マイナビ キャリアリサーチLab

Z世代が思う「タイパの良い就職活動」と「タイパの悪い就職活動」 ~就活に費やす時間とスマホ普及率の関係~

長谷川洋介
著者
キャリアリサーチLab研究員
YOSUKE HASEGAWA

Z世代と「タイパ」

Z世代の特徴を表す言葉として、最近「タイパ」という言葉をよく見聞きする人も多いのではないだろうか。タイパとは「タイムパフォーマンス」の略であり、物事にかけた「時間」に対する満足度を意味する言葉だ。かけた「お金(あるいは労力)」に対するパフォーマンスが「コストパフォーマンス」なら、タイパはかけた時間に対するパフォーマンスのことを指し、時間あたりのパフォーマンスが高ければ「タイパが良い」という表現をするようだ。インターネットの情報やSNSに囲まれて育ったデジタルネイティブ、ソーシャルネイティブと言われる世代であり、タイパへの意識は、世にあふれる大量の情報の中から自分にとって必要なものを取捨選択し、効率的にコンテンツを摂取するために編み出された1つの戦略としてみなされている。

就職活動における「タイパ」とは

マイナビは、2022年8月に実施した「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査」にて、学生に対して就職活動とタイパに関する意見の聞き取りを行った。就職活動を通して「タイパが悪い」と思ったことはあるか、そして思ったことがある場合、タイパが悪いと思ったことについての具体的な状況と、それに対する解決策として思い浮かぶものをフリーコメントで募った。また反対に「タイパがいい」と思ったエピソードについても記入してもらっている。

本コラムでは、その調査で寄せられた学生のコメントを一部紹介しながら、学生が就職活動においてタイパをどのように意識しているのかを探る。また、学生がタイパを意識するようになった時代的・社会的な背景についても考察したいと思う。

会社説明会に感じるタイパ

タイパを意識した行動としてよく紹介されるものに「映画を1.5倍速や2倍速で視聴する」、書籍や映画の内容を短くまとめた「要約動画を見る」、というものがある。映画を本来の尺ではなく短い時間で鑑賞する、本や映画の原典の内容が「解説本」のように簡潔にまとまって紹介されている動画を視聴するといった、より短い時間で効率的にコンテンツを摂取しようとする傾向は、今回のアンケートの中でも、録画形式での会社説明会や会社紹介の動画に関する回答の中にもみられた。以下に一部を紹介する。【表1】

「タイパがいい」と思ったこと(録画の説明会)
企業研究に適した動画を公開している企業に関してはタイムパフォーマンス良く就職活動を進められると感じたことがあります。「職種編」「企業理念編」「福利厚生編」などとチャプターで分けられていると見やすく、選考対策に取り組む意欲も湧きました。
オンデマンドの企業紹介動画。マイページ登録時点で録画済みの説明会やアーカイブが公開されていて、さらに倍速で視聴できた企業があったこと。
録画式の企業説明動画は、いつでもどこでも気軽に見れるので、準備の時間がなく、すばらしい。
【表1】「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 8月の活動状況」(2022年8月)

約7割の学生は、録画の会社説明会を早送りで見た経験がある

「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査」(2022年4月)によれば、録画のWEBセミナーを視聴する際、「いつも早送りしながら見る」という学生が46.7%で、「早送りすることもある」と回答した22.9%と合わせると、7割近くの学生が早送りして見た経験があることがわかる。【図1】録画のWEBセミナーに参加した感想でも、「気楽に見られる」(47.3%)、「一時停止してメモを取れるのが良い」(47.0%)といったものに続き、「1.5倍速で見られると効率的だと思う」(43.0%)、「早送りできるのがよい」(35.8%)と回答した学生も多い。【図2】

録画のWEBセミナーを視聴する際、早送りしながら見るか/「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 4月の活動状況」
【図1】録画のWEBセミナーを視聴する際、早送りしながら見るか/「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 4月の活動状況」
録画のWEBセミナーを視聴して思ったこと(上位抜粋)/「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 4月の活動状況」
【図2】録画のWEBセミナーを視聴して思ったこと(上位抜粋)/「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 4月の活動状況」

対面形式の説明会やライブ形式のオンライン説明会は、たしかに開催時間が固定であるという点で録画形式とは異なるが、企業に対して聞きたいと思ったことをその場ですぐに質問できるという柔軟性・メリットがある。一方で、いつでもどこでも視聴でき、必要な部分だけ視聴できたり、早送りしたり前に戻ったりすることができる録画形式の説明会は、時間を有効活用したい学生から支持されているようだ。

エントリーシート(ES)に感じるタイパ

さらに、コメントとして特に多く寄せられたものの1つが「エントリーシート(ES)」に関するものだ。「1つのESや履歴書を書くのに一日かけてしまった。 もっと文章を書くことに慣れておく必要があると思う」と、書くこと自体に苦労したというものもあれば、「ESの記入は非効率的だと感じた。各企業で何回も同じことを入力させる必要は明らかにない」のように各企業から同じようなことを質問されるにも関わらず、その都度作成・提出することへの苦労・違和感をコメントする学生もいた。

手書きのエントリーシートはタイパ的には不評

中でも特に目立ったのは「手書きのエントリーシート」についてのもので、「エントリーシートが手書きで、郵送しなければならなかったこと。webで提出にしてほしい」、「webで提出した履歴書の内容をさらに紙でも手書きで提出するように要求された時。紙での提出の必要性を感じない」、「オンラインのWord形式での履歴書提出があれば、学生側が手書きで履歴書を書く際の誤字脱字での書き直しなどがないと思った。企業側も『手書きでの字にはあたたかみがある』など言わずにこういう所からDXを進めて行けばいいと思う」のように、手書きで作成し提出することにかかる時間や苦労についてコメントする学生も多くみられた。【表2】

「タイパが悪い」と思ったこと(エントリーシート)
ESの記入は非効率的だと感じた。各企業で何回も同じことを入力させる必要は明らかにない
エントリーシートが手書きで、郵送しなければならなかったこと webで提出にしてほしい
オンラインのWord形式での履歴書提出があれば、学生側が手書きで履歴書を書く際の誤字脱字での書き直しなどがないと思った。企業側も「手書きでの字にはあたたかみがある」など言わずにこういう所からDXを進めて行けばいいと思う
webで提出した履歴書の内容をさらに紙でも手書きで提出するように要求された時。紙での提出の必要性を感じない
【表2】「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 8月の活動状況」(2022年8月)

タイパの良いエントリーシートとは

「タイパのいいエントリーシート」に関する事例も多く寄せられた。ESをオンライン上で提出できる仕組みにタイパの良さを感じているコメントがみられ、さらに各企業で共通して聞かれる内容については、共通のエントリーシートで複数企業に応募できるサービスを活用したり、あるいは内容をある程度テンプレート化したりするなど、作成の際の工数を減らす工夫をしている様子もうかがえる。【表3】

「タイパがいい」と思ったこと(ES編)
オンラインのExcelを使った履歴書提出があり、とてもタイパがいいと思った。
いろいろな企業に対して共通のエントリーシートを送れる仕組みがあったこと
ガクチカ等のよく聞かれる系のエントリーシートの質問は、事前にいくつかの文字数ごとのパターンを作っておき、コピペをたくさん行った。
【表3】「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 8月の活動状況」(2022年8月)

ESは手書きよりWEB提出が主流

2022年5月実施の学生就職モニター調査をみると、提出したエントリーシートについて「WEBが多かった」という学生に割合は年々増えており、23年卒の学生に関しては95.9%となっている。「どちらが良かったか」という質問でも、WEBと回答する学生が93.3%と圧倒的に多い。【図3】これだけWEB提出のエントリーシートがこれだけ普及している現状を踏まえると、紙・手書きでの提出に消極的になってしまう学生の気持ちも理解できる。WEB提出が主流の現状を踏まえれば、企業としてあえて紙による提出を求める場合には、それが紙でないといけない特別な背景など、学生が納得できる何かしらの意図も同時に示す必要があるだろう。

提出したエントリーシートはWEBと紙どちらが多かったか・どちらが良かったか/「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 5月の活動状況」(2022年5月)
【図3】提出したエントリーシートはWEBと紙どちらが多かったか・どちらが良かったか/「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 5月の活動状況」(2022年5月)

面接に感じるタイパ(対面形式orオンライン形式、AI面接)

面接においてタイパが悪いと感じる学生が多かったのは、対面での面接に伴う移動時間や、グループ面接、受験者を同じ時間に集合させ一人ずつ呼び出して行うタイプの面接に関してであった。【表4】

10分強の一次グループ面接を遠方の対面形式で行うこと。タイパだけでなくコスパも悪いと感じた
10分程度の個人面接をするために、東京、大阪、名古屋などの本社に出向くことです。行って帰ってくるだけなので、オンラインで良いのではないかと思います。解決策としては、最終面接以外はオンラインで行うことです。
グループ面接。自分がアピールできる時間が拘束時間に対して短すぎる。
一つの大きな会場に集められて、先着順に面接会場につれていかれたこと。 時間を決めて、余計な待ち時間ができないようにしたら良いと思った。
面接での待ち時間。数時間待たされることがあり辛かった。オンラインにすることで待ち時間を減らせるのではないかと考える
面接の待ち時間や移動時間で学業を休むことになり、学費を支払っているのにも関わらず授業を受けれなかったこと。オンライン面接であればもう少し良かったのにと思いました。
面接の待ち時間が長い。解決策は、当日の面接者が一斉集合するのではなく、一人一人に集合時間を決めることだと思う。
【表4】「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 8月の活動状況」(2022年8月)

この時代に「あえて対面でやる理由」が求められる

面接に限らず、就職活動全体における「移動時間」に対してタイパを意識する声は非常に多かった。先に述べた紙のエントリーシートと同様に、就職活動のオンライン化が進み面接においても対面とオンラインの使い分けが浸透している昨今、学生にとって「対面で実施する」ということが持つ意味・期待も変わってきている。オンラインではできないことだから対面で呼ばれているのだ、という意識になるため、「オンラインでも良かったのでは」と思うような内容であった時、その期待が拍子抜けに終わってしまったりすると、学生はタイパの悪さを感じてしまう。

グループ面接、順番に呼ばれるタイプの面接はタイパが悪い

グループ面接は、複数の応募者を同じ日時・場所に集め、一緒に面接ができるため、おそらく企業側にとってはタイパが良い方法なのかもしれない。だが逆に学生側からすると、参加する時間に対して自分の話を聞いてもらえる時間が短いなど、タイパが悪い方法として見られているようだ。個別で面接を行う場合も、やはり応募者を一堂に集め、一人ずつ呼び出して行うタイプの面接では、グループ面接と同じようなタイパの悪さを感じる学生がいる。与えられた時間内でいかにして自己PRできるかという点が、タイパの良し悪しを左右しているようだ

賛否両論のAI面接

またわずかであるが、AI面接に関するコメントも好意的・否定的なコメントがそれぞれ寄せられていたので紹介しようと思う。【表5】

AI面接. 似たような質問を何度もされてかなり時間の無駄だと思った. 定型の質問をするならESでいい.
オンラインでいつでも好きな時間に面接ができる「AI面接」です。大学から帰宅した後の夜遅い時間をうまく活用できました。
【表5】「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 8月の活動状況」(2022年8月)

「似たような質問をされる」ことへの抵抗感は、エントリーシートの部分で紹介した学生の感情に近い。聞きたい内容が、エントリーシートのほうが良いのか、AIに質問させるのかなど、企業側も慎重に見極める必要がある。一方で、「オンラインでいつでも好きな時に」というメリットを強調するコメントもあり、活用方法次第ではよりタイパの良い面接方法として今後普及していく可能性も見えてくる。

効率重視は、企業にとってもメリットが

ここまで、就職活動においてタイパが良い/悪いと感じる学生がいること、そしてどのようなシーンでそのように感じるのかについて、学生のコメントをもとに紹介してきた。エントリーシート、説明会、面接など、就職活動におけるさまざまなシーンにおいて学生からの希望や改善案などがみられたが、もしかしたら企業側からすれば、これらの要望や希望に対して「そこまで学生に意向に合わせないといけないのか…」とやや悲観的に感じてしまうこともあるかもしれない。だが、ここに挙げた効率重視の傾向は、学生側だけでなく企業側にとってもメリットをもたらすものであることも指摘しておきたい。

新卒採用担当者は忙しい(7割以上の担当者は他業務と兼任)

企業に対して、新卒採用を担当する部署の構成・状況について聞いた調査によると、新卒採用担当部署の「全員が新卒採用専任である」と回答した割合はわずか4.7%で、大多数の78.4%は「全員が他業務と兼任している」と回答している。ほとんどの企業において新卒採用は、中途・経験者採用や、人事・労務、総務といった他業務との兼任のなかで行われているのだ。【表6】

新卒採用を担当する部署・チームの構成/「マイナビ2023年卒企業新卒内定状況調査」(2022年9月~10月)
【表6】新卒採用を担当する部署・チームの構成/「マイナビ2023年卒企業新卒内定状況調査」(2022年9月~10月)

さらに新卒採用のなかでも(現在のタイミングで言えば)、来年入社する内定者(2023年卒)への対応や、2024年卒の学生を対象としたインターンシップの企画や実施、さらに来年3月に解禁となる同じく2024年卒の学生への採用広報開始に向けた準備など、対応する学生の卒業年次をまたぎ、業務は多岐にわたる。

このように採用担当者は非常に多忙であることを考えれば、たとえば録画形式の会社説明会であれば、一度撮影さえしてしまえば、対面やオンラインでその都度開催し、場合によっては社内から登壇者を手配するといった工数を省略できる。エントリーシートも、オンライン提出の方が管理も容易で、ペーパーレスという利点もある。こうした点を取り入れることは、学生・企業の双方にとって、貴重な時間を有効活用できるというメリットにつながる面も大きいはずだ。

タイパ志向はどこからきたのか

このように、タイパ志向は、学生だけでなく、学生に向き合う企業側のメリットにもつながると言えるが、では、こうした就職活動におけるタイパへの意識は、どのようにして生まれてきたものなのだろうか。ここからは、タイパを意識する学生の志向がどのようにして形づくられたものなのか、その背景を探ってみようと思う。

就職活動に費やす時間は減少傾向

まず、下のグラフは、1日のなかで就職活動に費やしている時間を学生に聞いた結果(各年3月末時点の数値)を表したものだ。2018年卒(2017年調査)を境にわずかではあるが減少傾向にあり、2018年卒に平均6.0時間だったのに比べると、2023年卒は4.4時間と、1.6時間も減っていることがわかる。【図4】費やされる時間が減っている一方で内定率は逆に増加傾向であり、タイパという観点から見れば、就職活動が年々効率化していると言える。学生の本業が学業・研究であることを考えれば、この傾向は喜ばしいものだと言えよう。

1日で就職活動に費やしている時間の平均/「2023年卒 学生就職モニター調査 3月の活動状況」(2022年3月)
【図4】1日に費やしている時間の平均/「2023年卒 学生就職モニター調査 3月の活動状況」(2022年3月)

スマホの普及率と、就職活動の効率化

就職活動に費やす時間は2017年(2018年卒)から減少し始めているが、この2017年がどのような年であったか。特にZ世代がデジタルネイティブ、ソーシャルネイティブとも言われる世代であることを踏まえ、インターネット・情報通信に関する面からこの2017年をみてみる。総務省が情報通信機器の保有状況に関してまとめている「令和4年 情報通信に関する現状報告の概要」では、2017年はスマートフォンの世帯保有率がパソコンや固定電話を逆転した年であることが示されている。【図5】以降、スマホの保有率は年々増加し、現在に至っているが、スマホを通じて「いつでもどこでも」インターネットにアクセスできる環境が日本社会全体で整ったことで、学生の就職活動においても企業情報の収集や応募、説明会へのエントリー(人気企業において説明会へのエントリーは時間との勝負だ)、企業とのメールのやりとりなど、さまざまな面においていつでもどこでも対応が可能になった。こうした変化は時間をより有効に活用しようという学生の意識を高め、それが就職活動におけるタイパへの意識につながっていった、と考えることができる。

情報通信機器の世帯保有状況/総務省「令和4年 情報通信に関する現状報告の概要」
【図5】情報通信機器の世帯保有状況/総務省「令和4年 情報通信に関する現状報告の概要」 より作成

コロナ禍による就職活動のオンライン化も追い風に

スマホ普及率の増加というベースに加え、就職活動の効率化に拍車をかけたと考えられるものが、新型コロナウイルス感染症の拡大(コロナ禍)だ。就職活動に費やす時間についてのグラフを再び参照すると、コロナ禍の前後である2020年卒(2019年調査)から2021年卒(2020年調査)にかけて平均0.7時間の減少がみられる。他の年だと大きくても0.5時間ほどの減少幅であることを考えると、若干だが大きい下げ幅だ。コロナ禍に就職活動の急速なオンライン化が進んだことで、説明会・セミナー、面接への参加といったもともと比較的拘束時間の長い活動も、オンラインや録画での実施が増えた。こうした変化により、学生側がオンラインを活用し時間を効率的に使えるようになったことも、学生がタイパをより意識するようになった追加の要因として考えられる。学生がタイパを意識することは、決してZ世代の学生が時間に細かくわがままだからではなく、日本社会へのスマートフォンの普及という情報通信面での潮流や、コロナ禍による就職活動のあり方の急激な変化といった社会情勢の変化のなかで学生が身に着けていった1つの適応策だからである、とも言えるだろう。

タイパは諸刃の剣?

スマートフォンの普及とコロナ禍による就職活動の急速なオンライン化。本コラムでは、この2つを就職活動におけるタイパへの意識の要因として検討してみた。録画説明会を活用し自分が知りたいと思う情報に無駄なく素早くリーチしたりすることで、就職活動にかける時間を有効に、効率的に使う。それによって生まれた時間を、本業である学業や研究、さらにサークル・課外活動やアルバイトなど、学生生活のなかでしかできない経験に充てることは、そうした経験がガクチカの形成といった面で就職活動への良い循環につながることも考えれば、非常に良いことだと言えよう。少しだけ懸念があるとすれば、録画説明会でスキップした部分にその会社の意外な情報が紹介されていたり、対面で参加していれば感じることのできた企業担当者の雰囲気があったり、効率化するなかで無駄だと思ってスルーしていた部分に、思わぬ発見や有益な情報が隠れていることがあるかもしれないということだ。タイパは限られた時間を効率的に使い就職活動や学生生活を充実させる武器である一方、「見たい情報しか見ない」ことによりリーチできたかもしれない情報にリーチできなくなるという機会損失の可能性もはらんでいるように思う。使い方次第で、現代を生き抜く武器にも、自分の視野を狭める罠にもなりえる。タイパは諸刃の剣なのかもしれない。

キャリアリサーチLab研究員 長谷川洋介

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