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産後パパ育休の取得意向とパパの家事育児時間の目安

2022年10月施行開始の産後パパ育休について

2022年4月に育児・介護休業法が改正され、その中で新たに創設された産後パパ育休(出生時育児休業)は2022年10月から施行される。産後パパ育休は通常の育児休暇とは別に新生児の父親が取得できるもので、内容は下記の通りである。

・対象期間:子の出生後8週間以内
・取得可能日数:4週間まで
・申出期限:原則休業の2週間前まで
・分割取得:分割して2回取得可能
・休業中の就業:労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業が可能

これにより、父親の育児参加促進、母親の負担軽減が期待されている。

2022年4月に実施した「ライフキャリア実態調査」を参照すると男性は休日であっても全く家事・育児をしない人と1時間程度の人で46.5%と半数弱になり、家事・育児に積極的とは言えない【図1】。

既婚男性全体(n=2779)の休日家事・育児時間/マイナビライフキャリア実態調査
【図1】既婚男性全体(n=2779)の休日家事・育児時間/マイナビ ライフキャリア実態調査(2022)

そのような状況で今まで子のいない既婚世帯においては、新生児の育児は未知の領域であり、実際にどれだけの労力・時間がかかるか計り知れないものと言える。子供の育児に必要な時間は養育環境や親・子の状態など家庭によって全く異なることではあるが、0歳児のいる家庭の家事・育児時間を目安として算出し、現在子のいない男性の家事・育児時間と比較をすることで、そこにどれだけのギャップが存在するかを示し、またそのギャップを埋めるにはどうすれば良いかということを本コラムでは考えていきたい。

パパ育休意向者の割合と属性

2022年4月時点既婚者に対して産後パパ育休について意向割合を聞いたところ、男性では「取得したい」が29.6%、女性では「(配偶者に)取得してほしい」が32.2%であり、女性の期待が男性をやや上回った。
また男性を属性別に見ると、20代(62.0%)、30代(58.6%)で取得意向が半数を超え、さらに同居の子あり世帯(54.6%)、子なし世帯(61.2%)でも半数を超えていた【図2】。若年層や子のいない世帯などパパ育休取得のメイン層と考えられるところでは取得意向は高い結果であった。

産後パパ育休取得意向(全体・性別・男性年代・男性世帯)/マイナビライフキャリア実態調査
【図2】産後パパ育休取得意向(全体・性別・男性年代・男性世帯)/マイナビ ライフキャリア実態調査(2022)

パパはどれくらいの時間を家事・育児にかけるか

パパ育休取得意向者の中で20代-40代の子供なし男性の家事時間を確認すると、平日では「1時間」がもっとも高く、43.4%、次いで「2時間」が21.7%で平均は2.71時間、休日では「1時間」がもっとも高く32.8%、次いで「2時間」が27.6%で平均2.47時間であり、平均をとると休日の方が家事に時間をかけていなかった【図3】。さらにここから平日×5日、休日×2日として1週間の総家事・育児労働時間を算出すると、18.47時間となった。

20-40代既婚子なしパパ育休取得意向男性(n=81)の平日・休日の家事時間/マイナビライフキャリア実態調査
【図3】20-40代既婚子なしパパ育休取得意向男性(n=81)の平日・休日の家事時間/マイナビ ライフキャリア実態調査(2022)

次に第一子が0歳児世帯の総家事・育児時間を算出する。男女で見ると、男性が平日で2.58時間、休日で4.39時間、女性が平日で6.43時間、休日で7.25時間であった【図4】。

第一子が0歳児の既婚男女別平日・休日の家事・育児時間/マイナビライフキャリア実態調査
【図4】第一子が0歳児の既婚男女別平日・休日の家事・育児時間/マイナビ ライフキャリア実態調査(2022)

これを1週間に換算すると男性21.68時間、女性46.65時間で男女合わせた世帯の1週間総家事・育児時間は68.33時間になった。

ここまでで、パパ育休取得意向の子なし男性と0歳児のいる世帯の1週間の総家事・育児時間を算出できた。これを基に、最長取得期間である4週間のパパ育休を取得した場合、子なし男性は現在と比べてどれくらい家事・育児時間が増えそうかを算出していく。

子なしパパ育休意向者と0歳児のいる世帯の家事・育児時間/マイナビライフキャリア実態調査
【表1】子なしパパ育休意向者と0歳児のいる世帯の家事・育児時間/マイナビ ライフキャリア実態調査(2022)

4週間の総家事(・育児)時間は、子なし男性で73.87時間、0歳児のいる男女合わせた世帯計では273.32時間であった。この273.32時間を目安として、育休取得意向ありの子なし男性が今よりどれほど家事・育児に時間をかけることになるかを考える。

第一案は、総家事・育児時間を男女で均等に分割するやり方である。そうすると男女ともに136.66時間(273.32時間÷2人)になる。また、パパ育休取得意向のある子なし男性の現在の家事時間からどれだけ増加するかを確認すると、4週間総家事時間が73.87時間(平日:2.71時間、休日:2.47時間)であるため、136.66時間から73.87時間を引いた時間(62.79時間)を4週間(28日間)で割ると1日2.24時間の増加であった。

上記の案では目安時間を等分にしたが、妻の負担を軽減させるという側面をより重視して、女性重みづけ案としての第二案も考える。

どれだけ重みづけをするかの指標として、「私生活でストレスを感じる度合い」の結果を参照する。子同居世帯の私生活でストレスを感じる度合いは全体で39.8%であり、休日の家事育児時間別に分析すると時間が増えるたびにストレス度は増え、3時間以上で平均を超える【図5】。

既婚者の家事・育児時間別私生活でのストレス度合い/マイナビライフキャリア実態調査
【図5】既婚者の家事・育児時間別私生活でのストレス度合い/マイナビ ライフキャリア実態調査(2022)

年齢に関わらず子同居の世帯の話ではあるが、家事・育児時間2時間以下で比較的ストレスが少なくなっていることがわかる。ここから、女性が比較的ストレスの少ない2時間分の家事・育児を担当したとすると、4週間で行う分は56.00時間ということになり、0歳児のいる世帯計の家事時間との差分(273.32時間-56.00時間)は217.32時間である。この差分を男性が担当するとして、これを1日に換算すると男性の家事・育児時間は7.76時間になる。またパパ育休取得意向のある子なし男性の現在の家事時間からどれだけ増加するかを確認すると、1日5.12時間の増加であった。 現在の子なし男性に育児が発生した場合、女性だけの負担が増えないように時間配分をすると、2~5時間と多くの時間が増加されることがわかった。

4週間目安家事・育児時間の男性担当時間案
【表2】4週間目安家事・育児時間の男性担当時間案/マイナビ ライフキャリア実態調査(2022)

男女別私生活でのサポートの差

子を持った場合、子なしであった時よりも家事・育児時間が増えるのは性別に関わらないことであるが、男性は比較的家事育児時間が少ない傾向にあるので増加幅は顕著である。加えて、男性では「仕事以外の私生活で周囲からの助力(支援・サポート)」を求める意識や、実際に得られるサポートの差が女性と比較すると低い。家事・育児に限らず、私生活においてサポートが必要であるかを聞いたところ、子なし男性では62.5%、女性64.9%がサポートは必要と回答し、実際にサポートを得ている割合では男性36.5.0%、女性46.7%であった。これが第一子が0歳児の世帯になると、サポートの必要性は男性で69.7%、女性で90.5%。サポートを得ている割合は男性49.9%、女性78.3%になり、子なしと0歳児ありでのサポートの増加幅は男性よりも女性で大きかった【図6】。子を持つと女性では周りのサポートをより得ようと思うようなるが、男性では女性ほどの意識の変容はないようだ。

既婚男女別私生活でのサポートの必要性と実際にサポートを受けているか/マイナビライフキャリア実態調査



【図6】既婚男女別私生活でのサポートの必要性と実際にサポートを受けているか/マイナビ ライフキャリア実態調査(2022)

サポートをして欲しい相手を確認すると、0歳児あり女性は同男性よりも多くの人からサポートをして欲しいと感じている。私生活においてサポートして欲しいことがある相手の割合は、どちらとも配偶者・パートナーが最も高いが、女性は男性に比較して8項目で10pt以上も高い【図7】。

0歳児のいる既婚男女別私生活で助力(支援・サポート)を得たい相手/マイナビ  ライフキャリア実態調査
【図7】0歳児のいる既婚男女別私生活で助力(支援・サポート)を得たい相手/マイナビ ライフキャリア実態調査(2022)

子を持つと女性では周囲のサポートをより得ようと思うようになるが、男性では女性ほどの意識の変容はないようだ。また内訳を見ても、女性では配偶者・パートナー以外からもサポートを得たいと考える割合が比較的高い。

上記2案の男性家事・育児目安時間を考えると、今まで子がいない世帯だった男性が産後パパ育休を取得した場合突然多くの時間を今まで経験したことのない育児に費やすことになる。子育てという未知の領域を乗り切るためには、男性も一層積極的に周りのサポートを得る意識を持つことが望まれる。

まとめと課題

本コラムでは2022年10月施行される産後パパ育休に関して子供のいない男性の取得意向を確認し、実際に0歳の育児をしている世帯の目安家事・育児時間と子なしパパ育休取得意向者の家事時間との間にどれほどのギャップがあるかを確認した。

パパ育休意向は既婚者全体では3割ほどで女性の方が男性よりも高かった。また、0歳児のいる世帯の総家事・家事育児から、現在子のいない既婚男性が子を持った時に、パパ育休期間中に家事・育児時間を等分したり配偶者の負担を軽減させたりするためには、計算上1日平均2~5時間ほど家事・育児時間を増加させることになる。ただし、本コラム冒頭でも示した通り、家事育児に関しては家庭によってかける時間が全く異なり、すべての家庭に適用可能な標準時間を設定することは難しい。また、仮に標準時間を設定できたとしても、日々成長していく子供を育てるということにおいて、一定の時間育児を行ったから十分という発想はできない。

その上で、実際に0歳児の育児を行っている世帯と子供のいない世帯の家事・育児時間を比較しておくことは、現状の休日の過ごし方とはどれほど異なるかということを予測し、来るべき育児に専念するための準備として扱うことができるだろう。ただし、本コラムで目安時間を考えるために使用した男女の平均家事・育児時間を合わせた世帯総家事・育児時間においても、男性と女性がそれぞれ別々の時間に家事・育児を行うという考えが前提とされており、実際には両者が同時に家事育児を行うことも考えられるため留意が必要である。

また回答者の平均時間で割り出した以上、少々大ざっぱな算出の仕方になってしまっているが、いずれにせよパパ育休を取得した際に育児に費やす時間は現状よりも多いだろう。パパ育休では、最大4週間の育児休暇を取得できることになるが、今まで女性が負担していた育児をただ男性が代替したところで育児の難易度が低まるわけではない。


0歳児同居世帯の私生活に対するサポート意識や実態を見てみると、女性と比較して男性はサポートを必要としていないし実際に受けていない。また必要と感じる男性でもサポートを求める相手は女性より少ない。女性は家事・育児にかける時間や労力が実際に多く、サポートが必要な状態になっている一方で、男性は家事・育児時間の少なさからそもそもサポートが必要な状態になってこなかったことが考えられる。しかし必要を感じる人でも、男性では配偶者・パートナー以外にサポートを求める割合が比較的低く、私生活において幅広い属性の相手に頼る意識が女性ほどはないように見られる。家事・育児においては性別問わず配偶者・パートナーを頼る意識が強まるだろう。だが男性があまりにも女性にサポートを求めすぎても、男性の育児参加促進、女性の育児負担軽減が目的の産後パパ育休の文脈においては本末転倒となってしまう場合もある。育児という未知の領域に踏み込むには他者のサポートも積極的に受けることが必要だろう。そうして成功事例を社会的にも積み上げることで、より男性の育児参加促進の契機になれば良い。

キャリアリサーチLab研究員 荒木 貴大

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