マイナビ キャリアリサーチLab

マイナビ ライフキャリア実態調査 2024年版(働き方・キャリア編)

仕事上で最もストレスを感じているのは「課長級」
年代が上がるほど昇進意欲は減少傾向
副業者のうち4割が生成AIを利用。生成AI利用者の年間副収入は平均約120万円で、利用していない人の約2倍

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、全国15歳以上の14,000人を対象に、就業・非就業や雇用形態に関わらず、現在のキャリアと生活の実態や変化を調査した「マイナビ ライフキャリア実態調査2024年(働き方・キャリア編)」を発表しました。

トピックス

  • 仕事上で最もストレスを感じているのは「課長級」。「職場の人間関係の満足度」や「意見の受け入れられやすさ」が部長級と10pt以上差が開く
  • 年代が上がるほど昇進意欲は減少傾向。男性40代・女性30代で「昇進したくない」割合が「昇進したい」を上回る
  • 副業者の約3人に1人は本職とは異なる業種・職種で副業をしており、新たな人脈・スキル獲得につなげている
  • 副業を行っている人のうち41.3%が生成AIを利用。生成AIを活用している人の年間の副業収入は約120万円で、活用していない人に比べ約2倍

調査詳細

役職別にみる仕事上でのストレス

仕事上で最もストレスを感じているのは「課長級」
「職場の人間関係の満足度」や「意見の受け入れられやすさ」が部長級と10pt以上差が開く

正社員に「職場で仕事上のストレスを感じているか」をきくと、最もストレスを感じているのは「課長級(あてはまる+ややあてはまるの合計:54.5%)」で、次いで「主任級以下(51.6%)」、「部長級(49.7%)」となった。【図1】

仕事上でストレスを感じているか/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図1】仕事上でストレスを感じているか/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

勤務実態をみると、週の勤務時間が40時間を超える人の割合は、「部長級」(45.7%)、「課長級」(45.1%)となり、管理職(課長級・部長級)は週40時間以上勤務する人の割合が非管理職である「主任級以下(24.8%)」の約1.8倍だった。

「常に忙しく多くの仕事をしていた」と回答した割合をみても、「部長級」(61.9%)、「課長級」(53.8%)が高く、管理職は非管理職(「主任級以下」41.5%)よりも多忙な様子がうかがえる。【図2】

管理職・非管理職の勤務時間・忙しさ/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図2】管理職・非管理職の勤務時間・忙しさ/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

次に、管理職が仕事で感じたことをみていくと、「課長級」は「職場での意見の取り入れられやすさ」が43.7%で、「部長級」の62.9%を大きく下回った。そのほか「職場での人間関係の満足度」(課長級:40.4%、部長級:52.3%)、「職場に自分が成長するよう励ましてくれる人がいる」(課長職:40.2%、部長職:54.1%)においても、「部長級」と比較して「課長級」は10pt以上低かった。【図3】

仕事上で感じていたこと/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図3】仕事上で感じていたこと/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

課長職は部長級と同様に労働時間が長く多忙な一方で、職場内での発言力の低さや、人間関係の満足度が低いことが「仕事上でのストレス」に繋がっているのではないか。

昇進意欲

年代が上がるほど、昇進意欲は減少傾向で、男性40代・女性30代で「昇進したくない」割合が「昇進したい」を上回る

正社員で現在役職がない人の今後の昇進意欲をみたところ、男女ともに年代が上がるほど意欲が低下し、男性40代・女性30代で「昇進したくない」が「昇進したい」を上回った。【図4】

働く中で、昇進したいと思うか/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図4】働く中で、昇進したいと思うか/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

「昇進したくない」と答えた人の理由は「責任が重くなるため(49.2%)」が最も多く、次いで「自分には向いていないため(39.8%)」、「メリットが感じられないため(38.1%)」、「家庭との両立が困難だから(16.7%)」となった。責任が重くなることへの不安や、メリットを感じられないなど昇進に対するネガティブなイメージを持っている人が多いことがわかった。

また、「家庭との両立が困難だから」については20・30代の回答率が高く、若い世代ほどライフステージの影響で昇進を避けたいと考える人がいることがわかる。【図5】

昇進したくない理由/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図5】昇進したくない理由/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

副業・兼業の実態

副業者の約3人に1人は、本職とは異なる業種・職種で副業をしており、新たな人脈・スキル獲得につなげている

副業を行ったことがある人の本職と副業の職種・業種の組み合わせをみたところ、「職種・業種ともに異なる」人が32.7%で、「職種・業種ともに同じ」(30.2%)を上回り最多だった。【図6】

どのような副業を行っているか/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図6】どのような副業を行っているか/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

副業・兼業をしてよかったことを聞くと、「職種・業種ともに異なる」人は、「本業とは別のスキルを身に着けることができた」(24.0%)、「人間関係が広がった」(22.5%)が、他の組み合わせと比べて最多だった。

今後の副業意向についても、「職種・業種ともに異なる」人が最も高く76.0%となった。収入増加だけでなく人脈や新たなスキル獲得といった自己成長を実感できたことが、副業を継続するモチベーションにつながっていると推察される。【図7】

副業・兼業をしてよかったこと/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図7】副業・兼業をしてよかったこと/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

生成AIの利用

副業を行っている人のうち41.3%が生成AIを利用
AIを活用している人の副業収入は年間約120万円、活用していない人に比べ約2倍

副業を行っている人のうち、副業の業務で生成AIを利用している人は41.3%だった。本業での利用率(24.1%)を17.2pt上回った。【図8】

生成AIの業務での利用/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図8】生成AIの業務での利用/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

副業の年間収入を見ると、生成AIを副業で利用している人は平均119.1万円で、利用していない人(平均62.8万円)と比べて約2倍だった。【図9】

副業で得た年間収入/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図9】副業で得た年間収入/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

また、生成AIの利用目的で多かったのは、「情報収集・調査」(32.9%)、「アイディア出し」(31.6%)、「エクセルなど関数の生成、補助」(29.5%)で、副業業務を効率よく進めるための補助的ツールとして生成AIを利用していることがわかった。

生成AIを利用した人の副業収入の多さについて、AIを利用しやすい業種の給与水準が高いことも要因として考えられるが、生成AIの活用により限られた時間で効率よく副収入を得ていることが、活用していない人と比べた収入差につながっていることが推察される。【図10】

生成AI利用率が高い職種・生成AIの利用目的/マイナビライフキャリア実態調査2024年版
【図10】生成AI利用率が高い職種・生成AIの利用目的/マイナビライフキャリア実態調査2024年版

調査担当者コメント

働き方改革により、残業時間の削減や休みやすい職場作りが進む一方で、管理職は非管理職よりも労働時間が長く、加えて役職により発言力や人間関係にギャップが見られることから、中間管理職の苦難が垣間見えました。
年代が上がるほど昇進意欲が低下する背景として、中間管理職のロールモデルを社内の先輩や上司・同僚などから間近で見る中でネガティブなイメージがつき、敬遠されてしまっている点もあると考えます。
働きやすさを犠牲にせずに自己成長や給与向上を実現できることを企業が示すことが、管理職を目指す人の門戸を広くし、一般社員にとっても働くモチベーションを上げるきっかけの一つとなるのではないでしょうか。

また、本業とは異なる業種・職種で副業をすることで新たな人脈・スキルを獲得するなど、管理職以外のキャリア形成をしている人も一定数いることがわかりました。働き方の多様化が進み、これまでの管理職を目指すという一方向的なキャリア形成から、副業での新たな人脈・スキルの獲得など、多方向的なキャリア形成の選択もできる状況にシフトしてきています。

今後は自身にあったキャリア形成の方向性や方法を見つけていくことが、より重要になるでしょう。

キャリアリサーチラボ 研究員 元山 春香

調査概要

調査名

マイナビ ライフキャリア実態調査 2024年版

調査目的 就業・非就業に関わらず、[2023年4月~2024年3月]までのキャリアと生活の実態や、その変化を明らかにする
調査対象 全国15歳以上の男女
サンプリング ・性:男性/女性
・年齢:15-24歳/25-34歳/35-44歳/45-54歳/55-64歳/65歳以上
・就業状態:労働力人口/非労働力人口
・従業上の地位・雇用形態:正規の職員・従業員/非正規の職員・従業員/自営業主、家族従業者、役員、その他/完全失業者/非労働力
・居住地:「北海道」「東北」「北関東」「甲信越」「東京」「南関東」「東海」「北陸」「関西」「中国」「四国」「九州・沖縄」の12地域で分類
調査期間 2024年4月12日(金)-4月16日(火) [スクリーニング調査、本調査を一体で実施]
調査方法

外部パネルによるインターネット調査

有効回答数 14,000名(男性:6,766名、女性:7,234名)
集計方法 ・分析軸に利用する「就業状態」は、2024年3月時点のものを用いている。
・性×年齢×就業状態×従業上の地位・雇用形態・エリア(「北海道・東北」「北関東・甲信越」「南関東」「東海・北陸」「近畿」「中国・四国」「九州・沖縄」の7エリア)の構成が母集団を反映するように、総務省統計局『労働力調査(2023年)』を基に母集団を推計、ウェイトバック集計を行っている。

詳しくは「PDFデータをダウンロードする」をご覧ください

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