マイナビ キャリアリサーチLab

Vol.2 貯金や投資事情は?Z世代の「お金」と仕事
—Z世代のリアル

はじめに

Z世代とは、一般的に1996~2010年ごろに生まれた若者を指す言葉だ。今後、経済や文化、社会などさまざまな分野において中心になっていく世代ということで世界的に注目を集めている。

本シリーズでは、マイナビ転職Z総研の共同活動体である「はたらきかたラボ」で行った調査と座談会の内容をもとに、さまざまなテーマから”等身大のZ世代”を明らかにしていきたい。

第二回目となる今回は、身近なトピックスである「お金」に注目。いわゆる「老後2,000万円問題」や、1990年代から上がらない日本人の平均年収の問題(※1)のほか、円安による物価高騰など自分達の将来のお金に関する懸念は多い。そういった背景もあってか、投資や資産運用を始める若者も増えているとのことで、実際にZ世代が投資や資産運用についてどのように捉えているのかを調査した。
※1:OECDが公表している各国の1996年と2019年の平均賃金を比較すると上昇率は平均で150%程度。日本の平均賃金の上昇率は102%に留まり伸び率では35か国中34位となっている。

投資や資産運用に前向きな人が約7割

最初に「投資や資産運用をしたことがあるか?」と尋ねたところ、「したことがある」が15.3%、「興味はあるがしたことはない」が56.0%、「したことがないし今後もしたくない」が28.7%だった【図1】。約7割が投資や資産運用を前向きに検討していることがわかる。

投資や資産運用をしたことがあるか/はたらきかたラボ調査
【図1】投資や資産運用をしたことがあるか/はたらきかたラボ調査

座談会メンバーは全員が投資や資産運用に肯定的ではあったものの、経験者は1名のみということから、実際に始めている人はまだ少数派だと言えそうだ。「興味はあるがしたことがない」と回答したメンバーからは「自由に使えるお金が少なくて始められない」「手元にまとまったお金がない」といった金銭的な理由で未経験だ、という声が複数挙がった。一方、唯一の経験者は「小額からでも投資がスタートできるネット証券で投資をしたことがある」とのこと。最近では1万円以下で始められる投資方法も複数あり、まとまったお金がなくても始められる環境は整っているようだ。どうやら実態とイメージとの乖離が生じているように感じるが、そもそもZ世代が投資や資産運用に興味を持ったきっかけは何なのだろうか?

最初の質問で投資や資産運用を「したことがある」「興味はあるがしたことはない」と回答した人に、興味を持ったきっかけを尋ねたところ「家族・知人の影響」が35.5%、次いで「Instagram」「YouTube」などのSNSが上位に入っていた【図2】。

投資や資産運用に興味を持ったきっかけ/はたらきかたラボ調査
【図2】投資や資産運用に興味を持ったきっかけ/はたらきかたラボ調査

座談会メンバーにも聞いてみたところ、経験がある人は「YouTube」、興味があるが未経験という人は「Instagram」が興味を持ったきっかけとのこと。ツールが異なれば入手できる情報の粒度も異なり、一般的に動画とテキストでは動画のほうが情報量は多くなると言われている。投資経験があると回答した人は、より詳しい情報を得たことで初めの一歩を踏み出すことができたのかもしれない。

「もしも」に備えて貯金をしている人が多い

続いて「貯金はいくらありますか?」という質問をしたところ、30万円以下(0円含む)が64%と過半数を占めている。単純に回答数が多い順では「10~30万円」が25.3%、「5~10万円」16.7%、「50~100万円」14.0%であるが、実態として30万円以上の貯金がある人は少数派だ【図3】。

現在貯金はいくらあるか/はたらきかたラボ調査
【図3】現在貯金はいくらあるか/はたらきかたラボ調査

金融広報中央委員会が行った「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)」によると20代の金融資産保有額の中央値は20万円(金融資産を保有していない世帯を含む)。はたらきかたラボで行った調査では選択式ということもあり中央値は出せないものの、過半数が30万円以下と回答していることから、おそらく20代全体とZ世代とで大きな差がないと思われる。

貯金金額とあわせて、貯金をしている理由についても自由回答で答えてもらったところ、「将来の結婚資金のため」や「車の購入や旅行といった大きな出費に備えて」「老後に備えて」など将来の出費を想定している人が多いようだ。ほかにも、突然の病気やけがで働けなくなった場合など「もしも」に備えているという意見や、自分の夢を追いかける資金としたいという意見、「推しのために!」という意見など、幅広い回答が見られた。 座談会でも「結婚や出産・育児などのライフイベントに備えて」や「急に働けなくなった場合に困らないように」などアンケートの自由回答と同様に、遠くない将来に予想される突発的な事態に備えて貯金をしているようだ。「失われた30年」で育ってきたこともあってか、危機管理能力の高さからくる堅実な一面がうかがわれた。

拮抗する「給与重視派」と「やりがい重視派」

座談会で前述の質問に加えて「高給だけど興味がない仕事と薄給だけど自分が好きな仕事ならどちらを選ぶか」という質問を行ったところ、意見は見事に真っ二つに分かれた。

「高給だけど興味がない仕事」を選んだメンバーに理由を聞くと、「生きていくことが大事」「薄給すぎると楽しさよりも不安が勝る気がする。高給ならプライベートの時間を充実させられると思うから」とのこと。お金によって得られる安心感を重視したいということだろう。一方、「薄給だけど自分が好きな仕事」を選んだメンバーからは「今の職種は一般的に高給ではないけど、好きなことをやりたいと思って決めた」「前職は給与が高かったけど生活が充実していなかった。給与は下がったが今のほうがやりがいや生きがいを感じている」と、実体験や現在の状況と照らし合わせたうえで、自分の気持ちや心の持ちようを大切にしている姿勢が見られた。

両者の意見を改めて並べてみると、「仕事は仕事」と割り切ってプライベートでの自己実現も視野に入れている派と、仕事を通して自己実現を図りたい派というように言い換えることもできそうだ。つまり、いずれを選択した場合でも自分がどう生きたいかをしっかり考えているということであろう。

なお、座談会の参加者に「薄給」と「高給」についての認識を聞いたところ、「薄給=月の手取りが20万円以下、高給=月の手取りが30~50万円程度」とのこと。ざっくりと額面で換算すると、薄給=月収24万円以下、高給=月収38~70万円程度だろう。仮に年間で支給される賞与を2.5ヶ月分として年収で計算し直せば、薄給でも348万円となる。国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると20~24歳の平均年収は260万円。これは「薄給」からイメージする金額よりも下回っており、現状で給与に満足感を持っている人は少ないといえる。高給を求めて転職に挑戦することは悪くないが、どこに行っても給与面で十分な満足感が得られる可能性は低いだろう。そう考えると、仕事選びの際はお金だけでなく、自分らしく生きていくために何を重視するのか、どんな風に日々を過ごしていきたいのかを見極めることが重要になってくるといえそうだ。

最後に座談会参加者に「FIRE(早期リタイア)」について聞いてみたところ、ほとんどの人が「できるのであればしたい」と回答。前問で給与重視派だったメンバーも「FIREできるくらいの金銭的な余裕があるなら薄給でも好きな仕事をするかも」という意見が上がっており、本音としては自分の好きなことややりたいことに意欲的に取り組みたいという素直な気持ちが垣間見えた。

まとめ
自分らしさを追い求めつつ、現実的な生活面を優先する姿勢

今回の調査では投資や資産運用に興味は持ちつつも、金銭的な理由や情報量の不足から未経験である人が多いこと、貯金に関しては将来を見据えて行っている人が多いことがわかった。将来のリスクに備えて、なるべく冒険せずに着実に準備をしておくという堅実さを感じさせる結果だ。20代前半の平均年収が彼らの考える「薄給」を下回っており、支出に関してシビアにならざるを得ない実態もうかがえる。そんな中で元本が保証されているわけでもなく、損するリスクもある投資や資産運用にはなかなか踏み出すことができない、というのは理解に難くない。 そうはいっても急激な円安や物価上昇が続けば、実質的な貯金額は目減りする。たとえば1万円で同じ商品を買いたいとき、100円であれば100個購入できるが、150円に値上げされると66個となり購入できる個数が減ってしまう。

かつては銀行に預けているだけで年間6%の金利がついた時期もあるようだが、現在は高くても0.3%程度と、ほぼ利息はつかないと考えたほうが良いだろう。Z世代自身が「将来のため」と貯金しているお金が、将来も同じ金額としての価値があるかは定かではないことは認識しておいてほしいと思う。 座談会では「自分の好きなことをしたい」という潜在的な欲求があるというのを窺い知ることができた。仕事でその欲求を満たす人もいれば、仕事は仕事と割り切ってプライベートでその欲求を満たす人もいて、スタンスはそれぞれだが根本的には「自分らしく生きたい」という思いがあるようだった。第一回の「結婚」についての調査でもその一端が見られたように、彼らは将来のリスク管理もしつつ自分らしく”生きるための方法を探し求めているのだろう。

調査概要
<アンケート調査>
調査時期:2022年4月15日~4月19日
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国男女18~25歳 150名

<『はたらきかたラボ』オンライン座談会>
実施:2022年4月26日
参加者:マイナビ転職メンバー3名、Z総研コミュニティ所属メンバー3名、はたらきかたラボ所長 道満綾香(Z総研) 計7名(メンバー男女比 3:3)


著者情報
マイナビ転職「はたらきかたラボ」コラム担当

はたらきかたラボとは、Z世代のこれからの生き方や働き方について深く知るため、マイナビ転職とZ世代のシンクタンクである「Z総研」が手を組み、2022年3月に発足した運動体。毎月リアルZ世代コミュニティに所属する大学生~社会人(18~24歳)へのアンケートと、両社のZ世代社員がアンケート結果をもとに行う座談会からリアルなZ世代の声を拾い上げ、テーマごとに発信を行っている。

関連記事

キャリア教育

コラム

大人の押し付け?低学年キャリア教育の落とし穴

2023年卒大学生のライフスタイル調査<br>~ 今年の就活生のwithコロナ2年目の日常は? ~

調査・データ

2023年卒大学生のライフスタイル調査
~ 今年の就活生のwithコロナ2年目の日常は? ~

コラム

最低賃金の引き上げがもたらす、アルバイトで働く人への影響