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アンコンシャスバイアス
~雇用機会均等法から35年、働く女性から見た変化【後編】

さて、時をさかのぼること35年前「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(以下、雇用機会均等法)が施行され、現在、確かに法の上で働く男女の差はなくなり各企業においてもさまざまな働き方に対応するための制度の整備が進んでいる。

社会が変わってきていることは社会人生活25年を超えた筆者も決して否定するものではなく、実感もある。たとえば20年ほど前であれば、結婚したタイミングでは仕事を継続した人も、第1子の出産を機に正社員の職を辞する人が多かった印象がある。現在では、産休・育休を終えての復帰は特別なことではなくなった。

そんな中、国は女性活躍を促進する政策について「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%程度」と目標を掲げていた(その後、2030年までの可能な限り早期に、へ繰り延べ)。

女性とキャリア

しかし、女性管理職になりたくない、と考える女性も一定数いるのも事実である。

そこで気になる調査が1つあったので引用したい。

「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査」(独立行政法人国立女性教育会館・令和2年5月発表)によると、キャリアの初期(1年目)には男性よりやや少ないものの、一定数の女性が管理職を目指し、決してその数字が最初から極端に低いわけではない。しかし年齢があがるにつれ「なりたくない」が増えるのである(1年目60%→5年目37.6%へ減少)。

(「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査」独立行政法人国立女性教育会館より )

それにはロールモデルとなる先輩がいないことなどさまざまな理由があるかと思うが、一番の理由として「仕事と家庭の両立の困難」があがっている(5年目の回答が最多:69.3%)。

(「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査」独立行政法人国立女性教育会館より )

この回答は裏返せば「仕事と家庭の両立」は女性のやるべきこと、という無意識の前提があることがうかがえる。

この無意識の醸成は長い時間をかけて行われているので要因は1つではないと考えられるが、たとえば子供のころに食事の準備をしてくれたのは母親が多く(仮に専業主婦でなく仕事を持っている母親であっても)、家の中の主たる作業は母親を中心に動き、自然と家庭のことは女性がしていることが多いという実際を目にしながら育った子供は当然ながらそれをなぞるのだと思われる。

だとするならば、やはり私たちが無意識に「自分は女性だから○○は私が」と思っていることは、視点を変えてみる必要があるだろう。たとえば、少し前まで「家事代行」というのは一握りの富裕層向けだったように思う。しかし現在では働く女性にとってかなりのお助けツールになっている側面はいうまでもない。家事をアウトソースするという発想の転換は働く女性にとって一つのエポックメイキングなできごとといえる。

家事代行のような例だけでなく、自分の中にある既成概念やアンコンシャスバイアスに気づき「意識」するだけでも、そこから次のステップへつながると思う。

自社の話で恐縮ではあるが、現在弊社の女性管理職比率は33%超であり、政府目標数値を先んじてクリアしている。その状態も一朝一夕で到達したわけではなく会社と従業員のさまざまな試行錯誤の結果であるが、数値目標や制度といったハード面がすべてではなく、周りのロールモデルが増えたことが結果として数字につながっていると実感することは多くある。

おわりに

曲がりなりにもハード(法や制度)が整った今、本当の意味でのギャップをなくすには、私たち女性が自身の中にあるアンコンシャスバイアスに気づくこと、それを意識すること、その中でソフト面を一人ひとりが作っていくことが大切で、それによって本当の意味での社会的な機会均等の実現が近づくのではないか、というのが女性管理職の増えた現場からあらためて感じることだ。

自分たちの可能性を阻害しているのは、もしかすると無意識の自分かもしれないと時に振返り、時には自身を外から俯瞰し、べき論をはずし、柔軟な考えを取り戻すことも、これからの女性活躍社会をしなやかに生きていくのに必要なことだと思う今日このごろである。

キャリアリサーチLab副所長 赤松 淳子

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