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テレワーク普及による地方移住の可能性もっとも移住したい都道府県No.1は?


3月に前年のマイナビライフキャリア実態調査を基に「テレワークが普及するとUターン人材はふえるのか」というコラムをお届けした 。その際「もしテレワークができたとしたら地元に住みたいと思うか」という1問の回答結果を基に地元移住の可能性をお伝えしたが、今回は少し質問を変更し「テレワークを前提として現在の勤め先で仕事内容や賃金が変わらない場合の他地域への移住希望」や「移住してみたい都道府県」、「移住して得たいもの」など、前回より少し掘り下げた形でテレワークと移住の可能性について報告してみたい。

テレワーク経験率や移住の検討は限定的

先ず前提となるテレワークの状況だが、8月のコラムで報告したように、2021年3月までに実施方法や制度の有無に関係なく、いずれかの方法でテレワークを「経験した」ことのある就業者の割合は26.1%と、4人に1人程度にとどまっている。そこで就業者全員に対して「テレワークやリモートワーク等の活用が進んでいますが、現在のお勤め先で仕事内容や賃金が変わらないとしたら、お住まいの都道府県から他の地域に移住してみたいと思いますか。」という問いを立て、実際に移住した割合や移住意向の割合を算出してみた。その結果、「移住してみたいと思い、実際に移住した」のはわずか1.3%、「移住してみたいと思い、現在検討中」は3.8%と少ない。「移住してみたいと思ったが諦めた」は20.3%(仕事以外の要因4.3%+勤務先の問題16.0%)と5人に1人はすでに移住を諦めている。残り74.6%は「そもそも移住してみたいと思ったことはない」としている【図1】。

【図1】テレワークを前提として現在の仕事内容や賃金が変わらないとしたら移住を検討するか(単一回答)(n=7,970)

出典:マイナビライフキャリア実態調査2021版

これを年代別で比較してみたところ、比較的若い層ほど移住を検討している割合が高かった。未婚割合が高く身軽な人や、子供が小さくて移住を検討しやすいという可能性が考えられる。また、地元外在住(15歳まで過ごした都道府県と現住所の都道府県が異なる)と、地元在住(15歳まで過ごした都道府県と現住所の都道府県が一致)の人とで比較をすると、やはり地元外に在住の人の方が移住を検討する割合が若干高い傾向がみられた【図2】。

【図2】(年代別)テレワークを前提として現在の仕事内容や賃金が変わらないとしたら移住を検討するか(単一回答)(n=7,970)

出典:マイナビライフキャリア実態調査2021版

移住したい都道府県のNo.1は

では実際に、移住先としてもっとも人気が高いのはどの都道府県だろうか。移住を検討したことのある25.4%の就業者に、自分が移住を希望する地域を都道府県プラス海外から複数回答で選択してもらったところ、全体でもっとも人気が高かったのは「沖縄県」17.6%で、2位が「北海道」15.4%、3位が「東京都」13.3%となった。年代別に比較してみると「沖縄県」や「長野県」は比較的高い年代の層から人気があり、「東京都」や「神奈川県」は大学を卒業する20-24歳の層から支持される割合が高いことがわかった。逆に移住先としてもっとも人気が低かったのは「福井県」となった。また、東京在住の就業者のうち、東京都が地元の人は沖縄県や海外、長野県などの比率が高い一方で、神奈川県・千葉県など都内近郊を選択する割合も高いことから、思い切って遠方を希望する人と、都内近郊を検討する人、両方の傾向があるようだ【表1】。

【表1】移住したい都道府県(複数回答)<上位抜粋>(n=2,023)
※15-19歳はn数が少ないため非表示

出典:マイナビライフキャリア実態調査2021版

「移住して得たいもの」は

続いて移住を検討したことのある人に「移住してもっとも得たいもの」を単一回答で聞いてみると、「充実した住まい環境」と「自然環境」が上位に挙げられた。テレワークが可能になれば自宅が職場を兼ねるケースも多く、住環境の充実がトップなのは頷ける。自然環境を望むのは東京都在住の人に顕著で、年代別でも年配者の人ほど自然環境を望む傾向が高かった。続いて「お金のかからない(安価な)生活」と「余暇に打ち込める環境」を望む回答がほぼ同率で並んでいる。北海道や北陸に在住の人は「余暇に打ち込める環境」を望む傾向が高い。今回は「現在の仕事内容や賃金が変わらない前提」で移住を検討したことのある人が対象なので、比較的ワークライフバランスを重視する傾向がみられる結果となった【図3】。

【図3】移住をして得たいものは何ですか。(単一回答)(n=2,023)
(移住を検討したことのある人限定)

出典:マイナビライフキャリア実態調査2021版

最後に

改めて調査結果を振り返ってみるとテレワークだけを条件とした移住は容易でないことがわかった。ただし、若い世代の移住を検討している割合が他の世代より高いことから、今後継続して自然環境や住環境の整備、移住費用の補助など他の施策と抱き合わせで広報していけば、移住の可能性が高まり、実現例が増えていくことも十分考えられる。
また、現時点では実現例は少ないが、テレワークの普及に伴って、今後企業の人事異動に変化も起こり得るだろう。たとえば、これまで結婚やパートナーの転勤に伴う転居等で異動・転勤を余儀なくされた社員でも継続して同じ部署のメンバーとして業務を遂行できるようになったり、転居させることなく営業担当の配置を注力地域に変更できるようになったりなど、テレワークの普及、定着で人事異動の選択肢を増やすことが可能になってくる。今後企業内で人材登用の在り方が変化し、職住接近ではない新たな事例が身近になれば、地方移住を検討する人も増えるのではないだろうか。
場所にとらわれない働き方はまだ動き始めたばかり。今後の可能性に期待したい。 

キャリアリサーチLab所長 栗田 卓也

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