マイナビ キャリアリサーチLab

テレワークの実施状況と職場の孤独感

新型コロナウイルスの影響で拡大したテレワーク。私自身も前年から週に数日、在宅勤務でテレワークを実施してきた。はじめは不慣れだった在宅勤務も徐々に経験と環境整備が進み、出社時とさほど変わりない業務遂行が可能になった。とはいえ、世の中では一体どれだけの人がテレワークを実施できているのだろうか。

2020年11~12月に国土交通省が実施した大規模なテレワーク調査の結果では自営業者を含めた全就業者を対象とした場合 、22.5%の人がテレワークを経験しているという結果が出ている※1。
※1令和22年度のテレワーク人口実態調査結果(国土交通省)
 
そこで今回は、弊社の大規模調査「マイナビライフキャリア実態調査 」から、どの程度の人がテレワークで就業していたのか、さらにはその内訳としてどのような人がテレワークに従事していたのかを探ってみることにした。また、実際にテレワークを行っている人はどのような課題に直面しているのかについても、調査結果から見えた実状を簡単にレポートしてみたい。

テレワーク経験者は未だ26.1%。正社員とパートアルバイトで大きな差

まずは「マイナビライフキャリア実態調査2021年版」を基に、2020年4月~2021年3月の間に就業者として働いていたことのある人を対象として、テレワーク制度の有無および、自身の経験の有無を聞いた。結果、実施方法や制度の有無に関係なくいずれかの方法でテレワークを「経験した」ことのある就業者の割合は26.1%となった。実施方法別に比較してみると「在宅勤務」が20.0%でもっとも 高く、続いて「サテライトオフィスで勤務」が9.4%、「ブース型シェアオフィスで勤務」や「カフェで勤務」は5%前後と少ない。テレワークは「在宅勤務」を中心に行われていたことが分かる【図1】。

【図1】テレワーク・リモートワークの実施状況(ライフキャリア実態調査)
【図1】テレワーク・リモートワークの実施状況(ライフキャリア実態調査2021年版)

続いて、もっとも実施割合の高い在宅勤務に絞って雇用・就業形態ごとに比較してみると「正社員(正規の職員・従業員)」の32.6%や、「会社・団体などの役員」32.4%などは在宅勤務経験比率が高い一方で、「パートまたはアルバイト」は6.9%と低い結果となっている。「パートまたはアルバイト」の場合、制度自体の導入割合も7.6%と低く、そもそも在宅制度が整備されていないことに加え、接客販売などの対面業務の比率が高いことが要因と思われる【図2】。

就業形態別の在宅勤務経験割合(全就業者)(ライフキャリア実態調査2021年版)
【図2】就業形態別の在宅勤務経験割合(全就業者)(ライフキャリア実態調査2021年版)

在宅勤務経験者はどのような属性で多かったのか(正社員限定)

改めて「在宅勤務経験者(以前より制度として導入されており、自分にも適用されている + 制度として導入していないが、新型コロナウイルス対策として一時的に行っていた)」の大半を占める正社員に限定して、その属性を比較してみた。まずは勤務地を地域別でみると、東京都の割合が30.2%と圧倒的に高い。現在の勤め先の従業員規模では千人以上の割合が48.9%と半数近くを占め、規模の大きな企業の割合が高い。男女別はやや男性の割合が高い程度だった【表1】。

エリア・従業員規模別の在宅勤務経験割合(正社員)(ライフキャリア実態調査2021年版)
【表1】エリア・従業員規模別の在宅勤務経験割合(正社員)(ライフキャリア実態調査2021年版)

業種別に在籍人数に占める在宅勤務経験者割合をみると「保険業(保険媒介代理業、保険サービス業を含む)」の76.6%や「情報サービス業」の67.3%、「通信業」の64.5%などで経験者比率が高いことが分かる。一方、割合が低いのは「医療業、保健衛生」の5.7%を筆頭に、「小売業(スーパー)」6.1%、「道路貨物輸送業」6.9%、「社会保険・社会福祉・介護事業」7.7%などのいわゆるエッセンシャルワーカーと呼ばれる現業系業種が多いことが分かる【表2】。やはり国土交通省の調査結果と同様、弊社調査でも大都市圏で従業員規模の大きな企業を中心に、在宅でも業務可能な業種において実施率が高いという結果が示された。

正社員の業種・職種別在宅勤務経験割合(回答数30以下の業種を除いてランキング)
【表2】正社員の業種・職種別在宅勤務経験割合(回答数30以下の業種を除いてランキング)

在宅勤務と職場での孤独感の関係性

在宅勤務経験の有無でさまざまな項目を比較してみたところ、ひとつ気になる結果があった。仕事や職場において「孤独感や孤立感を感じていたか」という質問において、在宅勤務経験者の孤独感を感じていた 割合が22.1%と、未経験者の18.9%より若干高かったのだ。昨今、テレワークによる職場でのコミュニケーション不足が話題なることが多い。新入社員や転職者の場合、入社していきなり在宅勤務というケースも多かったはずだ。そこで性年代別に孤独感を比較してみた結果、女性より男性の方が在宅勤務経験者において孤独を感じる割合が高く、特に「35-44歳」と「55-64歳」の男性でその傾向が高めに見られた。一方で、若い世代は在宅勤務経験の有無であまり差がみられないことから、在宅勤務による環境変化にある程度順応している可能性を示す結果となった【図3】。

仕事や職場において「(どちらかといえば含む)孤独や孤立を感じている」割合(ライフキャリア実態調査2021年版)
【図3】仕事や職場において「(どちらかといえば含む)孤独や孤立を感じている」割合(ライフキャリア実態調査2021年版)

ただし、孤独を感じるのは単に在宅勤務の影響だけではないだろう。そこで孤独を感じる理由をテキスト回答から探ってみると、ある程度の傾向がみられた。孤独を感じる理由として在宅経験の有無にかかわらず職場の「人間関係」を指摘する記述がもっとも多く見られた。続いて「何となく・特になし」といった漠然とした不安、「周囲からのサポートや相談」を得られない、周囲と「話が出来ない」状況などが多く見受けられた。これは在宅勤務経験者の方がやや多く見受けられるため、テレワークやリモートワークによるコミュニケーション不足や不慣れな状況が、孤独感を醸成している可能性として考えられる【図4】。

「仕事や職場において「(どちらかといえば含む)孤独や孤立を感じている」理由を分類(ライフキャリア実態調査2021年版)
【図4】「仕事や職場において「(どちらかといえば含む)孤独や孤立を感じている」理由を分類(ライフキャリア実態調査2021年版)

特に「55-64歳 」の男性は役職者の割合がやや高く、周囲に同期や同僚も少ないため、もともと孤独感を感じやすくなっている可能性が高い。さらに追い打ちをかけるようにテレワークが実施され、年配者 はテレワーク業務に不慣れなまま、周囲に相談できる相手も見つけられず、孤立しやすくなっているのではないだろうか 【表3】。

信頼できる良きパートナー、相談相手がいないので(56歳・神奈川県勤務・役員クラス)
管理職のため(61歳・東京都勤務・部長クラス)
単身赴任、はじめての担当業務(59歳・東京都勤務・部長クラス)
発言をする機会が少ない(57歳・兵庫県勤務・課長クラス)
テレワークしている為(59歳・大阪府勤務・課長クラス)
傷病や年齢によるポテンシャルの低下を理解されていない(60歳・長崎県勤務・役職無し)
【表3】テレワーク経験のある男性55-64歳の回答を一部抜粋(ライフキャリア実態調査2021年版)

最後に

改めてデータを見直してみると、コロナウイルスの影響によりテレワークの普及が加速したことは間違いないが、大都市圏を中心とした従業員規模の大きな会社が中心で、なおかつリモートでの業務が可能な業種・職種に限って実施されていたことが分かる。また、テレワークにしっかり適応できている人がいる一方で、コミュニュケーション不足による現場の課題も見えてきている。

「仕事に対する満足度」と「仕事や職場での孤独や孤立感」の関係(ライフキャリア実態調査2021年版)
【図5】「仕事に対する満足度」と「仕事や職場での孤独や孤立感」の関係(ライフキャリア実態調査2021年版)

今回は性年代別で見られた孤独感を比較してみたが、急速なテレワークの導入の裏側でこれから改善が必要な事項もいくつか見え始めている。上記結果のように、実際に孤独感を感じている人といない人で比較すると、孤独を感じている人の方が仕事に対する満足度が低い傾向にあり、パフォーマンスにも影響しかねない【図5】。

現在、テレワークにおけるコミュニケーション方法に関する検討がさまざまなされているが、各年代の特徴や問題も加味しながら設計を考える必要がありそうだ。今後、テレワークにおけるコミュニケーションの在り方についても分析を進めていきたい。

キャリアリサーチLab所長 栗田 卓也

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