- 夏の暑さが原因でアルバイトの離職があった企業は、4社に1社以上
- アルバイト先の暑さについて、約3人に1人が「改善をしてほしいところがある」
- 熱中症対策義務化、企業の認知度は6割を越える
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、全国の企業、個人を対象に実施した、「アルバイトの暑さ対策に関する調査レポート」を発表した。
【個人】暑さによる影響
- アルバイト就業先が暑いため、離職したことがある人は8人に1人以上
- 現在のアルバイト就業先の暑さについて「改善をしてほしいところがある」割合は約3人に1人
暑さが原因での離職経験
アルバイト就業者のうち、「暑さが原因でアルバイトを辞めたことがある」割合は13.3%だった。職種別でみると、[医療・介護・保育(20.0%)]が最も高く、次いで[軽作業(19.4%)]となった。【図1】
【図1】<アルバイト就業者>暑さが原因でアルバイトの仕事を辞めたことがある(単一回答)/マイナビ アルバイトの暑さ対策に関する調査レポート
アルバイト先の暑さ改善を望む人の割合
また、現在のアルバイト就業先の暑さについて「改善をしてほしいところがある」と答えた割合は37.6%で、職種別では[飲食・フード]が50.7%で最も高く、[工場・倉庫・建築・土木]が42.5%と続いた。【図2】
【図2】<アルバイト就業者>アルバイト従業先の暑さについて改善してほしいところがある(単一回答) /マイナビ アルバイトの暑さ対策に関する調査レポート
暑さ対策として企業が行うべき施策
「改善をしてほしいところがある」と答えた人に、企業に対して必要だと思う暑さ対策を聞いたところ、環境面では「空調設備の完備」が59.9%で最も多く、制度・ルール面では「水分補給等の休憩回数確保」が45.3%で多かった。【図3】
【図3】暑さ対策として企業が行うべき施策(複数回答) /マイナビ アルバイトの暑さ対策に関する調査レポート
【企業】暑さによる影響
- 夏の暑さが原因でアルバイトの離職があった企業は、4社に1社以上
- 2025年5月以降、暑さが原因で離職が増加すると思うと答えた企業は24.0%
暑さが原因でのアルバイト離職
アルバイトを雇用している企業のうち、「夏場に暑さが原因でアルバイトが離職したことがあった」割合は25.5%で、4社に1社以上だった。業種別でみると、[製造(37.5%)]が最も高く、次いで[建設(35.7%)]、[小売(34.2%)]と続いた。【図4】
【図4】夏場の暑さが原因で、アルバイトが離職したことがある(単一回答) /マイナビ アルバイトの暑さ対策に関する調査レポート
暑さが原因の離職の増減予測
また、「2025年5月以降に暑さが原因の離職が増えると思うか」を聞いたところ、増加すると思う割合(「大幅に増加すると思う」+「増加すると思う」+「少し増加すると思う」の合計)は24.0%だった。業種別では、[インフラ(35.0%)]が最も高く、次いで[建設(34.5%)]、[小売(31.6%)]となった。【図5】
【図5】2025年5月以降、暑さが原因の離職の増減予測(単一回答) /マイナビ アルバイトの暑さ対策に関する調査レポート
【企業】暑さ対策のための施策
- 行いたいが行えない施策は「ウォーターサーバーの設置」や「フレックス勤務制度の導入」がトップに
- 理由は、「コスト増」や「人材不足の懸念」の声も
暑さ対策に向けて、「行っている施策」と「行いたいが行えない施策」
アルバイトを雇用している企業が「暑さ対策で行っている施策」は、環境面では「空調設備の完備(52.8%)」、制度・ルール面では「水分補給等の休憩回数確保(48.9%)」が最も多かった。
一方で、「行いたいが行えない施策」では、環境面では「ウォーターサーバーの設置(25.4%)」、制度・ルール面では「フレックス勤務制度の導入(35.3%)」が最も多かった。【図6】
【図6】暑さ対策に向けて、「行っている施策」と「行いたいが行えない施策」(複数回答) /マイナビ アルバイトの暑さ対策に関する調査レポート
暑さ対策を行いたいが行えない理由
行えない理由について自由回答で聞くと、環境面では「設備投資に資金がかかる」などコストの課題や、制度・ルール面では「人数が足りない」や「詳しい人材がいない」など人材不足の課題が挙がった。【図7】
【図7】暑さ対策を行いたいが行えない理由はなにか(自由回答・一部抜粋) /マイナビ アルバイトの暑さ対策に関する調査レポート
【企業】熱中症対策の義務化について
- 2025年6月から熱中症対策が義務化されることを知っている企業は65.1%
- 従業員数が少ない企業ほど、認知している割合が低い
アルバイトを雇用している企業で、2025年6月より熱中症対策が義務化されることを知っている(「義務化されることを知っており、内容も知っている」+「義務化されることは知っているが、内容は知らない」の合計)割合は65.1%だった。
従業員数別でみると、「従業員数10~50人未満」の企業で義務化されることを知っている割合は60.4%、「従業員数50~300人未満」の企業は70.3%、「従業員数300人以上」の企業は74.5%となり、従業員数が少ない企業ほど、熱中症対策の義務化についての認知度が低かった。【図8】
【図8】2025年6月より熱中症対策が義務化されることに対しての認知・理解(単一回答) /マイナビ アルバイトの暑さ対策に関する調査レポート
調査者コメント
近年夏の猛暑が心配される中、暑さが原因でアルバイトを離職したことがある人が13.3%いることが明らかになりました。またアルバイトを雇用する企業の4社に1社が、職場の暑さによってアルバイトの離職が発生していることを認知しており、今年も離職が増加することを懸念する企業もあるようです。
働き手からは職場の暑さに対する改善を求める声が上がる一方で、企業側ではコストや人員不足などから、対策を行いたいが行えないという声もみられました。こうした中、2025年6月からは労働安全衛生規則の改正により、企業に対して熱中症対策の実施が義務付けられることになりました。報告体制の整備や、症状の悪化を防ぐための措置の準備・周知などが求められます。
熱中症は、屋外はもちろんですが、屋内業務においても注意する必要があります。アルバイト就業者は自身の体調を把握し、異変を感じた際にはすぐに周りに知らせ、適切な対処を取ることが大切です。
また、企業も雇用者が健康に活躍できるように、実現可能な範囲で効果的な暑さ対策を検討・実施し、働く人への配慮を示していくことが、今後ますます求められるのではないでしょうか。
キャリアリサーチラボ 研究員 嘉嶋 麻友美
調査概要
内容 |
マイナビ アルバイトの暑さ対策に関する調査レポート |
調査期間 |
2025年5月1日(木)~ 2025年5月7日(水) |
調査対象 |
<個人>
全国の15-69歳の男女(中学生を除く)のうち、アルバイトの仕事をしている人
<企業>
従業員数10名以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員で、自社の採用方針を把握しており、アルバイトを雇用しているとした人
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調査方法 |
インターネット調査 |
有効回答数 |
個人:511件 企業:708件
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