%)」と「一定の範囲で活用したい(21.7%)」と合わせて、「活用したい」との回答は29.5%だった。 一方で、2020年に実施した2022年卒向け調査では「積極的に活用したい(17.0%)」と「一定の範囲内で活用したい(47.5%)」を合わせると、64.5%が「活用したい」と回答している。こうしてみると、この10年ほどで、就活にSNSを活用したい人と、活用したくない人の割合がほぼ逆転していることがわかる。 

【図3】就職活動において実名を伴ったソーシャルメディア・SNSを、どの程度活用したいか
『2022年卒大学生のライフスタイル調査』『2013年卒大学生のライフスタイル調査』 

次に、上記の質問に「活用したい」と回答した学生に限定してその利用目的を聞いた結果を比較する。いずれも「企業ページを閲覧」が最多で、一番の利用目的は「情報収集」であることは変わっていない。しかし、「コメントして自己アピール」は9.6%(13年卒)から14.3%(22年卒)と4.7pt増、「人事担当者とつながる」は20.3%(13年卒)から27.2%(22年卒)と6.9pt増、「OB・OGとつながる」は11.1%(13年卒)から25.3%(22年卒)と14.2pt増となっており、活用の幅が広がっている様子がうかがえる。 

【図4】就職活動におけるソーシャルメディア・SNSの活用方法はどのようなものにするつもりか(複数回答) 

2023年卒大学生のSNS活用状況 

では2023年卒の学生の状況はどうなっているのだろうか。 

2021年10月に実施した「2023年卒インターンシップ&就職活動準備実態調査」によると、62.7%がSNS・ソーシャルメディアでインターンシップや就活に関する情報収集を行っていると回答しており【図5】、利用しているメディアとしては「LINE(オープンチャット)」が最多で51.9%とだった【図6】。なかには、「情報を見ると他人と比較してしまうので就活サイト以外は見ないようにしています。」という意見もあったが、企業が発信する情報だけでなく、「面接・ES対策の効率的なやり方」を知ることができるとして就活系YouTuberの動画を見ているという声も見られた。 

【図5】SNS・ソーシャルメディアでインターンシップ・就活情報を収集しているか『2023年卒インターンシップ&就職活動準備実態調査』 
【図6】インターンシップ・就活関連情報の収集に使用しているもの
『2023年卒インターンシップ&就職活動準備実態調査』

SNS・ソーシャルメディアで頻繁に見たり、使ったりするハッシュタグや検索キーワードは以下のとおりである。企業が公式に発表している情報はもちろんだが、学生同士のつながりや、公式サイトには出てこない情報をキャッチアップしたいという気持ちが垣間見える。 

ただ、SNSの活用については積極的な姿勢だが、無防備に利用しているわけではなさそうだ。同じ調査で「インターンシップ参加や就職活動に向けてSNSの利用方法を見直したことがあるか」と聞いたところ、「今までも匿名や非公開で使っていたため見直しはしていない」が最多で38.8%、次いで「(見られて困ることは無いので)今まで通り実名で利用している」が34.1%だった。プライベート利用を想定している場合は元から匿名や非公開で使うなどの対策を行っていたり、ある程度、人から見られることを想定した発信をしたりしている人が多いようだ。【図7】  

【図7】インターンシップ参加や就職活動に向けてSNSの利用方法を見直したことがあるか
『2023年卒インターンシップ&就職活動準備実態調査』 

冒頭で、Z世代はマーケティングの対象として注目されていると述べたが、Z世代をターゲットとした商品・サービスが今後さらに開発されることになるだろう。つまり多くの企業にとって、Z世代の心をつかむことは新卒採用という文脈以外でも極めて重要であり、顧客としてのZ世代との接点にSNSを活用することはもはや必須だといえる。そう考えると、今後のビジネス展開を見越してSNSリテラシーの高い人材を採用する必要があり、SNSを活用した採用活動は単に学生との接触機会をもつというだけでなく、彼らのSNSリテラシーを確認するためにも有効な手段だと言えるだろう。

急速に広がったSNSの利用にはフェイクニュース、誹謗中傷などの社会問題も多く、個人情報保護の観点からも課題は多い。しかし、SNSによって、一般の市民だれもが世界に向けて発言することができたり、情報や人とのつながりが容易になったりするなどメリットも多いのだ。どんなツールにもメリット・デメリットがあるのは当たり前であり、利用者側のリテラシーを磨くしかないだろう。そういう意味でもZ世代のSNSリテラシーの高さに素直に学び、私も新しいコミュニケーション手段を活用していきたいと思う。 

主任研究員 東郷こずえ

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