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アルバイト市場 総括レポート 2023年版(2022年度実績)

アルバイトを探した職種は「オフィスワーク」がトップ。求職率の回復が見られた一方で「飲食・フード」「イベント・キャンペーン」等、コロナの影響が大きかった職種を避ける求職者の動きも見られた。

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、2022年におけるアルバイト市場を3部構成でまとめた、「アルバイト市場 総括レポート2023年版(2022年度実績)」を発表した。第1部は「雇用市場の概況」、第2部は「企業の動向」、第3部は「求職者・アルバイト就業者の動向」についてまとめている。

◆ TOPICS

■雇用市場の概況

非正規の職員・従業員数は長期的に増加。2020年・2021年に減少傾向にシフトしたが、2022年に再び増加に転じた。

・非正規の職員・従業員数は増加傾向で推移している。2020年・2021年はコロナの影響により減少したが、2022年には再び増加に転じた。非正規雇用者数の著しい増加により、非正規雇用比率は右肩上がりで推移している。非正規雇用者の増加の背景には、高齢化と女性の社会進出の影響により、もともと非正規雇用で働く人の割合の高い層の就業者が増加したことがあげられる。加えて近年では都合のよい時間に働けることにメリットを感じ、自ら非正規雇用の働き方を選択する者も増えた。一方で、特に男性の中間年齢層では正社員の仕事がないことを理由に、不本意的に非正規雇用として働く者も依然として多い点は課題となっている。【図1】

【図1】正規の職員、非正規の職員、非正規雇用比率の推移

出典:総務省統計局 労働力調査 ※01年までは「労働力調査特別調査(2月調査)」、02年以降は「労働力調査(詳細集計)」
出典:総務省統計局 労働力調査 ※01年までは「労働力調査特別調査(2月調査)」、02年以降は「労働力調査(詳細集計)」

2022年の有効求人倍率は1.28倍(前年比0.15ptプラス)。前年と比べ求人数が大きく増加し、有効求人倍率も上昇した。

・有効求人倍率は、バブル崩壊後やリーマンショック後ほどは新型コロナの流行の影響を受けなかったが、2019年から3年連続で低下していた。【図2】
・2022年は経済の回復に伴い、求人数が増加したことで有効求人倍率も上昇に転じた。【図2】

【図2】有効求人数、有効求職者数、有効求人倍率 推移

出典:厚生労働省 一般職業紹介状況 パートタイム含む実数
出典:厚生労働省 一般職業紹介状況 パートタイム含む実数

製造業は概ね横ばい、非製造業は小幅に改善。大きく低下していた「宿泊・飲食サービス」等も回復傾向。

・2022年12月の業況感は非製造業を中心に小幅に改善。製造業は、原料コスト高やIT関連の調整圧力の影響を受けつつも、供給制約の影響緩和や価格転嫁の進展などから概ね横ばいの動きとなった。非製造業は、感染抑制と経済活動の両立が進展し、価格転嫁も進む中で、改善を続けた。(日本銀行「経済・物価情勢の展望2023年1月」)【図3】
・コロナ禍で大きく低下していた「対個人サービス」「宿泊・飲食サービス」の景況感もプラスに転じている。【図3】

【図3】日銀短観 業況判断D.I. 実績 業種別(「景気が良い」-「景気が悪い」)

出典:日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)」
出典:日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)」

■企業のアルバイト採用状況

アルバイトの採用活動実施率は増加傾向。業種別では「飲食・宿泊」が最も高く、5割を超えた。

・コロナ禍で停滞していた企業によるアルバイトの採用活動実施率は、2021年末頃から増加傾向で推移している。【図4】
・業種別の比較を見ると、「飲食・宿泊」「小売」等において直近で顕著に増加している様子がうかがえる。【図5】
・業種別の比較を見ると、「飲食・宿泊」「小売」等において直近で顕著に増加している様子がうかがえる。【図5】

【図4】アルバイトの採用活動実施率

出典:マイナビ「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2023年1-2月)」
出典:マイナビ「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2023年1-2月)」

【図5】業種別 アルバイトの採用活動実施率  1-2月の比較  業種は一部抜粋

出典:マイナビ「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2023年1-2月)」
出典:マイナビ「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2023年1-2月)」

アルバイトの不足感は増加傾向。業種別では「飲食・宿泊」「小売」において不足感が特に高い。

・アルバイトの「不足」ー「過剰」の数値は、2021年後半頃から大きくなり、直近では30pt近くになった。【図6】
・業種別に見ると、「飲食・宿泊」では2022年から、「小売」では2023年から不足感が顕著に増加したことがうかがえる。【図7】
・「医療・福祉」は、慢性的に不足感が高い。【図7】

【図6】アルバイトの過不足感(「不足」ー「過剰」数値)

出典:マイナビ「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2023年1-2月)」
出典:マイナビ「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2023年1-2月)」

【図7】業種別 アルバイトの過不足感(「不足」ー「過剰」数値)1-2月の比較  業種は一部抜粋

出典:マイナビ「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2023年1-2月)」
出典:マイナビ「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2023年1-2月)」

前年と比較したアルバイトの採用数は「増えた」が「減った」を上回った。

・2021年以降、採用数は増加傾向。【図8】
・前年と比較したアルバイトの採用数は、「増えた」が22.2%と「減った」10.2%を12.0pt上回った。【図8】

【図8】前年と比較したアルバイトの採用数 n=1500

出典:マイナビ「アルバイト採用活動に関する企業調査」
出典:マイナビ「アルバイト採用活動に関する企業調査」

アルバイト人材確保のために実施した施策は「給与の増額」がトップ。効果があった施策は給与増額に続き、シニア層へのターゲット拡大に関する項目があげられた。

・人材確保のために実施した施策は「給与の増額」が最も高く、次いで「主婦(夫)層の積極採用」「シフトの緩和」「シニア層の積極採用」となった。【図9】
・実施した施策のうち効果があった割合で最も高かったのも「給与の増額」となった。次いで「シニア層の積極採用」「定年退職者の再雇用」とシニア層へのターゲット拡大に関する項目があげられた。【図9】
・「在宅勤務・リモートワークの承認」は実施率は低いが、効果があった割合は高く、4番目にあげられた。【図9】

【図9】人材確保のために実施した施策・今後実施したい施策(複数回答) n=1500

出典:マイナビ「アルバイト採用活動に関する企業調査」
出典:マイナビ「アルバイト採用活動に関する企業調査」

2023年のアルバイトの採用数・採用費はともに「増やす予定」が「減らす予定」を上回った。
・2022年と比較したアルバイトの採用数は、「増やす予定」が35.2%と「減らす予定」6.1%を29.1pt上回った。【図10】
・2023年はアルバイト採用活動がより活発に行われる見通し。【図10】

【図10】2022年と比較したアルバイトの採用数予定 n=1500

出典:マイナビ「アルバイト採用活動に関する企業調査」
出典:マイナビ「アルバイト採用活動に関する企業調査」

■求職者・アルバイト就業者の動向

アルバイトの求職率は学生を中心に回復傾向。

・2020年はコロナの影響により、アルバイト求職率は低下傾向にあったが、2021年以降に回復傾向が見られている。【図11】
・属性別では、「学生」の回復が比較的顕著に見られた。「主婦」や「シニア」においても、直近3年間で徐々に増加している様子がうかがえた。【図12】

【図11】アルバイトの仕事を探したか

出典:マイナビ「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(23年1-2月)」
出典:マイナビ「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(23年1-2月)」

【図12】属性別 アルバイトの仕事を探したか  1-2月の比較

出典:マイナビ「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(23年1-2月)」
出典:マイナビ「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(23年1-2月)」

アルバイトの仕事で探した職種のトップは「オフィスワーク」。「飲食・フード」は2021年と比較すると2022年・2023年は減少傾向。

・アルバイトの仕事で探した職種は「オフィスワーク」が最も高く、次いで「販売・接客・サービス」「軽作業」「飲食・フード」となった。【図13】
・「オフィスワーク」は直近3年間で増加傾向が見られた一方で、「飲食・フード」「イベント・キャンペーン」は減少傾向が見られた。経済活動は回復しつつあるものの、コロナの影響が大きかった職種を避ける求職者が一定数いる様子がうかがえる。【図13】

【図13】アルバイトの仕事で探した職種上位(複数回答)

出典:マイナビ「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(23年1-2月)」
出典:マイナビ「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(23年1-2月)」

アルバイトの目的は属性により異なるが、「貯金をするため」は全属性で上位3項目以内となった。

・高校生・大学生では「貯金をするため」が最も高く、次いで「趣味のため」となった。【図14】
・フリーターでは「自分の生活費のため」が最も高く、次いで「貯金をするため」となった。【図14】
・主婦では「家族の生活費のため」が最も高く、次いで「貯金をするため」となった。【図14】
・ミドル・シニアでは「自分の生活費のため」が最も高く、次いで「家族の生活費のため」「貯金をするため」となった。【図14】

【図14】アルバイトの目的(複数回答)

出典:マイナビ「アルバイト就業者調査(2023年)」
出典:マイナビ「アルバイト就業者調査(2023年)」

アルバイト探しの必須条件は「シフトの融通がきく」が最も高く、次いで「自宅から近い」となった。

・全体と比較して、高校生・大学生では「給与が高い」が高めとなった。フリーターは「未経験でもできる仕事である」が、主婦は「扶養の範囲内で働けること」「家事への理解がある」が、ミドル・シニアは「年齢に関係なく活躍できる」が他属性よりそれぞれ高くなった。【図15】

【図15】アルバイト探しの必須条件(複数回答)

出典:マイナビ「アルバイト就業者調査(2023年)」
出典:マイナビ「アルバイト就業者調査(2023年)」

職場の雰囲気が良くなかった/自分に合わなかったこと等が要因で、早期離職経験があるアルバイト就業者は2割。

・直近3年間で早期離職した経験があるのは8.5%、直近3年間より前に早期離職した経験があるのは11.8%となった。
・属性別ではフリーターが最も早期離職経験が高くなった。
・早期離職した理由では、「職場の雰囲気が良くなかった/自分に合わなかった」「上司/同僚など職場の人間関係が合わなかった」「想定よりも仕事がきつかった」などがあげられた。
※早期離職とは、引越しなどのやむを得ない状況は含まず、就業当初は長期勤務予定だったアルバイトを1カ月以内に辞めることとしている。

【図16】早期離職経験の有無(複数回答)

出典:マイナビ「アルバイト就業者調査(2023年)」
出典:マイナビ「アルバイト就業者調査(2023年)」

【図17】早期離職理由(複数回答)n=1,831

出典:マイナビ「アルバイト就業者調査(2023年)」
出典:マイナビ「アルバイト就業者調査(2023年)」

2022年度のアルバイト市場まとめ

企業によるアルバイトの採用活動は21年末頃から活発化。「飲食・宿泊」「小売」業において特に直近1~2年間で採用活動が急速に回復した。アルバイトの求職率は2021年から引き続き回復傾向。特に学生のアルバイト探しの回復が顕著にうかがえた。

◆ INDEX

第 1 部.雇用市場の概観 ・・・ P.3~7
└非正規の職員・従業員数の推移
└有効求人数、有効求職者数および有効求人倍率の推移
└職種別有効求人倍率
└業況感

第 2 部.企業の動向 ・・・ P.8~16
└アルバイトの採用活動実施率
└アルバイトの過不足感
└アルバイトの採用数・採用費
└アルバイト採用の課題
└アルバイト人材確保のための実施施策
└アルバイト人材定着のための実施施策
└2023年のアルバイトの採用数・採用費
└2023年のアルバイト採用の見通し

第 3 部.求職者・アルバイト就業者の動向 ・・・ P.17~24
└アルバイトの求職率
└探した職種
└アルバイト探しの情報収集源
└アルバイトの目的
└アルバイト探しの必須条件
└アルバイト先を決めた理由
└早期離職経験と理由

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