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派遣社員の意識・就労実態調査(2024年版)

  • 今後も派遣社員として働きたい人が約5割
  • 正社員を希望する派遣社員の8割以上が“正社員への壁”を感じている結果に

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、派遣社員として勤務する20〜59歳の男女を対象に実施した、「派遣社員の意識・就労実態調査(2024年版)」の結果を発表しました。なお、本調査は2019年から実施し、今回で6回目となります。

トピックス

  • 今後も派遣社員として働きたい人は約5割で、正社員になりたい人の約2倍
  • 正社員を希望する派遣社員の8割以上がハードルの高さを感じている。スキルや資格、年齢などを理由に難しいと思うとの声も
  • 派遣先や派遣元から、正社員化への誘いを受けやすいのは正社員経験者。一方、正社員経験がなくても自らの申し出により、7割の派遣社員が正社員化
  • 派遣社員の4人に1人以上が派遣元のスキルアップ制度を利用。スキルアップ制度の利用有無による時給差は200円以上

調査詳細

今後の就業意向

  • 今後も派遣社員として働きたい人は約5割で、正社員になりたい人の約2倍

今後の雇用形態意向

今後も派遣社員として働きたい人は48.2%(前年比3.9pt増)で約5割だった。【図1】

【図1】今後の雇用形態意向
【図1】今後の雇用形態意向

派遣社員の勤務・働き方と正社員の差

過去に正社員として働いた経験のある人に、正社員と派遣社員の違いを聞くと、最も差があったのは、「飲み会の誘いなどを断りやすく、人間関係で悩まない(正社員との差47.4pt)」で、「時間的なゆとりがある(正社員との差45.0pt)」「未経験の業種職種の仕事に就きやすい(正社員との差41.2pt)」と続いた。

また今後の就業意向別でみると、派遣社員継続意向の人は、正社員と比較して「時間的なゆとりがある(正社員との差52.8pt)」が最も差が大きく、次いで「飲み会の誘いなど断りやすく、人間関係で悩まない(正社員との差51.7pt)」「働き方に多様性がある(正社員との差49.6pt)」となった。

派遣社員は、働き方の融通が利き多様性があること、人間関係のストレスが緩和すると感じている人も多く、派遣社員の継続意向に影響を与えていると考えられる。【図2】

【図2】派遣社員の勤務・働き方と正社員の差
【図2】派遣社員の勤務・働き方と正社員の差

正社員化に対してのハードル意識

  • 正社員を希望する派遣社員の8割以上がハードルの高さを感じている
  • スキルや資格、年齢などを理由に難しいと思うとの声も

今後、正社員になりたいと回答した派遣社員は26.6%(前年比3.2pt減)で、そのうち正社員になることが難しいと感じている割合は86.1%だった。

難しいと思う理由としては、「年齢制限が正社員になるにはあると思うから」が47.7%で最も高く、次いで「今のスキルでは足りないと思うから」が30.2%、「派遣社員から正社員雇用された方をあまり見ないから」が28.3%となった。【図3】

【図3】正社員化に対してのハードル意識
【図3】正社員化に対してのハードル意識

正社員化のハードルを下げる要素

また、正社員になるハードルを下げる要素を聞くと、「企業が求めるスキルを身につけている」「資格と経験がある」「即戦力としての武器がある」「未経験から育ててくれる会社が増えれば」などの回答が目立った。【図4】

【図4】正社員化のハードルを下げる要素
【図4】正社員化のハードルを下げる要素

正社員化の誘い・申し出

  • 派遣先や派遣元から、正社員化への誘いを受けやすいのは正社員経験者
  • 一方正社員経験がなくても自らの申し出により、7割弱の派遣社員が正社員化

「派遣先や派遣元から正社員化の誘いを受けた」割合は32.6%で、「派遣先や派遣元に自ら正社員化の申し出を行った」割合は8.0%だった。正社員経験の有無別でみると、経験のある人が正社員化の誘いを受けたのは34.5%に対し、正社員未経験者は24.6%と正社員経験の有無により差がある。

一方で、自ら正社員化を申し出た割合をみると、正社員経験者は6.3%、正社員未経験者は15.4%となり、申し出の後に正社員化された割合では、正社員経験者が38.9%、正社員未経験者では67.5%で、正社員経験がなくても自らの申し出により、7割弱の派遣社員が正社員化されている。

派遣社員は正社員化のハードルを高く感じているが、「自主的な発信」を行うことで正社員化されるケースも多く、派遣社員の積極的な姿勢を企業も評価していることが考えられる。【図5】

【図5】正社員化の誘い・申し出
【図5】正社員化の誘い・申し出

スキルアップ制度による昇給額の違い

  • 派遣社員の4人に1人以上が派遣元のスキルアップ制度を利用
  • スキルアップ制度の利用有無による時給差は200円以上

スキルアップ制度利用有無別の派遣雇用への満足度の違い

派遣社員として働く人で、派遣元のスキルアップ制度(新しいスキルや知識を身につけ、今後のキャリアパスを多様化するための制度)を利用したことがある人は28.1%だった。

派遣社員として働いていることへの満足度を聞くと、スキルアップ制度の利用者は「満足している」が81.4%に対し、非利用者は68.6%と、利用の有無で満足度に差がみられた。【図6】

【図6】スキルアップ制度利用有無別の派遣雇用への満足度の違い
【図6】スキルアップ制度利用有無別の派遣雇用への満足度の違い

派遣先の昇給額

また、現在の平均時給はスキルアップ制度利用者(平均1,619円)が非利用者(平均1,417円)より202円高く、派遣先での昇給額も利用者(平均+109円)が、非利用者(平均+70円)を39円上回った。

スキルアップ制度の利用を行うことは、派遣社員にとってスキル向上や昇給につながるため、今後も積極的な推進が求められる。【図7】

【図7】派遣先の昇給額
【図7】派遣先の昇給額

調査担当者コメント

今回の調査では、将来的に正社員のキャリアを希望する派遣社員のほとんどが、「スキル不足」等の理由で、正社員になることに対して高いハードルを感じていることがわかりました。

派遣社員から正社員になる方法として、転職ではなく現在の派遣先で正社員化されるという方法も考えられます。正社員経験がなくても、派遣先や派遣元に自ら正社員化を申し出て正社員となった人が、7割弱いることからも、正社員化のハードルの高さはアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)となってしまっているケースがあることも類推されます。

派遣社員と正社員には、それぞれの働き方にメリットが存在します。個々の状況や希望に合わせ、スキルを習得し昇給を目指したり、現在の派遣先や派遣元に正社員化の申し出をしてみることで、希望のキャリアに繋がっていくのではないでしょうか。

                          キャリアリサーチラボ 研究員 嘉嶋麻友美

調査概要

内容  派遣社員の意識・就労実態調査(2024年版)
調査期間 2024年7月9日(火)~2024年7月16日(火)
調査対象

派遣社員として対象職種※で勤務する20~59歳の男女

※対象職種:オフィスワーク・事務/販売/サービス/テレオペ・テレマーケティング/機械・電気・IT・エンジニア技術・開発・通信系/クリエイティブ系/医療・介護・福祉関連業務/製造/配送・輸送・物流

調査方法 インターネット調査
有効回答数 1,400件

レポート内目次

  1. 回答者のプロフィール
  2. 就労意識・実態
  3. 派遣元/派遣先選びの実態
  4. 派遣元/派遣先の定着につながるポイント
  5. 今後の就労意向
  6. 派遣社員以外の雇用形態との比較、派遣就業先への正社員転換の状況
  7. 派遣3年ルール/機密情報取り扱い

詳しくは「PDFデータをダウンロードする」をご覧ください

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