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管理職を目指す女性たちのキャリアを妨げる女性特有の健康課題とは

キャリアリサーチLab編集部
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キャリアリサーチLab編集部

政府はプライム市場に上場している企業に対して、2025年までに女性役員を1名以上選任、 2030年までに女性役員の比率を30%以上とする数値目標を掲げており、これまで以上に女性活躍の推進が叫ばれている。

今回は、女性たちが「自身のキャリアについてどう考えているのか」、女性たちの「キャリアを妨げる要因はどんなところにあるのか」について詳しく見ていく。

筆者は、株式会社マイナビ メディカル事業本部で従業員の健康支援サービス「welltowa」の担当をしている。

働く未婚女性の結婚後のキャリア観

人生の中には、さまざまなライフイベントがある。働く女性たちはライフイベントを経て、その後の自身のキャリアプランをどのように考えているのだろうか。

結婚後の仕事に対する考え方

株式会社マイナビにて実施した「働く未婚女性の理想のライフキャリアと悩みに関する調査」によると、結婚後の働き方については「共働き希望」が77.7%と、全体の7割以上を占めており、もっとも多くなっている。【図1】

【図1】結婚後の仕事に対する考え
【図1】結婚後の仕事に対する考え(単一回答)※回答ベース:「絶対に結婚したい」「できれば結婚したい」「良い人がいたら結婚したい」と回答した人(回答数:412)

実際、結婚後も仕事を続けていきたいと考えている女性たちが多く、内閣府の「男女共同参画白書 平成27年版」によると既婚女性の就業率は時代を重ねるにつれ増加傾向にある。

出産後に希望する働き方

働く未婚女性の理想のライフキャリアと悩みに関する調査」によると、20代に関しては69.1%が子供を希望しており、全体でも子供を希望する割合は54.4%と、半数以上の女性たちが子供を持つことを希望していることがわかる。

出産後のキャリアプランについては、「働く未婚女性の理想のライフキャリアと悩みに関する調査」によると、「正社員として働きたい」と希望する人は68.5%となっており、全体の約7割を占めていることがわかる。【図2】

出産後に希望する働き方(単一回答)
【図2】出産後に希望する働き方(単一回答)※回答ベース:「子どもが欲しい」と回答した人

キャリアアップを目指す女性の割合

次に、キャリアアップを目指す女性割合についても見ていきたい。現在、役職に就いていない人を対象に、「管理職を経験したいか」という質問に対して、全体で28.8%が経験したいと回答している。

中でも、20代前半に関しては、44%が管理職を経験したいと回答しており、高い比率になっている。管理職になりたい理由の中で注目したいのが「女性管理職としてロールモデルになりたいから」という回答であった。これは、20代の回答が圧倒的に多かった。

ここまでライフイベントとキャリアプラン・キャリアアップに対する女性たちの考え方を見てきたが、多くの働く女性たちが、あらゆる状況の中でも、正社員として長く働くことを希望している。また、調査資料から、管理職を目指す女性も全体では3割程度、20代前半については半数近くいることも分かった。多くの女性たちが自身のキャリアを諦めず、仕事を続けていきたいと希望している傾向にあるようだ。

ただ、実際にライフイベントが起こると両立が難しくなる場合やさまざまな予期せぬ問題でキャリアを離脱してしまう人も少なからず出てくる。その一つとして、女性のライフイベントや、そこに関わる、女性特有の健康課題が影響していることも考えられる。

ここからは女性たちが抱える健康課題とキャリアについて見ていくこととする。

女性特有の健康課題とキャリアに影響するリスク

女性特有の健康課題は、PMS(月経前症候群)や生理・生理痛、更年期障害などの多くの女性たちが経験することや、子宮内膜症・子宮頸がん・乳がんなど女性特有の症状や病気などを指している。

女性特有の悩みを抱えている人の割合

このような女性特有の健康課題に悩みを抱えている人は実際にどれほどいるのだろうか。

企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」の中で、「女性特有の健康課題に関する悩みがあるか」と聞いたところ、約40%の人が、具体的な症状を挙げて、悩みがあると回答をしている。【図3】

【図3】現在、女性特有の健康課題に関する悩み/株式会社マイナビ「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」
【図3】

悩みの内訳は、PMSが21.2%と全体でもっとも多くなっており、次いで月経中の悩みとなっている。ここまでは月経関連だが、更年期障害と回答した人も全体の10.8%、婦人科系疾患や周産期の問題も挙げられており、悩みの幅は広いことがわかる。

どのような対策をとっているのか

では、有症状の女性たちはこれらの症状に対してどのようなアクションを起こしているのだろうか。

同調査で、「女性特有の健康課題に対してどのような対策を取っていますか」という質問をしたところ、全体の60%を超える人々が「何もしていない」と回答している。

「何もしない理由」としては「面倒だから」「どのように対策を取ればよいかわからないから」という回答が多く、症状を抱えていても放置している人が多くいることがわかる。

これらの症状を放置して、悪化してしまった場合、キャリアにはどのような影響を及ぼすのだろうか。

キャリアに及ぼす影響

同調査の中で、「女性特有の健康課題や症状が原因で何かを諦めた経験はあるか」という質問をしたところ、約20%の人が何かを諦めた経験があると回答している。

諦めたことがあると回答した人の中で、仕事に関するものは、「正社員として働くこと」が37.3%、「希望する職種で働くこと」が20.7%、「昇進・昇格」が19.8%、「転職活動」が18.4%、「管理職になること」が17.5%であった。【図4】

【図4】キャリアを築く上で女性特有の健康課題や症状が原因であきらめたこと/株式会社マイナビ「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」
【図4】

最初に、働く未婚女性のキャリア観について触れたが、その中で、正社員として働き続けたいという人が多く、管理職になりたいという女性たちも20代前半においては半数近かった。しかし実際は、女性特有の健康課題によっては、自らが描くキャリアプランから離脱せざるを得ない状況を抱える人たちも一定数いることがわかった。

女性が本当に求めるサポートとは

では、どうすれば女性たちが、PMSや月経、更年期障害などの健康課題を抱えながらでも、自身の希望するキャリアを手放すことなく、もっと働きやすく、社会で存分に活躍していくことができるのだろうか。

企業に求めるサポート

ここからは、企業に求めているサポートについて見ていきたい。働く女性たちが健康課題を抱えながらもいきいきと働くためには、どのようなサポートを求めているのだろうか。

「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」の中で、「女性特有の健康課題や症状を抱えながらのキャリアを築くために必要と感じたサポートは何か」という質問をしたところ、「受診や休暇が取りやすい制度設計」という回答が50.4%に上った。【図5】

【図5】女性特有の健康課題や症状を抱えながらキャリアを築くために必要と感じたサポート/株式会社マイナビ「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」
【図5】

次いで、「上司や部署内のサポート」「企業全体の業務分担や人員配置の考慮」と続いている。これは、企業全体で女性の健康についての理解の促進が必要だといえる。

また、4番目以降の回答については、相談できる窓口を求める回答が多くなっている。まず誰かに相談をすることでどのように対応すべきか見えてくる可能性もある。

上記の「女性特有の健康課題とキャリアに影響するリスク」において、健康課題に対して「何もしていない」と回答した人の中で、何もしない理由を「どのように対策を取ればよいかわからないから」と回答した人のサポートにもなるのではないだろうか。

まず相談できる先を設けることで、これまで女性特有の健康課題が引き起こす不調を我慢しながら働いていた人たちが、症状とうまく付き合いながら働くためのヒントを見つける機会になるかもしれない。

以上を踏まえて、まずは「組織全体の女性従業員が抱える健康課題の可視化」と「女性が抱える健康課題への理解」が不可欠だろう。自社の従業員と対話を進めることで、働く女性たちが本当に求めるサポート制度の設置や女性の健康への理解促進につながるのではないだろうか。

従業員の健康課題を一緒に考えられる企業へ

「正社員として働き続けたい」「キャリアアップを目指したい」という女性たちの中にも、女性特有の健康課題が引き起こす不調を抱えながら働いている人も多い。さらにそれが原因でキャリアを諦めてしまう人も一定数いることがここまでで明らかになった。

女性活躍が進まない理由として「家庭との両立が難しいため」「女性社員の管理職を目指す意欲を高めることが難しいため」など、一般的に認識されているケースもある。しかし、女性特有の健康課題がキャリア離脱の大きな要因になることへの意識を向けていかなければならない。

人生の選択肢が多様化している現代で、今後さらに一人ひとりの活躍が求められている。今回のさまざまなデータから、女性特有の健康課題に関することもキャリアに大きな影響を及ぼしていることが分かったが、企業はこのことを理解し組織として変化していくことで、女性たちが望んでいるキャリアを積み、活躍し続ける環境をつくれるのではないだろうか。


著者紹介
大城戸 菜月(おおきど・なつき)
株式会社マイナビ メディカル事業本部 メディカルヘルスケア事業推進統括本部 事業開発部 マーケティング2課

2019年に株式会社マイナビに新卒で入社。アルバイト事業本部にて、香川・徳島をメインに営業担当として企業の正規・非正規雇用の採用支援を行う。大学時代の専攻や留学経験から、ジェンダー平等やフェミニズムなどに関心があり、誰もが自信を持って生きられる社会の実現を志し、2023年4月よりメディカル事業本部へ異動。女性のヘルスケアや働く人々のメンタルヘルスケアを支援するサービス「welltowa」のマーケティングを担当しながら営業活動も行う。

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