- アルバイトをしている大学生の「経済的なゆとりがない」割合は54.8%で、調査開始以来最高。アルバイトの目的は、「社会経験」よりも「お金のため」
- 「年収の壁」に対して就業調整をしている割合は54.6%。このうち、年収の壁を「引き上げるべき」とした割合は72.5%。理由は「生活費が高騰しているから」が最多
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、大学1年生から4年生を対象とした、「大学生アルバイト調査(2025年)」を発表しました。調査詳細はレポート内容を抜粋しています。
調査詳細
経済的なゆとり
- アルバイトをしている大学生の「経済的なゆとりがない」割合は54.8%で、調査開始以来最高。アルバイトの目的は、「社会経験」よりも「お金のため」
アルバイトをしている大学生に「経済的なゆとり」の状況を聞いたところ、「経済的なゆとりがない」が54.8%(「あまりゆとりがない」+「全くゆとりがない」)で前年から5.6pt増加し、調査を開始した2022 年以来最高となった。【図1、2】
【図1】経済的なゆとりの状況/マイナビ「大学生のアルバイト調査(2025年)」
※回答ベース:現在アルバイト就業中の18~23歳の大学1~4年生
【図2】経済的なゆとりの状況/マイナビ「大学生のアルバイト調査(2025年)」
※回答ベース:現在アルバイト就業中の18~23歳の大学1~4年生
アルバイトをする目的
アルバイトをする目的(複数回答)について聞くと、「貯金をするため(53.7%)」「趣味のため(52.6%)」「自分の生活費のため(34.0%)」などの「お金のため」に関する項目が上位を占め、「社会経験を積むため(30.4%)」「スキルを身につけるため(16.8%)」「就職活動に活かすため(15.9%)」などの「社会経験」に関する項目よりもスコアが高かった。【図3】
【図3】アルバイトをする目的/マイナビ「大学生のアルバイト調査(2025年)」
※回答ベース:現在アルバイト就業中の18~23歳の大学1~4年生
収入と支出
- 一人暮らしをしている大学生のアルバイト平均月収は59,000円
- 一人暮らしの1カ月の生活費は平均55,200円
大学生のアルバイト月収は平均59,100円に対して、希望するアルバイト月収は平均81,800円で、22,700円の差があった。
アルバイト平均月収と1カ月あたりの平均の生活費を比較すると、一人暮らしの大学生ではアルバイト月収が平均59,000円に対して、生活費は平均55,200円となり、その差額は3,800円だった。一人暮らしの大学生は、支出における生活費の負担が大きい様子がうかがえる。【図4】
![【図4】月収・希望月収・1カ月あたりの生活費(平均)/マイナビ「大学生のアルバイト調査(2025年)」
※回答ベース:現在アルバイト就業中の18~23歳の大学1~4年生 ※外れ値除外/答えたくないの回答除外]()
【図4】月収・希望月収・1カ月あたりの生活費(平均)/マイナビ「大学生のアルバイト調査(2025年)」
※回答ベース:現在アルバイト就業中の18~23歳の大学1~4年生 ※外れ値除外/答えたくないの回答除外
就業調整・年収の壁
- 「年収の壁」に対して就業調整をしている割合は54.6%「103万円以下」で就業調整をしている大学生の割合は94.3%
就業調整をしている割合
アルバイトをしている大学生のうち、「年収の壁」に対して就業調整をしている割合は54.6%。【図5】
【図5】就業調整をしている割合(2025年2月時点)/マイナビ「大学生のアルバイト調査(2025年)」
※回答ベース:現在アルバイト就業中の18~23歳の大学1~4年生 ※外れ値除外/答えたくないの回答除外
年収の壁の種類
就業調整している人のうち、「103万円以下」で調整をしている割合は94.3%(「100万円を超えないようにしている」+「103万円を超えないようにしている」)で、2025年2月の調査時点では、多くの大学生が「103万円の壁」を意識して働く時間や収入を調整していることがわかる。【図6】
【図6】年収の壁の種類・就業調整ライン(2025年2月時点)/マイナビ「大学生のアルバイト調査(2025年)」
※回答ベース:現在アルバイト就業中の18~23歳の大学1~4年生 ※外れ値除外/答えたくないの回答除外
年収の壁の引き上げに対する考え
- 年収の壁を「引き上げるべき」とした割合は72.5%
- 理由は「生活費が高騰しているから」が最多
年収の壁の上限額を引き上げるべきと考えるか
就業調整をしている大学生に「年収の壁の上限額を引き上げるべきだと考えるか」を聞いたところ、「引き上げるべき」とした割合は72.5%(「引き上げるべきだと考える(45.7%)」+「どちらかといえば引き上げるべきだと考える(26.8%)」)となった。【図7】
【図7】年収の壁の上限額を引き上げるべきと考えるか(2025年2月時点)/マイナビ「大学生のアルバイト調査(2025年)」
※回答ベース:就業調整をしている大学生
年収の壁の上限額を引き上げるべきだと考える理由
「年収の壁の上限額を引き上げるべき」だと考える理由(複数回答)では、「生活費が高騰しているから」が44.7%で最も多く、「自分の手取りが増えるから(44.6%)」、「最低賃金が上がっているから(43.2%)」と続いた。【図8】
【図8】年収の壁の上限額を引き上げるべきだと考える理由/マイナビ「大学生のアルバイト調査(2025年)」
※回答ベース:就業調整をしており、年収の壁を引き上げるべきとした大学生
生活に必要なお金が増えている現状と、そのために収入を増やしたいというニーズがうかがえる。
調査担当者コメント
アルバイトをする大学生の厳しい経済事情がうかがえました。「経済的なゆとりがない」とする割合は過去最高となり、アルバイトの目的は仕事を通じた社会経験よりも「お金を得ること」を重視する傾向が表れています。
物価高騰などで生活費を含む支出のベースが上がる中で、アルバイト収入が『生活の足し』というよりも、『生活に欠かせないもの』になっている学生も少なくないのではないでしょうか。就業調整をしている学生の多くが年収の壁を引き上げることを望む結果からも、今よりもっと収入を増やして暮らしにゆとりを持たせたいというニーズがうかがえます。
学生生活のために必要な金額は人によって様々ですが、「年収の壁」による制限や低い時給が原因で十分な収入を得ることができない状況は本来的ではありません。アルバイトによる収入や経験が大学生活を補完し豊かにするような社会的な賃金の枠組みについて、さらに議論を深めていくことが必要と考えます。
キャリアリサーチラボ 研究員 宮本 祥太
調査概要
内容 |
大学生のアルバイト調査(2025年) |
調査期間 |
2025年2月17日~2月25日 |
調査対象 |
18~23歳の大学1年生~4年生※短期大学、専門学校、大学院生は除く |
調査方法 |
インターネット調査 |
回答数 |
SC調査:5,031サンプル/本調査:903サンプル |
レポート内目次
- 大学生のアルバイト就業実態
- 大学生のアルバイト探し
- 大学生の就業意識
- 現在のアルバイト先への意識
- アルバイトにおける就職活動の意識
- Appendix
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