- AIを利用したことがある学生は2年前から倍増し、82.7%。就職活動での利用率は66.6%
- 企業が選考の評価検討でAIを使うことについて、「適性検査」は賛成、「面接」は反対。
- 学生が一次面接で選びたい面接手法は「WEB面接」。最終面接に向けて「対面面接」希望が増加。
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、2026年卒業予定の全国の大学生・大学院生を対象に実施した、「マイナビ 2026年卒 大学生キャリア意向調査4月<就職活動におけるAI利用>」の結果を発表しました。
トピックス
- AIを利用したことがある学生は2年前から倍増し、82.7%。就職活動での利用率は66.6%
- 就職活動でのAI利用の目的はエントリーシートの推敲のため(68.8%)
- 企業が選考の評価検討でAIを使うことについて、「適性検査」は賛成、「面接」は反対。
- 学生が一次面接で選びたい面接手法は「WEB面接」。最終面接に向けて「対面面接」希望が増加。
調査詳細
学生のAI利用
- AIを利用したことがある学生は2年前から倍増
- 就職活動での利用率は66.6%
学生のAI利用率
学生にAI利用について聞いたところ、利用したことのある学生は82.7%であった。2024年卒の学生の利用率は39.2%であったため、利用者は2年で倍増した結果であった。【図1】
【図1】学生のAI利用率 / 2026年卒 大学生キャリア意向調査4月<就職活動におけるAI利用について>
学生の就職活動におけるAI利用
AI利用について詳細をみていくと最も回答が多かったのは「就職活動やそれ以外でも利用がある(62.3%)」というものであり、学生の生活の中でAI利用が身近になっていることがわかる。また、就職活動で利用経験のある学生は66.6%と半数以上の学生が就職活動でも利用していることがわかった。【図2】
【図2】学生のAI利用/ 2026年卒 大学生キャリア意向調査4月<就職活動におけるAI利用について>
学生の就職活動におけるAI利用(目的・理由)
- 就職活動でのAI利用の目的はエントリーシートの推敲のため(68.8%)
- 理由は作業時間の短縮(62.6%)が最多回答となる
就職活動でのAI利用の目的を聞いたところ、回答が多かったのはエントリーシート作成(40.8%)、推敲(68.8%)とエントリーシートの作成においてよく利用されていることが示された。また、昨年と比較して面接対策の割合が大きくなっている。AI利用において文章の生成・推敲が主要な目的であることは変わりないが、それ以外にも面接対策としての利用も広まっているようだ。【図3】
【図3】就職活動におけるAIの利用方法 / 2026年卒 大学生キャリア意向調査4月<就職活動におけるAI利用について>
理由については「作業時間の短縮(62.6%)」、「AIによって自身のアウトプットを改善・改良するため(58.0%)」とタイムパフォーマンスを重視する現在の学生の価値観に沿ったものが多くあげられた。エントリーシートでの利用が多いこともAIの機能の特性とタイムパフォーマンスの高さが理由であると推測される。【図4】
【図4】就職活動におけるAI利用の理由 / 2026年卒 大学生キャリア意向調査4月<就職活動におけるAI利用について>
企業が選考の評価検討でAIを使うことについて学生の意見
- 企業が選考の評価検討でAIを使うことについて、「適性検査」は賛成、「面接」は反対
企業が選考の評価検討でAIを使うことについて学生の意見
企業がAIを利用して選考の評価検討をすることについて学生の賛否を聞いたところ、選考内容によって反応が異なっていた。賛成(※)が多かったのは適性検査の評価検討(49.8%)であり、反対(※)が多かったのは面接内容の評価検討であった(47.5%)。【図5】
【図5】企業の選考においてAIを利用することの賛否 / 2026年卒 大学生キャリア意向調査4月<就職活動におけるAI利用について>
自分自身について数値などで結果がでる適性検査ではAIの利用は受け入れられるが、人柄など数値で表すことの難しいものを評価する面接では受け入れられづらいのであろう。
※賛成=「積極的に使ってよいと思う」、「どちらかというと使ってよいと思う」
反対=「全く使ってよいとは思わない」、「どちらかというと使ってよいとは思わない」
面接手法における受験意欲と受験希望
- 受験意欲の高まる面接は「対面面接・WEB面接」
- 受験意欲の下がる面接は「動画選考・AI面接」
- 学生が一次面接で選びたい面接手法は「WEB面接」、最終面接に向けて「対面面接」希望が増加
受験意欲の高まる面接・選考手法
企業から指定された面接手法によって「受験意欲」に影響があるかどうかを調査したところ、受験意欲が高まるという回答が多かったものは「対面面接・WEB面接」、反対に意欲が下がるという回答が多かったものは「動画選考・AI面接」であった。そのため、受験意欲の高まりについては時間や場所を問わず受験できるという利便性よりも対人かどうかが大きく影響していることが推測される。【図6】
【図6】面接・選考手法が受験意欲へ影響を及ぼすか / 2026年卒 大学生キャリア意向調査4月<就職活動におけるAI利用について>
学生が希望する面接・選考手法
面接手法を選べる場合にどの手法を選ぶかを聞くと、一次面接ではWEB面接を選ぶ割合が最も多く(79.3%)、それ以降は対面面接を選ぶ割合が増えていき、最終面接では対面面接が最も選ばれた(85.0%)。
上記より、対人が受験意欲に影響を及ぼすことがわかったが、特に重要な面接においてはWEBではなく対面でのコミュニケーションが選ばれることがわかった。【図7】
【図7】面接・選考手法を選べる場合、どれを選ぶか / 2026年卒 大学生キャリア意向調査4月<就職活動におけるAI利用について>
新卒学生と転職経験者の面接における意識の違い
転職動向調査より2024年に転職を行い現在正社員として働いている20代~50代の男女(以降、転職経験者と表記する)と新卒学生で面接手法による受験意欲の影響について比較をしたところ、新卒学生では面接によって受験意欲が大きく変化することが示されたが、転職経験者では新卒学生ほど面接の影響はみられなかった。【図8】
【図8】面接・選考手法が受験意欲へ影響を及ぼすか / マイナビ 転職動向調査2025年版(2024年実績)
新卒学生と特に差が大きくみられた動画エントリーシート・動画選考とAI面接について、転職経験者の受験意欲が高まる理由をみていくと動画選考では「緊張しなさそうだから(29.6%)」、AI面接では「気楽に受けられそうだから(30.9%)」が最多回答であった。
どちらの手法でも受験に対するハードルが低いと感じていることが推測される。また、どちらの手法でも「新しいものを導入している会社だと好感が持てるから」も上位にあげられていた。【図9】
【図9】【転職経験者】受験意欲が高まる理由 / マイナビ 転職動向調査2025年版(2024年実績)
反対に新卒学生の受験意欲が下がる理由をみると動画選考では「面倒だから(48.6%)」「やったことがないから(37.2%)」と受験に対して消極的な気持ちが回答として多かった。
また、AI面接では「人に評価してほしいから(41.2%)」、「AI(機械)に判断されたくないから(38.2%)」と人に評価してもらうことを希望していることが推測される。【図10】
【図10】【新卒学生】受検意欲が下がる理由 / 2026年卒 大学生キャリア意向調査4月<就職活動におけるAI利用について>
これらの結果から、学生は転職経験者と比較して動画選考では受験のハードルを高く感じていること、AI面接では人に評価されることをより強く希望していることが推測される。
新卒採用では一括採用を行う企業が多いため、学生にとって選考は一定期間に集中する。過密なスケジュールの中、あまり経験したことの無い動画選考やAI面接については、対策や準備への不安から、ハードルが高く感じるのも無理はない。また、経験者採用の多い中途採用と違って、新卒採用では明確なスキル・能力以外の部分でポテンシャルを見極めようとすることが多い。コミュニケーション能力や熱意といったものは数字で測ることが難しく、学生からすると、そうした点をAIが正しく評価してくれるのだろうかという疑念も沸くだろう。そうした背景が、学生と転職経験者との、面接手法への意識の差に繋がっていると考えられる。
調査概要
内容 |
2026年卒 大学生キャリア意向調査4月<就職活動におけるAI利用について>
|
調査期間 |
2025年4月25日(金)~2025年4月30日(水) |
調査対象 |
2026年3月卒業予定の全国の大学生、大学院生 |
調査方法 |
マイナビ2026会員(退会者含む)にWEB DMを配信し、インターネットアンケートより回収 |
有効回答数 |
1,385名 |
詳しくは「PDFデータをダウンロードする」をご覧ください