- 2025年9月の全国平均時給は1,321円、前年同月比55円増で過去最高額
- 最低賃金改定を目前に、企業の採用意欲は高水準を維持
- 国際的な博覧会の閉幕が迫る「大阪府」は1,336円で前年同月から11円減少
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、「2025年9月度 アルバイト・パート平均時給レポート」を発表しました。本調査は、アルバイト・パート求人情報サイト『マイナビバイト』(https://baito.mynavi.jp/)に掲載された求人広告データを集計したものです。
トピックス
- 2025年9月の全国平均時給は1,321円(前月比2円増、前年同月比55円増)で過去最高額。[工場・倉庫・建築・土木][軽作業]で採用意欲が高まる
- エリア別の平均時給は、「中国・四国」「九州・沖縄」が前月から20円以上増加。求人件数は前月比・前年同月比ともに増加
- 三大都市圏の平均時給は1,348円で、前月比から3円の微減。都市圏とそれ以外のエリアで時給の動向にギャップ
- 【今月のTOPIC】国際的な博覧会の閉幕が近づく「大阪府」の時給は1,336円、前年同月から11円減少
全国の平均時給
- 2025年9月の全国平均時給は1,321円(前月比2円増、前年同月比55円増)で過去最高額
- [工場・倉庫・建築・土木][軽作業]で採用意欲が高まる
全国の平均時給推移
2025年9月の全国平均時給は1,321円(前月比2円増、前年同月比55円増)で、過去最高額となった。
一方で、前年同月からの増加率は4.3%となり、一般的に給与改定の時期である4月の5.4%よりも低かった。【図1】
【図1】<2025年9月度>全国の平均時給推移/マイナビ「2025年9月度 アルバイト・パート平均時給レポート」
職種別の平均時給と求人件数
職種(大分類)別では、[工場・倉庫・建築・土木]が1,468円となり、調査開始(2020年)以降過去最高額を更新し、求人件数も前月比1.24倍で増加がみられた。
また、[軽作業]の求人件数も前月から微増しており、その背景にはふるさと納税の“ポイント廃止”※1によるかけ込み需要を受けた、梱包作業の求人の増加も一因となっている可能性が考えられる。
職種(大分類)別の平均時給の前月比は全16職種中12職種が増加、4職種が減少。前年同月比は全16職種中13職種が増加、3職種が減少となった。【図2】【図3】
※1 総務省「ふるさと納税の指定基準の見直し等」
【図2】<2025年9月度>【全国】職種(大分類)別の平均時給/マイナビ「2025年9月度 アルバイト・パート平均時給レポート」
【図3】<2025年9月度>【全国】求人件数の増加率が高い職種TOP5/マイナビ「2025年9月度 アルバイト・パート平均時給レポート」
エリア別の平均時給と求人件数
- エリア別の平均時給は、「中国・四国」「九州・沖縄」が前月から20円以上増加
- 求人件数は全エリアで前月比・前年同月比ともに増加
エリア別の平均時給は、「関東」を除くすべてのエリアで前月よりも増加した。
特に「中国・四国」では前月比27円増、「九州・沖縄」では前月比21円増となり、他エリアと比較して大きく上昇した。【図4】
【図4】<2025年9月度>エリア別の平均時給/マイナビ 「2025年9月度 アルバイト・パート平均時給レポート」
また、求人件数においても、全エリアで前月比・前年同月比ともに増加し、2025年度の全国加重平均最低賃金が1,121円と過去最大の引き上げ幅となる中、企業が募集求人を控える可能性も懸念される状況ではあるが、現時点では採用活動に積極的な姿勢が維持されていることがうかがえる。【図5】
【図5】<2025年9月度>エリア別の求人件数/マイナビ 「2025年9月度 アルバイト・パート平均時給レポート」
三大都市圏の平均時給
- 三大都市圏の平均時給は1,348円で、前月比から3円の微減
- 三大都市圏とそれ以外のエリアで時給の動向にギャップ
三大都市圏の平均時給推移
三大都市圏※2の平均時給は1,348円(前月比3円減、前年同月比35円増)となり、前年同月比では上昇したものの、前月比ではわずかに減少した。
全国平均時給が、前月比で2円の微増となる中、三大都市圏では3円減少しており、その要因には関東の平均時給の減少が影響している。三大都市圏とその他のエリアで時給の動向に違いがみられた。【図6】
【図6】<2025年9月度>三大都市圏の平均時給推移/マイナビ 「2025年9月度 アルバイト・パート平均時給レポート」
※2:三大都市圏:日本の三大都市(東京・名古屋・大阪)が位置する首都圏・東海・関西の総称
三大都市圏の職種別の平均時給
職種(大分類)別では、[工場・倉庫・建築・土木(1,529円)]が3カ月連続で増加し、過去最高額を更新した。慢性的な人手不足に加え、暑さによる労働環境の厳しさが増す中、人材確保に向け平均時給を引き上げたことが考えられる。
そのほか、前月比は全16職種のうち12職種が増加、4職種が減少。前年同月比は13職種が増加、3職種が減少となった。【図7】
【図7】<2025年9月度>【三大都市圏】職種(大分類)別の平均時給/マイナビ 「2025年9月度 アルバイト・パート平均時給レポート」
今月のトピック
- 国際的な博覧会の閉幕が近づく「大阪府」に着目
- 「大阪府」の時給は1,336円、前年同月から11円減少
国際的な博覧会が10月に閉幕を迎える「大阪府」と関西エリアに注目した。「大阪府」の平均時給は1,336円(前月比1円減、前年同月比11円減)となった。一方、「大阪府」以外の関西エリアでは、前年同月比で時給が上昇しており、特に「和歌山県(1,310円)」では前年同月から200円の大幅な増加がみられた。
開幕前には高時給のアルバイト求人がメディアで話題となったが、10月の閉幕がアルバイト時給にどのような影響があるか、最低賃金の改定と合わせて引き続き動向を見ていきたい。【図8】
【図8】<2025年9月度>【関西エリア】平均時給/マイナビ 「2025年9月度 アルバイト・パート平均時給レポート」
調査担当者コメント
2025年度の最低賃金の全国加重平均は1,121円となり、前年度から66円の引き上げが行われ、過去最大の改定幅となりました。本調査でも、全国の平均時給は前月・前年同月比ともに増加し、調査開始以降最高額を更新しています。こうした上昇の背景には、最低賃金改定をめぐる議論の影響が反映されていると考えられます。
一方で、三大都市圏では一時的な減少が見られ、都市圏とそれ以外の地域で異なる動きが確認されました。今後、経済産業省※3や厚生労働省※4をはじめ、各都道府県において中小企業を支援する施策が施行される予定です。
これらの政策が平均時給のさらなる上昇を後押しすることが期待されますが、支援策はあくまで賃金上昇を一時的に支援するものであり、支援策の終了後には、企業が持続的に給与を引き上げられるような体制の構築を促していくことも、並行して求められるのではないでしょうか。
マイナビキャリアリサーチLab研究員 嘉嶋麻友美
※3 経済産業省 https://www.meti.go.jp/press/2025/09/20250909001/20250909001.html
※4 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/package_00007.html
調査概要
| 調査期間 |
2025年9月1日~9月30日 |
| 集計対象 |
弊社アルバイト情報サイト『マイナビバイト』に掲載された求人情報から、除外対象データを除き集計。※除外対象:給与区分が時給以外、給与金額が3,001円以上、雇用形態がアルバイト・パート以外 |
| エリア区分 |
全国47都道府県 関東:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、茨城県、群馬県 関西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県 東海:愛知県、静岡県、岐阜県、三重県 北海道・東北:北海道、宮城県、青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県 甲信越・北陸:新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県 中国・四国:広島県、岡山県、鳥取県、島根県、山口県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県 九州・沖縄:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
レポート内目次
- 全国概要
- 都道府県別平均時給
- エリア別詳細(職種別平均時給、月別平均時給推移)
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