2023年度(2024年卒版)新卒採用・就職戦線総括
- 若者人口の減少を背景に企業の採用意欲が向上するも、厳しい採用環境に
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、2024年卒業予定の学生を対象とする、企業の採用活動と学生の就職活動および、今後の展望などをまとめた『2023年度(2024年卒)新卒採用・就職戦線総括』を発表しました。概要は以下の通りです。
目次
トピックス
企業の採用意欲向上と採用充足率の低下
採用予定数と面接・内々定出しの開始時期
若者人口が今後、減少傾向であることをうけ、企業側の採用意欲は向上しており【図1】、他社に後れをとらないよう3月から面接を開始するなど、採用選考の開始時期を早めている。【図2】
採用充足率
それにも関わらず、6月時点の採用充足率はここ数年で最も低下しており、採用充足率「0割」である企業が31.5%(対前年比3.1pt増)となった。企業側には厳しい採用状況だといえる。【図3】
学生の「配属ガチャ」への不安と職種別コースを設定する企業
入社後の配属先(勤務地・職種)に対する考え
学生の「配属ガチャ」への不安を反映して「勤務地・職種ともに自分で適性を判断して、選びたい」が54.0%で、「職種は自分で選びたいが、勤務地は適性をみて会社に判断してほしい(7.6%)」を加えると、61.6%が職種を自分で選びたいと回答している。【図4】
募集・選考時のコース設定について
このような学生のニーズを受け、企業側では「職種別コースを設定している」が39.5%で、さらに「職務を限定しない枠(総合職等)を含む、職種別コースを設定している(23.6%)」を加えると、全体では63.1%がなんらかの形で職種別コースを設定している。【図5】
「福利厚生」に関心を持つ学生が7割弱
福利厚生に対する関心の程度
学生は勤務先や仕事内容への関心を高く持っているが、それ以上か同程度に「福利厚生」にも関心をもっており、「勤務地・仕事内容・給料よりも関心がある」が6.4%で、「勤務地・仕事内容・給料と同程度関心がある(63.4%)」とあわせると69.8%となった。【図6】
採用広報で強み
こうした学生のニーズを受け、企業側では採用広報で強みにしている内容として「福利厚生の充実」との回答が71.5%と最多になった。【図7】
人事制度等について採用広報でPRしていること
特に人事制度に限定すると「有給休暇の取得率(55.5%)」や「残業がないこと・残業が少ないこと(43.4%)」など働きやすさを示す内容が上位となった。【図8】
調査担当者のコメント
2024年卒の新卒採用は新型コロナウイルス感染症の5類移行が決定するなど、全体的に明るい話題のなかスタートしました。企業側の採用意欲はより高まり、売り手市場の様相を呈していたと思います。学生のニーズに答えたい企業は「配属ガチャ」対策として職種別コースの設置や配属先を事前に告知するなどの工夫を行い、「福利厚生」への関心の高さに応えるために、採用広報でPRする企業が多く見られました。
このように言うと学生の立場がとても強いように思われるかもしれませんが、必ずしも学生が楽をしていたとは言い切れません。「配属ガチャ」や「福利厚生」への関心の高さの裏側には共働き志向の高まりなど、働き方への意識変化によって、就職先を決める際に、仕事だけでなく人生全体を捉える様子がうかがえます。
こうした様々な要件を複雑に組み合わせながら就職先を選んでいく学生にどれだけ丁寧に向き合うことができるかが、新卒採用成功のカギになってくるでしょう。
株式会社マイナビ キャリアリサーチラボ 主任研究員 東郷こずえ
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