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コロナ禍で2020年のアルバイト採用はどう変化したのか

2020年は新型コロナウイルスの影響でアルバイト採用も大きく変化した年となった。これまでは深刻な人手不足のために、企業は採用活動を行っても希望通りの採用ができないことも多かった。

本コラムでは、2020年11月に行った「マイナビ人材ニーズ調査」の結果をもとに「コロナ禍で2020年のアルバイト採用はどう変化したのか」を見ていきたい。

■正社員(新卒・中途)採用と比較したアルバイト採用

2020年の採用状況について、雇用形態別に本年働き始めた人がいる割合を見てみると、新卒採用では65.9%、中途採用では77.6%、アルバイトでは56.9%となった。
2019年と比較すると、新卒・中途採用はほぼ横ばいとなっている一方、アルバイト採用は減少傾向となっている【図1】。

「マイナビ人材ニーズ調査」本年働き始めた人がいるか・グラフ

次に採用人数について、「2020年1月時点に予定していた採用人数平均」と「2020年に実際に雇用契約を結んだ人数平均」を比較してみる。
新卒採用の2020年1月時点の採用予定人数平均は30人であったのに対し、実際の採用人数平均は16.4人であった。中途採用は予定平均9.1人、実績平均10.1人と微増。アルバイト採用は予定平均15.3人、実績平均13.2人と減少している。
新卒採用とアルバイト採用において当初の予定よりも実績の採用人数平均が減少したのは、従業員数1,000人以上の企業の実績が大きく減少したことが影響している【図2】。

「マイナビ人材ニーズ調査」採用人数と雇用した人数平均・表

2020年の雇用形態別の採用活動について
新卒採用においては、コロナ禍でも新卒採用を将来への投資と考え、2019年と比較して採用を行った企業の割合はほぼ変わらないが、採用を行った企業のうち、年始の計画から人数を削減して採用を行っていた企業が多かったとみられる。
中途採用においては、2019年比で中途採用を行った企業の割合は変わらず、採用人数平均の実績も年始の計画から大幅に減少することはなかった。従業員数1,000人以上の企業においては、当初計画していた採用人数平均よりも実際に採用した人数平均の方が増加していた。コロナの影響は受けつつも、大きく変わった環境に対応するために一部企業で即戦力の需要が高まったためだ。
アルバイト採用においては、2019年比で採用を行わなかった企業もあり、採用人数平均の実績も年始の計画から減少した。アルバイトを多く採用するのは新型コロナウイルスの影響を大きく受けたサービス業が中心であることから、企業の採用活動へのインパクトも新卒採用や中途採用より大きかったようだ。

■コロナ禍でアルバイトを採用した理由は?

2020年にアルバイトを採用した企業に採用理由を聞いたところ「慢性的な人手不足」が40.6%、次いで「一時的な業務量や変動に対応するため」が23.7%、「退職者・休職者分の補填」が22.2%となった。 コロナ禍でもアルバイト採用の理由として最も高いのが「慢性的な人手不足」となっているが、2019年と比べると、4.7pt減少している【図3】。
「マイナビ人材ニーズ調査」アルバイトを採用した理由・表

また、「慢性的な人手不足」を理由にアルバイトを採用した割合を業種別に見てみると、2019年と比較して「製造業」で-14.7pt、「建設業」で-12.2pt等、多くの業種でその割合が減少している一方で、「運輸・輸送業」は+4.2pt、「教育業」は+0.5pt、「医療・福祉」は-0.3ptと、微増又は微減で留まっている業種もあることがわかる【図4】。

「マイナビ人材ニーズ調査」人で不足でアルバイトを採用した割合・グラフ

2020年のアルバイト採用の理由として
コロナ禍でも人手不足を理由としたアルバイト採用は依然として続いていたが、2019年と比べると減少した。また、業種によって差があり、「運輸・輸送業」「教育業」「医療・福祉」においては2019年とほぼ変わらない割合で推移しており、5割前後の企業が2020年も人手不足を理由としたアルバイト採用を行っていたようだ。

■アルバイトの時給はどう変化したのか?

「マイナビバイト」に掲載されていたアルバイト求人の全国平均時給の推移を見てみると、2019年後半から2020年初めごろまで前年同月比で+4~5%前後で推移していたものの、その後は+2~3%の推移となり、2021年1月には前年同月比で減少した。前年同月比で減少したのは2年7カ月ぶりのことであった。
2020年はコロナによる景気低迷を受け、リーマン・ショック後の2009年度以降11年ぶりに国が最低賃金の引上げの目安を示さなかった。結果、最低賃金の全国平均の引上げ額が+1円に留まり、賃上げのペースが大きく落ちた年となった。加えて緊急事態宣言の影響もあり、平均時給相場の高い首都圏を中心に求人数が減少したこと、また、企業も採用難による時給のつり上げを2019年と比べて行わなかったことも影響し、平均時給の上昇ペースが落ちたとみられる【図5】【図6】。

「マイナビ人材ニーズ調査」全国平均時給・前年比グラフ
「マイナビ人材ニーズ調査」採用目標達成のため、時給をあげた割合・グラフ

■2021年のアルバイト採用はどうなる?

同調査で、2021年のアルバイト採用の予定を聞いたところ、60.5%が「採用を行う予定」と回答した。2020年の採用実績と比較すると、+3.6ptと大幅ではないが増加傾向となっている。
新型コロナウイルスの終息も未だ先が見えず、その状況次第であることは確かだが、2020年よりは採用を強化しようとする企業の意欲を窺うことができた【図7】。
また、コロナを機に企業が働く人に求める能力は変わってきている【図8】。新型コロナウイルス流行という予想もしない大きな出来事に遭遇したからこそ、ITスキルや生産性のさらなる向上や新しい環境に適応する能力の重要性が高まったようだ。
働く人に求める能力のこのような変化は、コロナ禍においてだけではなくその後もなくならずに、むしろ強まっていくのではないかと考えられる。

「マイナビ人材ニーズ調査」2021年アルバイト採用予定・グラフ
「マイナビ人材ニーズ調査」新型コロナウイルス影響で非正社員に求める能力の変化・グラフ