2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査
- 子供の結婚後の働き方について、約半数の保護者が「共働きをする方がいい」「男性も育休取得して子育てをした方がいい」と回答。
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、「大学4年/大学院2年以上で今年就職活動を終えた、もしくは現在活動中」の子供を持つ保護者1,000名を対象に「就職活動に対する意識調査」を行いました。
目次
トピックス
- 子供の就職観に「Z世代らしさ」を感じる部分は「1つの会社に勤めあげるというイメージが少ない」「競争心・出世欲がない」「長時間労働や休日出勤への抵抗感が強い」
- 子供の結婚後の働き方について、約半数の保護者が「共働きをする方がいい」「男性も育休取得して子育てをした方がいい」と回答。
- 子供の内定企業から内定確認の連絡(いわゆる「オヤカク」)を受けたことがある割合は52.4%。調査開始以来初めて5割を超える。
調査詳細
子供の就職活動にどの程度関心があったか(あるか)
- 子供の就職活動に「関心があった」割合は71.3%で前年と同程度の水準
- 単親世帯もしくは主婦(主夫)のいる二親世帯で関心が高い傾向に
子供の就職活動に対する保護者の関心の度合いについて「関心があった(高い関心があった+関心があった)」が全体で71.3%となり、前年比3.3pt減ながら前年同様高い関心度となった。【図1】
世帯状況(ニ親世帯:両親か・単親世帯:ひとり親か/共働きか・片働きか/子供と同居か・同居でないか)別にみると、「関心があった」が最も高かったのは「単親・同居」世帯(81.5%)で、「高い関心があった」の割合は22.2%と他の世帯と比べても高かった。
次いで「片働き・非同居」(74.4%)、「単親・非同居」(74.2%)、「片働き・同居」(74.1%)、「共働き・非同居」(72.7%)と続き、最も低かったのは「共働き・同居」(66.6%)となった。【図2】
単親世帯で保護者1人が子供を養育している場合や、二親世帯でも保護者の一方が家にいる場合などが特に関心度が高く、概ね、単身世帯 > 片働き世帯 > 共働き世帯 の順に関心が高い傾向となった。
子供の就職活動について不安になったことはあるか
- 子供の就職活動に「不安になったことがある」割合は56.0%(前年比4.0pt減)で減少傾向
子供の就職活動に対して「不安になったことがある」と回答した割合は56.0%(前年比4.0pt減)、直近3年間で減少傾向となった。【図3】
就職活動環境について
- 売り手市場を受け、就活環境に対する「厳しい環境」というイメージが減少したことが背景か
就職活動環境についてのイメージも「厳しい環境」(「大変厳しい環境」と「多少厳しい環境」の合計)の回答は減少傾向となり、売り手市場と称される昨年の就職活動環境を受け、保護者側の不安感も減少していると考えられる。【図4】
子供から「Z世代らしさ」を感じたこと
- 子供の就職観に「Z世代らしさ」を感じる部分は「1つの会社に勤めあげるというイメージが少ない」「競争心・出世欲がない」「長時間労働や休日出勤への抵抗感が強い」など
子供との日常のコミュニケーションにおいて、就職活動を含めてその行動に「Z世代らしさ」を感じたポイントを聞いたところ、最も多かったのは「わかないことは誰かに聞かずにすぐにスマートフォンで調べる」(40.0%)で、次いで「就職活動含め日常的にSNSを活用している」(37.9%)、「オンラインでの活動になれている(面接など) 」(30.4%)、「テレビを見たり新聞を読んだりしない」(24.8%)などが上位となった。
就職観に関するものでは「1つの会社に勤めあげるというイメージが少ない」(17.2%)、「大手企業にこだわらない」(16.3%)、「出世欲がない」(14.2%)、「長時間労働や休日出勤への抵抗感が強い」(10.9%)などの回答が比較的多くなった。【図5】
保護者自身が就職活動をしていた時に一般的だった働き方に関する考え方
- 保護者が就職活動をしていた当時の風潮は「転職は今ほど一般的ではなかった」(46.1%)が最多
- 「長時間労働や休日出勤などは当たり前」(44.8%)、「結婚や出産・育児のタイミングで退職する人が多かった」(42.4%)など、子供世代とのギャップが目立つ
対して、保護者が就職活動をしていた当時の風潮として当てはまると思うものを聞いたところ、最も多かったのは「転職は今ほどまだ一般的ではなかった」(46.1%)で、「長時間労働や休日出勤などは当たり前だった 」(44.8%)、「結婚や出産・育児のタイミングで退職する人が多かった」(42.4%)、「1つの会社に勤めあげキャリアアップを目指すことが当たり前だった」(41.5%)などの回答が多かった。【図6】
終身雇用を前提としたキャリア構築が当たり前だった時代に就職活動を行っていた保護者からは、1つの会社に長期的に勤続する前提でない、あるいは出世を望まない、という姿勢をZ世代である子供の就職観から感じ、ギャップを感じているようである。
子供が入社する企業にどのような特徴があるとよいか
- 子供の入社する企業に求めるポイントは「経営が安定している」(48.6%)が最多
子供が入社する企業についてどのような特徴があると良いかを聞いたところ、最も回答が多かったのは前年度と同様「経営が安定している」(48.6%)であった。
「企業の成長性が見込める」(16.4%・前年比2.8pt増)や「休日・休暇が多い」(6.4%・前年比2.0pt増)などが増加し、「福利厚生が充実している」(16.2%)が前年比減ながら順位を上げるなど、勤務先の成長性だけでなく、ワークライフバランスに関する関心の高さがうかがえる。【図7】
子供に働いてほしい企業
- 入ってほしい就職先の第1位は「公務員」で、民間企業では「トヨタ自動車」「伊藤忠商事」などが上位に。
子供に働いてほしい企業を1社だけ自由記述で記入してもらったところ、1位は今年も「公務員」となり、保護者の安定志向がうかがえる結果となった。
企業としての1位はトヨタ自動車となり、伊藤忠商事、ソニー、NTTなど、前年に引き続き上位10社に入る企業もいくつか見られる。外資系企業で前年もランクインしたグーグルに加え、今年はアマゾンもランクインした。【表1】
子供の結婚後の共働きについて
- 子供の結婚後の働き方について、約半数の保護者が「共働きをする方がいい」「男性も育休取得して子育てをした方がいい」と回答。
子供の働き方、結婚・育児に対する考えとしてあてはまるものを答えてもらったところ、「結婚後は、夫婦で共働きをするほうが良いと思う」という質問に対して「あてはまる」(「非常にあてはまる」と「まああてはまる」の合計)は49.2%となり、約半数の保護者が共働きの方が良いと考えていることがわかった。【図8】
子供の育児休暇を取得について
また「育児に際しては、男性も育休を取得し子育てする方が良いと思う」に対しても49.6%と約半数が「あてはまる」と回答した。【図9】
ただ、男性の育休取得について保護者の男女別と子供の男女別で分けてみると、「母親・息子」(保護者は女性でこどもは男性)、「母親・娘」(保護者も子供も女性)はそれぞれ55.2%、58.0%であるのに対し、「父親・息子」(保護者も子供も男性)、「父親・娘」(保護者は男性、子供は女性)は「あてはまる」の合計がそれぞれ42.0%、43.2%と、保護者の性別によって10%以上の差があることがわかった。【図10】
「マイナビ 2025年卒大学生のライフスタイル調査」(調査期間:2023年11月~12月)によれば、「共働きが望ましい」と回答した学生は70.0%と過去最高となり、「育児休業を取って子育てしたい」への回答は男子で59.5%、女子で59.7%といずれも高い水準となった。
大学生の共働き志向が今後も高い水準で推移していくかどうかには、保護者側の共働きへの意識の変化が重要な要因となっていく可能性もある。
「オヤカク」の経験
- 子供の内定企業から内定確認の連絡(いわゆる「オヤカク」)を受けたことがある割合は52.4%。調査開始以来初めて50%を超える。
子供の内定企業から「内定確認の連絡」いわゆる「オヤカク」を受けたという回答は52.4%と半数以上となり、増加傾向にある。【図11】
内定先決定の際に助言や意見を聞いた相手
2024年卒の学生を対象にした調査では、内定先に関する意思決定の際に助言や意見を聞いた相手として最も多かったのは「父親・母親」(61・9%)であり、学生の意思決定への保護者の影響は大きいと言え、こうした背景から、内定学生の保護者に対して同意の確認を行う企業も増えているものと考えられる。【図12】
子供の教育資金をどのように準備したか
- 保護者の5人に1人は教育資金に「奨学金(貸与型)」を利用と回答
- 給付型の奨学金を「利用したかったができなかった」という割合は18.6%
大学に入学する際の教育資金をどのように準備したかについて最も多かったのは「自己資金」(65.6%)で、次いで「学資保険」(39.3%)、「奨学金(貸与型) 」(20.0%)となり、貸与型の奨学金については5人に1人の保護者が利用している結果となった。また「奨学金(給付型) 」が11.5%となり、3年連続で増加となった。【図13】
教育資金に対する支援・補助の利用状況
一方で、教育資金への支援・補助制度の利用状況としてあてはまるものを答えてもらったところ、「返済不要(給付型)の奨学金」について「利用したかったが条件が合わず利用できなかった」と「利用したかったが利用可能な制度がなかった」の合計は18.6%となり、2割近い保護者が給付型の奨学金の利用を希望したものの叶わなかったという状況であった。【図14】
貸与型奨学金の返済については82.5%の保護者が「子供の将来に大きな負担になる」と回答しており、教育機会の公平性、子供世代の負担軽減などの観点からも給付型の奨学金制度の拡充が求められる。
2024年度より大学生を対象とする奨学金制度が改正され、給付型奨学金と授業料減免の対象が拡大される。子供3人以上の多子世帯と私立大学の理工農系学生を対象に年間上限の引き上げが予定されているが、こうした制度の拡充が給付型奨学金を「利用したかったができなかった」という世帯の状況を改善することにつながる可能性もある。
調査概要
内容 | マイナビ 2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査 |
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調査期間 | 2024年1月11日~2024年1月12日 |
調査対象 |
株式会社クロス・マーケティングのモニターで、大学4年/大学院2年以上で今年就職活動を終えた、もしくは現在活動中の子供を持つ保護者を対象 |
調査方法 | Web上のアンケートフォームより入力 |
有効回答数 | 1,000名 |
レポート内トピックス
PDFデータ内の主なトピックを記載しています。
- 子供の就職活動に「関心があった」割合は71.3%で前年と同程度の水準。単親世帯もしくは主婦(主夫)のいる二親世帯で関心が高い傾向に。
- 子供の就職活動に「不安になったことがある」割合は56.0%(前年比4.0pt減)で減少傾向。売り手市場を受け、就活環境に対する「厳しい環境」というイメージが減少したことが背景か。
- 子供の就職観に「Z世代らしさ」を感じる部分は「1つの会社に勤めあげるというイメージが少ない」、「競争心・出世欲がない」、「長時間労働や休日出勤への抵抗感が強い」など。
- 保護者が就職活動をしていた当時の風潮は「転職は今ほど一般的ではなかった」(46.1%)が最多。「長時間労働や休日出勤などは当たり前」(44.8%)、「結婚や出産・育児のタイミングで退職する人が多かった」(42.4%)など、子供世代とのギャップが目立つ。
- 子供の入社する企業に求めるポイントは「経営が安定している」(48.6%)が最多。入ってほしい就職先の第1位は「公務員」で、民間企業では「トヨタ自動車」「伊藤忠商事」などが上位に。
- 子供の結婚後の働き方について、約半数の保護者が「共働きをする方がいい」「男性も育休取得して子育てをした方がいい」と回答。
- 子供の内定企業から内定確認の連絡(いわゆる「オヤカク」)を受けたことがある割合は52.4%。調査開始以来初めて50%を超える。
- 保護者の5人に1人は教育資金に「奨学金(貸与型)」を利用と回答。給付型の奨学金を「利用したかったができなかった」という割合は18.6%
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