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マイナビ ライフキャリア実態調査 2024年版(ライフ編)

10代の6割以上が「ジェンダー平等について関心がある」、一方でそのうちの約7割は「関心はあるが話題にはしづらい」
正社員の5人に1人は本業以外の「副業・兼業」から収入を得ている

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、全国15歳以上の14,000人を対象に、就業・非就業や雇用形態に関わらず、現在のキャリアと生活の実態や変化を調査した「マイナビ ライフキャリア実態調査2024年(ライフ編)」を発表しました。

トピックス

  • 10代の6割以上が「ジェンダー平等について関心がある」。そのうち「関心はあるが話題にはしづらい」と考える割合は約7割
  • 正社員の5人に1人は「副業・兼業」から収入を得ている。副業からの収入は「年間10~30万円未満」が最多
  • 未婚の10代・20代の4割以上が「独身であることにメリットを感じている」
  • 既婚男女の「今後子どもが欲しい」割合は、第3子以降で大幅に減少。育児費用など金銭面でのハードルが高い

調査詳細

ジェンダー平等

10代の6割以上が「ジェンダー平等について関心がある」
そのうち「関心はあるが話題にはしづらい」と考える割合は約7割

ジェンダー平等への関心と話題のしやすさについて聞くと、「関心がある」は42.1%だった。年代別にみると、「関心がある」割合が最も高いのは10代で63.3%、最も低いのは50代で37.5%となり世代間で大きく差があることがわかった。一方でいずれの年代も「関心がある」と答えた人のうち約7割は「関心はあるが、話題にしにくい」が占めている点は共通していた。【図1】

【図1】ジェンダー平等についての関心度合い・話題にしやすさ/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図1】ジェンダー平等についての関心度合い・話題にしやすさ/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

また、ジェンダー平等に関して話題にしたことがある人に、話している相手を聞いたところ「同性の友人」が52.9%で過半数を超え、最多となった。【図2】

【図2】ジェンダー平等について話したことがある相手/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図2】ジェンダー平等について話したことがある相手/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

今後もジェンダー平等という社会課題に向き合っていくためにも、話題に触れるハードルを下げることや、同性に限らず、異性や他の年代・属性の人など多様な意見に触れる機会を持つことが必要になると考えられる。

収入源について

正社員の5人に1人は本業以外の「副業・兼業」から収入を得ている
副業・兼業での収入は「年間10~30万円未満」が最多

正社員のうち、副業・兼業の収入があった人は18.7%でおよそ5人に1人にあたる。年間収入をみると「10~30万円未満」が26.5%で最も多かった。

副業・兼業をした理由は「生活費や学費など生計維持のため(37.1%)」「貯蓄や自由に使えるお金を確保するため(31.4%)」が上位となった。物価高の影響もあり、正社員としての本業の所得のみでは生計を立てられない状況も推察される。

政府による副業・兼業の促進も後押しし、今後も副業などによる副収入で生活の安定や趣味などライフワークの充実を図る人が増えていくと考えられる。【図3、4】

副業・兼業の収入/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図3】副業・兼業の収入/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
副業・兼業をした理由/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図4】副業・兼業をした理由/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

結婚観

未婚の10代・20代の4割強が「独身であることにメリットを感じている」

未婚者に対して独身であることへの考えを聞いたところ、メリットの方が大きいと思う人は37.7%だった。年代別で最もメリットを感じているのは10代で46.6%、次いで20代で43.5%となった。

独身はメリットの方が大きいと思う人の価値観をみてみると「デメリットが大きいと思う」回答者と比べて「結婚/子どもは必要ない」「(家族や友人との時間よりも)1人の時間を多く過ごしたい」という傾向が強くみられた。【図5、6】

独身であることにメリットを感じるか/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図5】独身であることにメリットを感じるか/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
「独身はメリットが大きい」回答者の価値観/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図6】「独身はメリットが大きい」回答者の価値観/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

子どもについて

既婚男女の「今後子どもが欲しい」割合は、第3子以降で大幅に減少
育児費用など金銭面でのハードルが高い

10~30代の既婚男女に今後子どもを持つことへの意欲を聞いたところ、「現在子どもなし」「現在子ども1人」の人では、6割以上が「今後子どもが欲しい」と回答。

一方で、「現在子ども2人以上」の人では「今後子どもが欲しい」割合(26.2%)は大きく下がり、「今後欲しくない」回答率が大幅に上がった。第1子~2子については子どもを持つことに前向きな男女が多いが、第3子以降は、意欲が下がる傾向がみられた。【図7】

現在の子ども人数別にみる「今後子どもを持つことへの意欲」/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図7】現在の子ども人数別にみる「今後子どもを持つことへの意欲」/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

子どもを欲しいと思わない理由をみると、「現在子どもなし」「現在子ども1人」の人で最も多かったのは、「子どもを育てるのにお金がかかるから」(「子どもなし」42.7%/「子ども1人」48.5%)だった。「現在子ども2人以上」の人でみても、最多項目は「今いる子どもだけで十分だから(55.3%)」だが、次いで多かったのは「子供を育てるのにお金がかかるから(42.2%)」だった。
子どもの人数に関わらず、子どもを持つうえで金銭面のハードルが高いことがわかる。【図8】


政府は、第3子以降の児童手当増額を含む「子ども子育て支援法」の改正など、少子化対策を強化している。今後も施策の充実により子どもを望む人の障壁・不安が軽減していくことが期待される。

今後、子供が欲しいと思わない理由/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図8】今後、子供が欲しいと思わない理由/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

調査担当者コメント

今回は、ジェンダー平等や結婚観・子供を持つ意欲・本業以外での収入といった生活者の価値観や実態を幅広く調査しました。若者を中心に、ジェンダー平等への関心の高まりが見られる一方で、ジェンダー平等は話題にし難いとする人が多く、話題にする相手は「同姓の友人」が中心でした。

世界経済フォーラムが毎年発表している世界各国の「ジェンダーギャップ指数ランキング」において日本の2024年の順位は前年より7ランクアップし118位となり若干の改善がみられる一方、ジェンダー問題の触れにくさや、多様な人と闊達な意見交換を行うことにも、ハードルがあることを感じさせます。

また、副業で収入を得る人が一定数存在していることもわかりました。その他、結婚観についても若者を中心に独身にメリットを感じている人が半数近くいる結果を含め、様々な面で新たな価値観が生まれていることがうかがえました。

多様な選択肢がある中で、個人が将来どのようなライフプランを立てるにあたってもその選択が認められる社会になっていくことに期待します。

キャリアリサーチラボ 研究員 元山 春香

調査概要

調査名

マイナビ ライフキャリア実態調査 2024年版

調査目的 就業・非就業に関わらず、[2023年4月~2024年3月]までのキャリアと生活の実態や、その変化を明らかにする
調査対象 全国15歳以上の男女
サンプリング ・性:男性/女性
・年齢:15-24歳/25-34歳/35-44歳/45-54歳/55-64歳/65歳以上
・就業状態:労働力人口/非労働力人口
・従業上の地位・雇用形態:正規の職員・従業員/非正規の職員・従業員/自営業主、家族従業者、役員、その他/完全失業者/非労働力
・居住地:「北海道」「東北」「北関東」「甲信越」「東京」「南関東」「東海」「北陸」「関西」「中国」「四国」「九州・沖縄」の12地域で分類
調査期間 2024年4月12日(金)-4月16日(火) [スクリーニング調査、本調査を一体で実施]
調査方法

外部パネルによるインターネット調査

有効回答数 14,000名(男性:6,766名、女性:7,234名)
集計方法 ・分析軸に利用する「就業状態」は、2024年3月時点のものを用いている。
・性×年齢×就業状態×従業上の地位・雇用形態・エリア(「北海道・東北」「北関東・甲信越」「南関東」「東海・北陸」「近畿」「中国・四国」「九州・沖縄」の7エリア)の構成が母集団を反映するように、総務省統計局『労働力調査(2023年)』を基に母集団を推計、ウェイトバック集計を行っている。

詳しくは「PDFデータをダウンロードする」をご覧ください

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