雇用市場の概況
正規の職員、非正規の職員、非正規雇用比率の推移
- 非正規の職員・従業員数は2022年以降、増加を維持
- 一方、非正規雇用率は正規雇用の伸長により低下が続く
非正規の職員・従業員数は長期的に増加傾向にあり、コロナ禍で一時的に減少した後、2022年以降は回復基調を維持している。2025年は2,128万人と前年から微増にとどまり、増加ペースはやや緩やかになっている。
2025年の非正規雇用比率は36.51%と前年から低下。正規の職員・従業員数が3,700万人まで増加したことにより、非正規比率の上昇は抑制され、構成比としては低下傾向が続いている。
非正規雇用者増加の背景には、高齢層や女性の就業継続・拡大が引き続き影響している。一方で、足元では雇用環境の改善により正規雇用の増加が相対的に強まり、非正規比率の上昇圧力が弱まっている点も特徴である。なお、不本意非正規の問題は依然として残っており、雇用の質に関する課題は継続している。【図1】
【図1】正規の職員、非正規の職員、非正規雇用比率の推移/アルバイト市場 総括レポート 2026年版(2026年度実績)
※出典:総務省統計局 労働力調査 ※01年までは「労働力調査特別調査(2月調査)」、02年以降は「労働力調査(詳細集計)」
有効求人数、有効求職者数、有効求人倍率の推移
- 2025年の有効求人倍率は1.22倍(前年比:0.03ptマイナス)
- 前年に引き続き、有効求人数は減少、有効求職者数もわずかに減少した
コロナ禍で減少した求人数は回復基調を維持しているものの、直近では伸び悩みがみられる。2024年以降は有効求人数が2年連続で減少しており、物価高騰や人件費上昇、先行き不透明な経済環境を背景に、企業の採用姿勢が慎重化している可能性がある。一方、有効求職者数はほぼ同水準で推移しており、需給ギャップはやや縮小した。
その結果、有効求人倍率は2024年の1.25倍から2025年は1.22倍へと低下し、コロナ後の回復局面からやや調整局面に入っていることが示唆される。【図2】
【図2】有効求人数、有効求職者数、有効求人倍率 推移/アルバイト市場 総括レポート 2026年版(2026年度実績)
※出典:厚生労働省 一般職業紹介状況 パートタイム含む実数
日銀短観 業況判断D.I.
- 業況感は堅調に改善、幅広い業種で高水準を維持
- 「宿泊・飲食サービス」はやや弱含むも、引き続きプラス圏を維持
企業の業況感は、中東情勢の影響を受けつつも全体として良好な水準で推移している。3月短観の業況判断DI(全産業全規模)をみると、「良い」超幅は+18 と 1991 年8月以来の良好な水準となったが、先行きについては中東情勢への懸念から+11 とやや大きめの悪化が見込まれている。(日本銀行「経済・物価情勢の展望2026年3月」)
「宿泊・飲食サービス」は16と前回から低下し、これまでの回復基調に一服感がみられるものの、引き続きプラス圏は維持している。【図3】
【図3】日銀短観 業況判断D.I. 実績 業種別(「景気が良い」-「景気が悪い」)/アルバイト市場 総括レポート 2026年版(2026年度実績)
※出典:日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)
企業のアルバイト採用状況
アルバイトの採用活動実施率
- アルバイト採用活動実施率は20%前後で推移
- 業種別では「飲食・宿泊」が5割で最も高い
アルバイト採用活動実施率は19.7%となり、前年同時期(19.3%)とほぼ同水準となった。2022年以降はおおむね20%前後で推移している。【図4】
【図4】アルバイトの採用活動実施率/マイナビ「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2026年3-4月)」
業種別では「飲食・宿泊」が50.0%で最も高く、次いで「医療・福祉」(35.4%)、「小売」(31.3%)となった。「医療・福祉」は前年から3.3pt上昇し、業種別では2番目に高い水準となった。【図5】
【図5】業種別 アルバイトの採用活動実施率 3-4月の比較/マイナビ「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2026年3-4月)」
アルバイトの不足感
- アルバイトの不足感は低下傾向
- 依然として「飲食・宿泊」「小売」「医療・福祉」では人手不足感が高い
アルバイトの「不足」-「過剰」の数値は、2022~2024年にかけて30%前後で推移していたものの、2025年以降は低下傾向が見られる。2026年3-4月は24.1%となり、「不足」が「過剰」を上回る状況は続いているものの、人手不足感は過去数年と比べて緩和している。【図6】
【図6】アルバイトの不足感(「不足」ー「過剰」数値)/マイナビ「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2026年3-4月)」
業種別では「飲食・宿泊」が50.0%で最も高く、次いで「医療・福祉」(35.4%)、「小売」(31.3%)となった。「医療・福祉」は前年から3.3pt上昇し、業種別では2番目に高い水準となった。【図7】
【図7】業種別 アルバイトの採用活動実施率 3-4月の比較/マイナビ「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2026年3-4月)」
人材確保のために実施した施策と今後実施したい施策
- 人材確保のために実施した施策は「給与の増額」が最多
- 効果があった施策では「シニア層の積極採用」も上位に
アルバイト人材確保のために実施した施策は、「給与の増額」(31.2%)が最も高く、次いで「シニア層(65歳以上)の積極採用」(23.8%)、「シフトの緩和」(20.7%)となった。
今後実施したい施策についても、「給与の増額」(21.8%)が最も高く、次いで「シニア層(65歳以上)の積極採用」(16.0%)、「職場の設備の充実・改善」(14.5%)となった。
効果があった施策を見ると、処遇改善だけでなく、「シニア層の積極採用」「外国人の積極採用」「直接雇用のスポットワーカーの受入」など、多様な人材の活用につながる施策が上位となった。【図8】
【図8】人材確保のために実施した施策・今後実施したい施策(複数回答)/マイナビ「アルバイト採用活動に関する企業調査」
2025年と比較したアルバイトの採用数予定
- 2026年のアルバイトの採用数の予定は「増やす予定」が「減らす予定」を大きく上回った
2025年と比較したアルバイト採用数の2026年の予定は、「増やす予定」が32.8%と、「減らす予定」7.3%を25.5pt上回った。一方で、前年と比べると「増やす予定」は減少し、「減らす予定」は増加しており、採用拡大の動きにはやや慎重さもみられる。【図9】
【図9】前年と比較したアルバイト採用数の予定/マイナビ「アルバイト採用活動に関する企業調査」
求職者・アルバイト就業者の動向
アルバイトの仕事を探したか
- アルバイトの求職率は2022年以降、一進一退で推移する中、2026年3-4月は前年同月比をやや上回る
アルバイト求職率は2022年以降、一進一退で推移している。2026年3-4月は15.9%となり、前年同月を上回った。【図10】
【図10】アルバイトの仕事を探したか/マイナビ「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(26年3-4月)」
属性別では「学生」の求職率が最も高く、47.2%となった。前年同月比では学生やフリーターで増加が見られた一方、シニアでは減少した。【図11】
【図11】属性別 アルバイトの仕事を探したか 3-4月の比較/マイナビ「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(26年3-4月)」
アルバイトの仕事で探した職種上位
- アルバイトの仕事で探した職種は「販売・接客・サービス」が最多
- 上位職種の構成は前年と大きく変わらず
アルバイトの仕事で探した職種は「販売・接客・サービス」(26.3%)が最も高く、次いで「オフィスワーク」(25.5%)、「軽作業」(21.3%)、「飲食・フード」(15.9%)となった。
前年同月比では、「軽作業」や「工場・倉庫・建築・土木」が増加した一方、「販売・接客・サービス」や「オフィスワーク」は減少した。しかし、職種別の順位に大きな変化はなく、「販売・接客・サービス」「オフィスワーク」を中心とした求職傾向が続いている。【図12】
【図12】アルバイトの仕事で探した職種上位/マイナビ「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(26年3-4月)」
アルバイトの目的
- アルバイトの目的は属性によって異なる
- 学生は趣味や経験、主婦・シニアは生活費や生活の充実を重視
高校生では「趣味のため」が最も高く、大学生では「貯金をするため」が最も高かった。また、学生では「推し活・ゲームなど娯楽に使うため」「社会経験を積むため」「スキルを身につけるため」が他属性より高く、収入面に加えて経験や自己成長も目的となっている。
就業フリーターでは「自分の生活費のため」が最も高く、主婦では「家族の生活費のため」が最も高かった。ミドルシニア・シニアでは「健康的な生活リズムを作るため」「健康維持のため」が他属性より高く、収入以外の目的もみられた。【図13】
【図13】アルバイトの目的上位抜粋/:マイナビ「アルバイト就業者調査(2026年)」
アルバイト探しの必須条件
- アルバイト探しでは「自宅から近い」「シフトの融通」が重視される
- 属性ごとに異なるニーズも
アルバイト探しで重視する条件は、「自宅から近い」が45.7%で最も高く、次いで「シフトの融通がきく」が43.3%となった。
大学生と就業フリーターでは「シフトの融通がきく」が最も高く、高校生、主婦、ミドルシニア・シニアでは「自宅から近い」が最も高かった。高校生では「給与が高い」や「交通費が全額支給される」が、主婦では「扶養の範囲内で働ける」が相対的に高くなった。ミドルシニア・シニアでは「年齢に関係なく活躍できる」が37.5%と高く、属性によって重視する条件に違いがみられた。【図14】
【図14】アルバイト探しの必須条件上位抜粋/マイナビ「アルバイト就業者調査(2026年)」
アルバイト先を決めた理由
- アルバイト先を決めた理由は、応募後の連絡や合否通知の速さなど、企業の迅速な対応が上位に
アルバイト先を決めた理由は、「応募後にすぐに企業から連絡がきた」が39.9%で最も高く、次いで「すぐに合否通知の連絡がきた」「応募から面接までの案内が丁寧だった」となった。
主婦やミドルシニア・シニアでは、「応募後にすぐに企業から連絡がきた」「すぐに合否通知の連絡がきた」が全体より高く、企業による迅速な対応が重視されている。高校生と大学生では、「応募から面接までの案内が丁寧だった」が全体より高く、応募初期段階での丁寧なコミュニケーションが入社の決め手となっている。就業フリーターでは「決め手となったきっかけや要因はない」が31.4%と他属性より高く、企業側の対応を入社の決め手として強く意識しない傾向がみられた。【図15】
【図15】アルバイト先を決めた理由/マイナビ「アルバイト就業者調査(2026年)」
2025年度のアルバイト市場まとめと今後の展望
- 人材確保は引き続き企業の大きな課題である
- 今後は賃金だけでなく、多様な働き手に選ばれる職場環境づくりがより重要になるだろう
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