正社員のワークライフ・インテグレーション調査2025年版(2024年実績)
- 正社員の5人に1人はワークライフ・インテグレーションを実現できている
- ワークライフ・インテグレーションを実現できている人の平均年収は、実現できていない人より約65万円高い
- ワークライフ・インテグレーション実現には働く場所や時間の柔軟性が影響
株式会社マイナビは、現在正社員として働く20~59歳の男女3,000名を対象に、「正社員のワークライフ・インテグレーション※調査2025年版(2024年実績)」の結果を発表した。調査の詳細はページ末尾に記載している。
※「ワークライフ・インテグレーション(WLI)」とは、仕事とプライベートの双方を充実させて、人生を豊かにするという考え方。仕事と私生活を分けて考える「ワーク・ライフ・バランス」から発展したもので、「ワークライフ・インテグレーション」は仕事と私生活をともに豊かにし、相乗効果を生むことを目指している【図1】

目次 [もっと見る]
トピックス
- 正社員の約7割が「仕事と私生活につながりを感じている」と回答。5人に1人以上が「ワークライフ・インテグレーションを実現できている」
- ワークライフ・インテグレーションを実現できている人は、仕事も私生活も満足している傾向に
- ワークライフ・インテグレーションを実現できていると感じる人は働くモチベーションが高い。働く時間や場所の柔軟性が実現有無に影響あり
調査詳細
仕事と私生活の関係性
仕事と私生活のつながり
- 正社員の約7割が「仕事と私生活につながりを感じている」と回答
正社員に「私生活と仕事がつながっていると感じるか」を聞いたところ、「つながっていると感じる」と回答したのは全体の69.2%で、約7割に達した。【図2】

実態として、良くも悪くも仕事と私生活がつながっていると感じている人は多数派であるようだ。
ワークライフ・インテグレーションの実現度合い
- 5人に1人以上が「ワークライフ・インテグレーションを実現できている」
次に「ワーク・ライフ・バランス」と「ワークライフ・インテグレーション」の意味を説明したうえで、それぞれの実現度合いを聞いたところ、「ワーク・ライフ・バランスを実現できている」と感じる人は35.5%で、年代別では20代で最も高く39.2%となった。
一方、「ワークライフ・インテグレーションを実現できている」と感じる人は20.9%で、こちらも20代が最も高く26.4%であった。【図3】

ワークライフ・インテグレーションの実現要因
- ワークライフ・インテグレーションを実現できている要因は【時間】や【場所】の融通
「ワークライフ・インテグレーションを実現できている・できていない要因」を自由回答で聞いた。
実現できている要因としては「時短正社員としての勤務が可能になり、子供たちと過ごす時間も取りつつ仕事もしっかりできている」「在宅勤務ができるようになった」など、【時間】や【場所】の融通が利くという回答が目立った。
一方で、実現できていない要因としては「通勤時間が長い」「サービス残業が多い」など、働く時間や働く場所に対する不満の声があがった。【図4】

ワークライフ・インテグレーションを実現できている人の特徴
年間休日数や残業時間、平均年収
- ワークライフ・インテグレーションを実現できている人の平均年収は実現できていない人より約65万円高い
ここからは、ワークライフ・インテグレーションを実現できている人の特徴を見ていく。年間休日・残業時間・年収額を調査したところ、ワークライフ・インテグレーションを実現できている人は、できていない人と比較すると「年間休日数は平均2.6日多い」「残業時間は平均2.9時間少ない」「年収は平均64.9万円高い」という結果となった。【図5】

主観的生産性
- ワークライフ・インテグレーションを実現できている人は「仕事のパフォーマンス」「仕事仲間との関係の良さ」「プライベートの充実感」が高い傾向
ワークライフ・インテグレーションの実現有無別に生産性を測るため「主観的生産性尺度(市川他,2024)」を用いた。この研究では、生産性が高い状態を以下のように定義している。
個人の生産性が高い状態を「今やるべきことに対して集中が持続し,仕事の量と質がともに高いと思っている状態」と定義した。
市川他.(2024).就業者個人の生産性の高さを測定する尺度の開発
主観的生産性尺度(市川他,2024)には以下5つの下位尺度が存在する。
- 仕事のパフォーマンス
- 仕事仲間との関係の良さ
- 余裕のなさ
- プライベートの充実感
- 経済的満足
これらの中から、自己効力感 、職場の人間関係、心理的安静などポジティブな項目に相関があった、「仕事のパフォーマンス」「プライベートの充実感」「仕事仲間との関係の良さ」について、短縮版で調査を実施した。
※「余裕のなさ」尺度に関しては、研究内で以下の記載がされていたこと、そして「経済的満足」尺度に関しては、実際の年収平均を算出し比較できることから、本調査から除外している。
「余裕のなさ」因子は,研究2 において SPS の他の因子と負の相関を示していたことから,この因子に含まれる特徴は「仕事のパフォーマンス」などが良好な状態においては経験しづらいものであると考えられる。
市川他.(2024).就業者個人の生産性の高さを測定する尺度の開発
調査の結果、ワークライフ・インテグレーションを実現できている人は、実現できていない人に比べて「仕事のパフォーマンス」が高い傾向にあり、「仕事仲間との関係」が良い傾向、「プライベートの充実感」も高い傾向にある。【図6】

仕事と私生活の満足度
- ワークライフ・インテグレーションを実現できている人は仕事も私生活も満足している傾向に
次に、仕事と私生活の満足度を「仕事も私生活も満足」「仕事のみ満足」「私生活のみ満足」「どちらも満足でない」に区分して調査した。
「仕事も私生活も満足」していると回答したのは全体の27.2%、そのうちワークライフ・インテグレーションを実現できている人では53.5%、一方で、ワークライフ・インテグレーションを実現できていない人ではわずか13.1%にとどまり、実現できている人と比べて40pt以上の差がみられた。【図7】

ワークライフ・インテグレーションを実現できている人は、仕事も私生活も満足している傾向であることがわかった。
働くモチベーション
- ワークライフ・インテグレーションを実現できている人は働くモチベーションが高い
ワークライフ・インテグレーションを実現できている人の働き方について調査した。働くモチベーションについて聞いたところ、モチベーションが「高い」と回答したのは全体の27.1%で、ワークライフ・インテグレーションを実現できている人では55.6%、実現できていない人では11.9%となった。
ワークライフ・インテグレーションを実現できている人は働くモチベーションが高いことがわかった。【図7】

働く時間や場所の柔軟性
- ワークライフ・インテグレーションを実現できている人は働く時間や場所に柔軟性がある傾向
職場の柔軟性について、働く【時間】と【場所】に分けてそれぞれ聞いた。働く時間については全体の36.7%が「柔軟性がある」と回答し、ワークライフ・インテグレーションを実現できている人では53.8%、実現できていない人では31.4%となった。
働く場所については全体の24.7%が「柔軟性がある」と回答し、ワークライフ・インテグレーションを実現できている人では37.5%、実現できていない人では20.4%となった。この結果から「働く時間や場所の柔軟性」は、ワークライフ・インテグレーションの実現有無に影響していると考えられる。【図8】

調査担当者コメント
今回の調査では、ワークライフ・インテグレーションを実現できている人は仕事も私生活も満足しており、働くモチベーションも高い傾向にあるという結果になった。これは「ワークライフ・インテグレーションを実現することは、個人と企業双方にとってメリットがある」といえるのではないだろうか。
ワークライフ・インテグレーションの実現には、「働く時間や場所の柔軟性」が影響していることも調査結果から見えてきた。企業は、従業員が柔軟に働ける環境を整え、仕事も私生活も充実させることができるよう支援をしていくことが望ましいのではないだろうか。
マイナビキャリアリサーチラボ 研究員 朝比奈 あかり
調査概要
調査期間 | 2024年11月15日(金)~11月18日(月) |
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調査方法 | インターネット調査 |
調査対象 | 20~59歳の正社員の男女 |
有効回答数 | 3,000件 ※調査結果は、端数四捨五入の関係で合計が100%にならない場合があります |
詳しくは「PDFデータをダウンロードする」をご覧ください
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