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サステナビリティとは?SDGsやCSRとの違い、企業が取り組むメリットについて解説

キャリアリサーチLab編集部
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サステナビリティとは

サステナビリティ(Sustainablility)とは、地球環境や経済活動に配慮し、社会全体を持続的に成長させようという考え方を指す。この言葉自体は「Sustain(持続する)」と「Ability(~できる)」という2つの言葉を組み合わせた言葉で、「持続可能性』と訳されることが一般的である。

サステナビリティを測る指標とは?

現在、サステナビリティという考え方は一般消費者だけではなく、企業経営者にも浸透している。たとえば、CO2排出量を抑えた製品づくりや生産者も平等な利益が得られる仕組みづくりなどが挙げられる。

しかし、そのような取り組みを第三者、特にビジネスには欠かせない投資家や取引先が知るにはどうしたら良いだろうか?そこで、考えられた基準が「GRIスタンダード」「DJSI」の2つである。これらは簡単に言えば、自社が行っているサステナビリティの取り組みを、わかりやすく説明するためにつくられたものだ。

GRIスタンダードとは

GRIスタンダードとは、サステナビリティの貢献度を可視化させるための国際的なガイドラインである。経済・社会・環境など、それぞれの分野における基準(スタンダード)としても用いられるため、企業がサステナビリティの取り組みを社外に発信する際には、GRIスタンダードを用いると、わかりやすく説明できる。

DJSIとは

DJSI(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)とは、アメリカとスイスの金融会社が共同開発した投資家向けの指標(インデックス)であり、サステナビリティに大きく貢献している会社は『DJSI銘柄』として認定される。

これは全世界の企業を対象としており、企業価値はとても大きい。そのため、日本でも導入を目指す企業は多くなってきている。

サステナビリティはなぜ注目されてきたのか

そもそも、なぜサステナビリティが注目されるようになったのだろうか?

18世紀後半のイギリス産業革命以降、機械化が進むことにより大量に物を生産して、大量に物を消費する『大量生産・大量消費』が主流となった。生産や物流の飛躍的な成長は、私たちに恩恵をもたらしたが、同時に資源の枯渇や劣悪な労働環境など、環境・社会面でさまざまな問題を招く引き金ともなった。

環境破壊

代表的な例としては地球温暖化だろう。生産や輸送などの産業活動が活発になるにつれて、空気中に大量の二酸化炭素が排出されるようになり、地球球の平均気温は上昇している。

また、地球温暖化の影響で集中豪雨・干ばつなどの異常気象が全世界で発生し問題になっている。海洋汚染や森林伐採など続けていけば、生態系への悪影響も避けられないだろう。

資源枯渇

石炭・石油・天然ガスは埋蔵量に限りがある。一方で、新興国の経済発展や人口増加を受けて、今後ますます資源の消費スピードが加速することが懸念されている。

社会問題

企業が低コストを追求するあまり、労働に関する人権侵害が発生するようになった。特に人件費が安い国では、生産者が過酷な労働環境を強いられている場合が多く、中には数多くの死傷者を出すような事故につながるケースもある。

これらの問題は1970年代から指摘されており、ついに2015年9月に国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて『SDGs』が採択され、サステナビリティが広く注目されるようになった。

SDGsとの違いは?

SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、Sustainable Development Goals 「持続可能な開発目標」の頭文字を取った略称であり、環境・社会・経済の3つのテーマにおける17の目標/169のターゲットが開発目標として掲げられている。すべての国と地域において、経済活動を続けながらも、地球環境を守るという『両立』という考え方が根底にある点が特徴だ。

ここで注意して欲しいのは、サステナビリティはあくまで持続可能性という“概念”であり、SDGsは持続可能な社会を実現させるための“目標“という点である。

達成する開発目標

SDGsの中身を見ていくとわかりやすい。達成する開発目標(貧困格差の解消/貧困格差の解消/飢餓の根絶/健康な生活・福祉の促進/質の高い教育/ジェンダー平等/水問題の解決/エネルギー問題の解決/働きやすい環境と経済成長/持続可能な産業化のための基盤づくり/不平等の解消/住み続けられる街づくり/持続可能な消費・生産の促進/気候変動対策/海洋生物・資源の保全/陸上生物・資源の保全/平和な社会実現/グローバルパートナーシップの活性化)の中には、環境問題だけではなく、ジェンダー平等から働きがいまで細かく設定されており、2030年までの解決という期限が設けられている点も大きく異なる。

わかりやすく言えば、サステナビリティという大枠の中にSDGsがあるというイメージが正しいと言える。

サステナビリティの3つの概念

では、具体的にどのような事柄を未来に残していくのだろうか?企業活動においては、以下3つに大きく分けて考えられる。

環境保護

前述した地球温暖化や森林伐採など、環境破壊をできるだけ控えた生産・消費活動を行うことを指す。同時に自然環境を回復させることで、生態系の保全にもつながることが期待される。

社会

教育や働き方など、毎日の生活をより豊かにするための開発全体を指す。また、ダイバーシティなどの多様性や難民問題なども同様である。

経済

貧困問題の解消や労働環境の改善を行うことで、経済全体を成長させることを指す。

サステナブル経営とは

企業の長期的な成長のために、前述した3つの概念「環境・社会・経済」に配慮した事業活動を行うことで、持続可能な社会の実現を目指す経営上の考え方のことである。

似たような言葉としてCSR(Corporation Social Responsibility)があるが、CSRは「企業は利益追求だけではなく、社会のためになる活動もすべきである」という社会的責任のことである。

サステナブル経営を行うことで企業はどのようなメリットが得られるのか。以下、具体的に説明していく。

サステナブル経営に取り組むメリット

企業価値が向上する

『環境保護や社会問題のための取り組みをきちんと行っている会社』というイメージが定着すれば、サステナビリティに高い関心がある消費者はもちろん、投資家・株主などのステークホルダーから高い評価を得られるため、資金調達もしやすく財政面が安定しやすい。

また、社員からの信頼度も高まるため、帰属意識が高まり人材流出を防止でき、新しい人材も獲得しやすい。

コストを削減し新規事業のチャンスが広がる

事業を進める上で必要となるエネルギー・資源・廃棄物などの量を減らすことは、環境保護の面から見ても有益なことはもちろん、企業側から見ても発生コストを抑えることになり、収益向上につながる。また、これらの問題解決のために編み出されたアイデア・技術は、新しい事業に活かせる場合もある。

サステナビリティのこれから

SDGsやサステナブル経営など、サステナビリティな社会の実現に向けて官民問わずさまざまな取り組みが行われており、企業はサステナビリティに配慮した事業活動を行うことが求められている。

企業を取り巻く経営環境や財政基盤にも大きく関わることであり、一朝一夕に始められることではないだろう。しかし、中長期的な視点で見るとサステナビリティはビジネスでもとても重要な要素の一つだ。

上記で説明した通り、環境・経済・社会それぞれの面で抱えている問題は、これ以上後回しにするわけにはいかない事柄である。そしてSDGsの期限である2030年に向けて、今後一段とサステナビリティは注目を集めていくだろう。

また、GRIスタンダードやDJSIの整備により、企業のサステナビリティへの貢献度も可視化される今、従来までのような利益一辺倒の経営ではマーケットの求心力も失われることは想像に難くない。今後、サステナビリティは環境保護という観点だけではなく、企業経営に与える影響力も考慮していく必要があると言えるだろう。

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