企業の雇用施策に関するレポート(2025年版)
- 2025年は71.1%が新規採用者の賃金を上げる予定
- 6割超の企業が教育研修費を増額予定。強化したい分野はデータ分析や情報セキュリティ
- 法改正で進むシニア雇用環境整備、シニア人材への期待は「技術や知識の継承」
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、全国企業の中途採用担当者を対象に雇用施策の導入傾向や今後の意向に注目した「企業の雇用施策に関するレポート(2025年版)」の結果を発表しました。
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トピックス
- 2024年に企業が特に力を入れた従業員向け施策は「人事考課・評価制度の見直し」が最多
- 2025年は7割以上が新規採用者の賃金を上げる予定。小規模企業において「上げる予定」が前年から上昇
- 2025年に従業員の教育研修費を上げる予定の企業は64.5%。「データ分析・統計解析」「情報セキュリティ」分野のニーズが高い
- 法改正にむけて進むシニア雇用環境の整備。シニア人材への期待は「技術や知識の継承」、課題は「健康管理への対応」
調査詳細
2024年に特に力を入れた施策
- 2024年に企業が特に力を入れた従業員向け施策は「人事考課・評価制度の見直し」が最多
企業が従業員に対して実施している施策は「有給取得率向上(29.3%)」が最多となり、「人事考課・評価制度の見直し(25.6%)」「在宅ワーク・リモートワーク制度(24.5%)」と続いた。
その中で、2024年に特に力を入れた施策を聞いたところ、「人事考課制度の見直し(13.4%)」が最多となり、「女性管理職比率の拡大(11.3%)」や「賃金テーブルの見直し(11.1%)」も上位5位以内に入った。
物価高のなか賃上げの動きが高まった2024年において、優秀な人材を獲得・定着させるための施策が重点的に取り組まれたことが推察される。【図1】
2025年の新規採用者賃上げ予定
- 2025年は7割以上が新規採用者の賃金を上げる予定
- 小規模企業においても「上げる予定」が前年から3.3pt上昇
2025年の新規採用者の賃上げ予定を聞いたところ、賃金を「上げる予定」は71.1%で3年連続7割を超えた。【図2】
従業員数別にみる2025年賃上げ予定
従業員規模別では、従業員数3-50名規模の企業で「上げる予定」が48.7%と半数未満であるものの、前年より3.3pt上昇した。少しずつではあるが、大企業だけでなく小規模企業においても人手確保のために賃上げに踏み切る動きが、徐々に出てきていると推察される。【図3】
業種別にみる2025年賃上げ予定
業種別では「環境・エネルギー(86.7%)」「金融・保険・コンサルティング(72.0%)」「流通・小売・サービス(68.9%)」「運輸・交通・物流・倉庫(70.9%)」で「上げる予定」が前年より増加した。【図4】
従業員の教育研修費とリスキリング
- 2025年に従業員の教育研修費を上げる予定の企業は64.5%
- 「データ分析・統計解析」「情報セキュリティ」分野のニーズが高い
2025年の従業員教育研修費の増額予定
2025年の従業員教育研修費について、64.5%が「(2024年よりも)上げる予定」と回答した。業種別では「商社(77.0%)」や「環境・エネルギー(76.7%)」「IT・通信・インターネット(70.1%)」が7割以上で高いほか、「流通・小売・サービス(63.9%)」や「運輸・交通・物流・倉庫(67.0%)」で、前年より上げる予定が5pt以上増加した。【図5】
必要だと思うリスキリング内容
従業員にとって必要だと思うリスキリング内容を聞いたところ、「データ分析・統計解析(36.9%)」「情報セキュリティ(31.0%)」が上位となった。従業員研修費を上げる予定が前年より増えた、「流通・小売・サービス(39.3%)」「運輸・交通・物流・倉庫(36.9%)」においても多く回答されていた。
人手不足が加速する業界を筆頭に、データを活用した効率化や競争力強化に特化した人材の育成が求められていることが推察される。また、デジタル化に伴い上昇しているサイバー攻撃のリスクや情報漏洩リスクに対して、セキュリティ知識をもって企業を守ることができる人材のニーズも同様に高まっていることが考えられる。【図6】
シニア人材に期待すること・課題点
- 法改正にむけて進むシニア雇用環境の整備
- シニア人材への期待は「技術や知識の継承」、課題は「健康管理への対応」
2024年12月時点のシニア人材(60歳以上)の雇用制度について聞くと、「定年65歳」が38.4%、「定年66歳以上」が15.2%、「定年廃止済み」が10.1%、「定年が65歳未満だが継続雇用制度がある」企業が33.6%となった。
2025年3月に高年齢者雇用安定法の経過措置が終了するため、今後もシニア人材の雇用が進むと考えられる。【図7】
シニア人材に期待することを聞いたところ、「技術や知識の継承(42.1%)」が最も多く、「業務経験を活かした高度な仕事ができる(37.1%)」「社内や社外の人脈伝承(36.5%)」が続いた。「他従業員のメンターになること(33.1%)」も上位に入り、培ってきた豊富な経験や人脈を活かすことに加え、同僚に寄り添える存在としても期待されていることがうかがえる。
一方で、シニア人材の雇用において不安や課題に思うことは、「体力低下・健康管理への対応(33.4%)」「若手層とのコミュニケーションが難しい(28.4%)」が上位となった。【図8】
調査担当者のコメント
2024年は33年ぶりに5%台の賃上げが実現するなど、賃上げの動きが活発になった一年でした。
そのため優秀な人材を獲得・定着させるため、改めて賃金テーブル全体の見直しや評価制度の適正化に力を入れた企業が多かったのではと推察されます。
今後も賃金を上げての採用活動が続く見通しです。リスキリング費用の増額予定も64.5%にのぼり、人材育成に積極的な投資をする姿勢の企業が多いことがうかがえました。
また、シニア社員の雇用機会の整備が進み、シニア人材への期待感もうかがえる一方で、健康管理への配慮や若手層との関係性などの課題もみうけられました。
シニア社員に期待することを丁寧にすり合わせながら、双方の納得行く体制を構築することによって、若手社員の育成や組織全体のスキル向上につながるのではないでしょうか。
この先も続くと予想される人手不足を乗り切るために、賃上げだけでなく、シニア世代が働き続けられるモデルの構築やリスキリングを強化することで、世代を問わず成長できる環境を整備することが人材の定着につながると考えられます。
マイナビキャリアリサーチラボ研究員 元山 春香
調査概要
調査期間 | 2024年12月18日~12月25日 |
---|---|
調査方法 | インターネット調査 |
調査対象 | 従業員数3名以上の企業において、直近(2024年1~12月)に中途採用業務を担当し、 「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者 |
有効回答数 | 1,500件 |
※調査結果は、端数四捨五入の関係で合計が100%にならない場合があります。
※n=30以下は参考値としております。
レポート内目次
- 従業員施策および採用者向け施策
- 副業・兼業者受けれサービスの利用状況
- 役職定年および65歳以上の雇用制度
- 賃上げの実績と2025年の賃上げ予定
- リスキリング・従業員教育費用
- リスキリングが必要だと思う職種・内容
- シニア人材への期待と課題
- 退職者への施策~風評被害や機密対策等~
- ジョブ型雇用者の降格
詳しくは「PDFデータをダウンロードする」をご覧ください
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