マイナビ キャリアリサーチLab

「転職活動」はこう変わった!
ウィズコロナを生き抜くための3つのヒント

「転職活動」の今…

はじめに

新型コロナウイルスが「転職活動」に与えた変化について、景況感の悪化からネガティブなイメージを持つ方も多いのではないだろうか。しかし、調査結果を分析していくと、ポジティブな変化も確かに存在していることがわかった。本コラムでは、コロナ禍で転職活動はどのように変化したのか、そして変化していく中で理想のキャリアを築くにはどうすればよいのか、考察していきたいと思う。

企業の採用ニーズは復調傾向

新型コロナウイルスの影響により、2020年前半は有効求人数が減少。マイナビ転職上の求人掲載数も2020年4~5月は前年同月比6割ほどになるといった影響が見られた。しかし2020年6月以降は徐々に前年水準に戻り、2020年の平均月間掲載数は2019年の約1割減に留まった【図1】。

2021年2月にマイナビが企業向けに行った調査では約9割が「2021年は経験者または未経験者の中途採用に積極的になる」と答えている【図2】。実際にマイナビ転職のサイトデータでは、2021年4月の掲載数は2018年の平均月間掲載数を超えており、採用ニーズは復調傾向を見せている。厚生労働省が発表している月間有効求人数も2020年6月以降、徐々に上昇している【図3】。

【図1】マイナビ転職『掲載数』の月次推移(前年同月比)

※出典:マイナビ「正社員求人掲載数・応募数推移レポート」より
https://career-research.mynavi.jp/post/reserch_cat/entry-report/

【図2】今後1年間の中途採用の見通し

※出典:マイナビ「中途採用状況調査2021年版(2020年実績)」より
https://career-research.mynavi.jp/post/reserch_cat/career-survey2/

【図3】有効求人倍率の月間推移

※出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」をもとにマイナビが作成
https://career-research.mynavi.jp/market/#data05

求職者の動きは徐々に活発に

2020年前半、有効求職者数は新型コロナウイルスの影響で増加したが、リーマンショック程の影響は見られなかった。マイナビ転職上の月間応募数は、2020年5~6月こそ前年同月比8割ほどと、転職活動に慎重な姿勢も見られたが、2020年7月以降は徐々に応募数が増加し、2020年の平均月間応募数は2019年の約1割増となった【図4】。

2021年2月にマイナビが個人向けに行った調査では、転職を行った理由について「会社倒産やリストラ、ハラスメント等の非自発的理由があった」が上位に上がり、前年に比べて転職を余儀なくされた人が増加していた【図5】。しかし、新型コロナウイルスの影響と思われる会社倒産などの「非自発的理由」で転職した人も、全体の傾向と同様に転職後の仕事に満足している傾向があった【図6】。

【図4】マイナビ転職『応募数』の月次推移(前年同月比)

※出典:マイナビ「正社員求人掲載数・応募数推移レポート」より
https://career-research.mynavi.jp/post/reserch_cat/entry-report/

【図5】2020年に転職した人の転職理由TOP7(単一回答)

※出典:マイナビ「転職動向調査2021年版」より
https://career-research.mynavi.jp/post/reserch_cat/trend-survey/

【図6】転職後の仕事に満足しているか

※出典:マイナビ「転職動向調査2021年版」より
https://career-research.mynavi.jp/post/reserch_cat/trend-survey/

売り手市場感は緩まりつつも続く

企業の採用ニーズは復調傾向にあり、将来的に人口構造の変化で生産年齢人口が減少すること、そして人材の流動化を政府が促進していることから、中途採用市場における売り手市場感は緩まりつつも今後も続いていくと考えられる。

一方で、コロナ禍で「転職活動」にはさまざまな変化が生まれた。その変化はキャリア形成にどのような影響を与えるのか?中途採用活動を行っていた企業、転職活動を行っていた個人の動向から、ウィズコロナにおいて理想のキャリアを築くヒントを考察していきたい。

ウィズコロナを生き抜く3つのヒント…

1.  選択できるキャリアの幅が広がった

新型コロナウイルスの影響によって、雇用のあり方や働き方に変化が生じた。マイナビが実施した求職者向け調査では、「転職は前向きな行動である」という意見が3年連続で上昇【図7】。2020年に転職をした人の約7割が転職に対してポジティブなイメージを持っていた。政府により人材の流動化政策も促進されていることから、「転職はキャリア形成のために必要なもの」として世間に認識されつつあるのではないだろうか。

新型コロナウイルスの影響によって、各業界における景況感に差が生まれた。雇用を守るための一手法として従業員シェアリングが注目されている(参考:コロナ禍で注目される「従業員シェア(雇用シェア)」の新たな可能性)。また、副業・兼業にも注目が集まっている。2020年の1年間で中途採用を行った企業のうち、47.8%が自社の従業員に副業・兼業を認めている。特に「フードサービス」業界は自社の従業員に副業・兼業を認めている割合が77.8%と、ほかの業界よりも高い傾向が見られた【図8】。

働き方に生じた変化としては、多くの企業で在宅勤務をはじめとする、リモートワーク制度が導入されたことが挙げられる。コロナ以前に比べて働くことに対する場所の制約が弱まり、その制約のために諦めていたキャリアに挑戦することも可能となった。

コロナの影響によって、転職という選択肢へのハードルが下がっただけでなく、1つの会社に在籍しながらもさまざまな会社で働く経験ができるようになり、キャリアの選択肢が広がりつつある。

【図7】転職への意識

※出典:マイナビ「転職動向調査2021年版」より
https://career-research.mynavi.jp/post/reserch_cat/trend-survey/

【図8】企業の副業・兼業の認可、受け入れ状況

※出典:マイナビ「中途採用状況調査2021年版(2020年実績)」より
https://career-research.mynavi.jp/post/reserch_cat/career-survey2/

2.  情報収集の幅が広がった

新型コロナウイルスの影響によって、面接をはじめ、合同企業説明会などさまざまなイベントがWEB化された。マイナビが求職者向けに行った調査では、WEB面接の経験率は前年の約2倍となっている【図9】。また、新型コロナウイルスの影響が強まる以前から職場の風景や仕事内容などを、動画コンテンツで紹介する動きが高まっており、WEB上の情報が豊富になっている。

新型コロナウイルスの影響前、希望勤務地から離れた場所に住んでいる人は、情報収集や転職活動に多くの時間や金銭をかける必要があった。しかし新型コロナウイルスの影響でWEB化が進んだことにより、自宅にいながら、交通費などの費用をかけることなく情報収集や転職活動をすることが可能となった。居住地による情報取得量の格差は減少しつつある。

もちろん、PCを持っているか、通信環境が整っているか、といったWEB環境によって情報取得量に差は生じるが、金銭や物理的な距離のハードルが下がったという点で、情報収集の幅は広がっているといえるだろう。

【図9】2020年転職者のWEB面接経験率

※出典:マイナビ「転職動向調査2021年版」より
https://career-research.mynavi.jp/post/reserch_cat/trend-survey/

3. コロナ禍で転職して満足している人は変化に積極的に適応した人

新型コロナウイルスの影響があった2020年の1年間で転職した1,500名のうち、転職後、仕事に満足している人は48.5%だった。その中で「非自発的理由」で転職した人も、41.4%の人が転職後の仕事に満足していた【図6】。

満足度が高かった人たちの特徴としては、WEB面接や動画エントリーシート、AI面接などといった、比較的多彩な手法を使って転職活動をしていることなどが挙げられる。一方、満足度に大きな差が見られなかったのは、年代や異業種への転職率だった【図10、11】。

以上のことから、転職後の満足度は、年齢性別や転職先の業務の経験値によらず、いかに積極的に情報収集を行い、行動し、自分の理想に合う企業を見つけられたかによって異なるようだということがわかった。新型コロナウイルスの影響によって元の職場を継続できなくなったとしても、これまで指摘してきたような変化に対応し、ピンチをチャンスと捉えて積極的に活動した人が満足いく転職をしている。

【図10】転職後の仕事満足度別にみたWEB面接、動画エントリーシート、AI面接経験率

※出典:マイナビ「転職動向調査2021年版」より
https://career-research.mynavi.jp/post/reserch_cat/trend-survey/

【図11】転職後の仕事満足度別にみた平均年齢、未経験転職率

※出典:マイナビ「転職動向調査2021年版」より
https://career-research.mynavi.jp/post/reserch_cat/trend-survey/

まとめ

コロナ以前から転職に関するポジティブなイメージが浸透し始め、人材の流動化が進んでいたが、ウィズコロナでは、副業・兼業などの浸透によってさらにキャリアの選択肢は広がっていく。情報収集の機会や手法も増えており、調べようと思えば誰もが有益な情報を得られる。

今まで企業内の研修などが担っていたキャリア教育も、今後は個人に委ねられることが予想され、行動量によって差が生じることだろう。自由にキャリアを選択できるようになるということは、裏を返せば自己への責任が伴うということを忘れてはならない。

今一度、自身のキャリアに関心を持ち、今後について考え、計画する時間をとってみてはどうだろうか。

研究員 朝比奈 あかり

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