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オンライン採用での内定辞退を防ぐために―学生の心を掴むには?

はじめに:2022年卒学生の採用活動の現状

2020年からの新型コロナウイルス感染拡大の影響で、新卒採用はオンライン化せざるを得ない状況となり、採用活動の形式は大きく変化した。実際に、2022年卒の就職活動生は、6月中旬時点で入社先を決めた学生のうち42.6%が「説明会~最終面接まで全てWEB形式だった」と回答している(※1)。
また、この調査の1か月半前(2021年4月末)からは、一部地域で3度目の緊急事態宣言下となり、最終面接が予定されていた学生のうち30.2%は面接形式が対面からWEBに変更された(※2)。そのため、最終面接で会社を訪問するはずが、急遽WEB選考のみで入社先を決めることになった学生もいると考えられる。2022年卒の就職活動生の中には、インターンシップや面談などでも対面の機会がなく、会社に一度も訪問せずに入社を決めることとなった学生もいるはずだ。さらに、2023年卒以降の新卒採用においても、WEBの利便性が活かせるフェーズではオンライン選考は残ると推測される。

では、オンライン選考において学生から入社先として選ばれ、内定辞退されてしまうことなく新入社員として入社してもらうために重要な点とは何なのか。今回は学生へのアンケート結果から分かる、“オンライン採用でも学生の心を掴む企業のポイント”を探っていく。
※1、※2「2022年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)」より


入社先の決め手、「志望度」をあげるには?

まずは、「入社先を決めた理由について」の調査結果から、入社先の決め手となりえるポイントを見ていく。学生の回答を見ると「説明会で興味を持ち、選考を経て志望度があがったから」という理由がもっとも多く、選考過程がWEBでも対面でもこの割合は大きくは変わらない(図1)。つまり、WEB選考で入社先を決めた学生が総じて最初から志望度が高かったというわけではなく、選考を経て志望度があがったことで入社を決めている場合が多いことが分かる。

(図1)入社先を決めた理由

2022年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)

では、選考において、どのような工夫が学生の志望度を上げるのか。「入社意思がもっとも高い企業について、選考当初から志望度が変化した理由」への自由記述のコメントから、オンライン採用において学生の志望度を上げるために重要なポイントを探っていく。

志望度の向上につながる工夫 <1> :学生目線の細やかな対応を意識する

学生の自由記述を見てみると、志望度が上がった学生からも下がった学生からも”企業の対応”に関する意見が見られた。

WEB選考においては、会社の雰囲気を実際に体感していないために、事務的なやりとりから受ける印象が企業のイメージにより強く影響すると考えられる。具体的には、連絡の早さや選考フローが明確になっているかどうかといった点が印象を左右するようだ。また、WEB選考ならではの内容として、通信環境などのトラブルへの対応も学生が注目していることが分かる。トラブルが発生した場合でも臨機応変に対応できるよう、対処法を事前に検討しておくなど、学生が“この企業は志望学生とのつながりを大事にしている”という実感を持てる細やかな対応をすることが好印象、ひいては志望度に影響するといえる。

志望度の向上につながる工夫 <2> :企業理解を深める機会を十分につくる

その他、志望度が上がった学生の記述からは「企業の理解が深まったから」という意見が多くみられる。

反対に志望度が下がった学生の意見では「ネガティブな評判・口コミを見たから」という声が見られた。

これは純粋に、企業情報を知っていく中でその学生にとって合う企業/合わない企業であることが分かっただけ、という可能性もある。しかし、選考過程で十分に企業情報が得られず、説明会や面談での質問機会も少なかった学生が、口コミなど第三者からの情報を得ようとしてしまい、悪い評判を見て不安に陥ってしまっているとも考えられる。企業にとって弱点となるような情報でも、企業の採用担当や社員自身から一次情報として正しく伝えることや、学生からの質問時間をとることが重要であるといえる。また、情報そのものと同じくらい“情報を十分に伝えようとする誠実な姿勢”が信頼を生むといえる。

内々定後の学生の不安を払拭するには?

選考を進めて内々定を出したら、続いて学生に入社先として選んでもらうこと、そして入社までの期間に辞退されてしまうことがないように学生の不安感を取り除くことが重要である。そこで、「入社先の企業を決める上で不安なことはあるか」という質問への学生の自由記述から、オンライン選考後、入社までの不安感を払拭するために重要なポイントを探っていく。

不安感をなくす工夫 <1> 内々定者をどう評価しているか伝える

学生の声を見てみると、「自分を理解してもらえているか分からない」「実際に会ったときにどう思われるか不安」という回答が多かった。

また、6月末調査では「内定者フォローの面談で何を話したことで不安が軽減されたか」という質問で「具体的な業務内容」「待遇」の次に「適性について」の割合が高かった(図2)。

オンラインでは対面で話しているときよりも聞き手の雰囲気を掴みづらいため、手応えを感じづらいと考えられる。企業が学生を理解できている場合でも、学生は自分がきちんと理解されて評価されているという実感が得られずに不安になりやすいようだ。選考過程で面接のフィードバックをしたり、内々定出し後に学生の適性をどう見ているかなどを伝えたりすることで、学生が“企業から必要とされている”という実感を得られるようにすることが重要といえる。

(図2)【もっとも不安が軽減されたフォローが「面談」だった人限定】
何を話したことで不安が軽減されたか ※上位10項目を抜粋

2022年卒 大学生 活動実態調査 (6月)

不安感をなくす工夫 <2> :職場環境・同僚への理解を深める機会をつくる

その他、不安についての学生の回答からは「自分が働く姿がイメージできない」「同期や他の社員にどんな人がいるのか分からず不安」という意見も見られた。

オンライン就活により実際に企業を訪問する機会がない場合、オフィスの立地や建物の雰囲気を実感していないことで、自分がその企業で働くイメージを持ちづらくなることは理解できるだろう。また、オフィスを訪問して人事担当者以外の社員とすれ違ったり他の就職活動生の様子を見たりする機会がないため、一緒に働く同期や先輩社員の人となりが分からないという不安も、実際に働くイメージがつかないことにつながると考えられる。
できれば対面で会社を訪問する機会をつくること、もしくは、選考で実施していたとしても再度、WEB等で職場見学を行うなど職場を知るための機会づくりが重要だ。また、先輩社員・同期との交流については、なるべくさまざまな人と、複数回の機会をつくることで学生にとって十分な交流になるようだ。

まとめ

オンライン選考では、学生は説明会・面談・面接の前後に自由に職場や社員の様子を見たり、雰囲気を体感したりすることができず、企業が画面を通して見せている部分しか見ることができない。そのため、学生が必要としている情報を意識的に伝えていくことが重要だ。具体的には下記のような点を意識して、学生が志望度を上げながら選考に進み、入社できるような採用活動を行うことが、よい採用につながると考えられる。
2021年卒、2022年卒の採用活動でオンラインの利便性を実感し、今後も利用を考えている場合は、オンライン採用の弱点を補う工夫を盛り込み、特性を活かしきれるような採用フローをつくることを検討してみてはどうだろうか。

研究員 沖本 麻佑

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