年代別の「静かな退職割合」と「実施理由」とは?-シリーズ「静かな退職」を考える4-

朝比奈あかり
著者
キャリアリサーチLab研究員
AKARI ASAHINA

「静かな退職」とはキャリアアップや昇進などを目指さずに、必要最低限の仕事をこなす働き方のこと。本シリーズでは、マイナビが実施した「正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)」をもとに「静かな退職」に着目し、その特徴を分析している。

前回は「静かな退職をしている20代と50代の世代間ギャップ」についてまとめた。第4回となる本コラムでは、同じくマイナビが実施した調査をもとに、30代・40代を含めた全年代についてまとめる。「静かな退職割合」や「静かな退職をしている理由」、「静かな退職を続けたい割合」についての年代別データを分析していく。

静かな退職とは

静かな退職とは、実際に退職をするわけではなく、退職が決まった従業員のような余裕を持った精神状態で、キャリアアップや昇進などを目指さずに、必要最低限の仕事をこなす働き方のことを指す。静かな退職が注目されている背景については以下のコラムで詳しく解説している。

正社員全体の傾向

経年でみる「静かな退職」をしている割合

マイナビが20代~50代の正社員を対象に行った「正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)」では、「静かな退職」をしている割合は44.5%となった。2024年の全体傾向については、以下の第1回のコラムで解説している。

経年で静かな退職割合を見ると、2023年は48.2%、2024年は44.5%となった。まだ2年目の調査であるため、傾向は長い目で見る必要があるが、前年から「静かな退職割合」は減少した。

「静かな退職」という価値観は以前から既に存在しており、それが近年「静かな退職」というキーワードで言語化されたと考えられ、爆発的に増える・減るものではないと推察しているが、今後も傾向を注視していきたい。【図1】

【図1】静かな退職割合経年比較/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
【図1】静かな退職割合経年比較/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)

静かな退職をしている理由

正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)」より、「静かな退職をするに至ったきっかけを含め、現在している理由」の自由回答結果から、静かな退職の「きっかけタイプ」を4つに分類した。タイプ比率は以下の通りとなっており、各タイプ大きな偏りなく満遍なく分布していることが分かる。【図2】

【図2】静かな退職きっかけ4タイプ/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
【図2】静かな退職きっかけ4タイプ/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
※「特になし」「なんとなく」などと回答した『理由がない人』も少なくなかったが、
静かな退職の背景にある要因を分析することが難しいため、分析対象から除外している

A:不一致タイプ……仕事・環境の不適合による意欲低下が起因しているタイプ
B:評価不満タイプ……処遇・評価に対する不平不満が起因しているタイプ
C:損得重視タイプ……報酬や昇進の損得を考え現状維持を求めるタイプ
D:無関心タイプ……そもそもの価値観として変化・上昇を求めないタイプ

それぞれのタイプについて、詳しくは第1回のコラムで解説している。

静かな退職を続けたい割合(4タイプ別)

静かな退職をしているきっかけ4タイプごとに「今後、静かな退職を続けたいと思っているか」を聞いたところ、『静かな退職を続けたい計』は68.8%となった。回答を細かく見ると、もっとも多かったのは『働いている間はずっと「静かな退職」を続けたい』で30.2%となっている。

静かな退職のきっかけ4タイプごとに見ると、静かな退職を続けたい割合がもっとも低いのは「A:不一致タイプ」で、もっとも高いのは「D:無関心タイプ」となった。A,Bタイプは外発的な出来事で静かな退職をしている傾向にあり、静かな退職をやめたいと思っている人が全体よりも多い。一方でC,Dタイプはもともとの価値観や思考によって静かな退職をしている傾向にあり、静かな退職を続けたいと思っている人が全体よりも多い傾向にあった。【図3】

【図3】静かな退職を続けたい割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
【図3】静かな退職を続けたい割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
A:不一致タイプ……仕事・環境の不適合による意欲低下が起因しているタイプ
B:評価不満タイプ……処遇・評価に対する不平不満が起因しているタイプ
C:損得重視タイプ……報酬や昇進の損得を考え現状維持を求めるタイプ
D:無関心タイプ……そもそもの価値観として変化・上昇を求めないタイプ

こちらも詳しくは第1回のコラムで解説している。

20代の静かな退職

ここからは年代別に静かな退職のデータについてまとめていく。

20代の静かな退職割合(経年比較)

20代の静かな退職割合を経年で比較すると、2023年は46.6%、2024年は46.7%とほぼ同等の数値となった。他の年代と比較すると、静かな退職割合が減少しなかったのは20代のみだった。【図4】

【図4】20代の静かな退職割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
【図4】20代の静かな退職割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)

20代の静かな退職理由(ランキング)

20代の静かな退職理由について、きっかけタイプのランキングを見ていく。

1位 C 損得重視タイプ  28.9% 
2位 A 不一致タイプ  28.2% 
3位 D 無関心タイプ  26.2% 
4位 B 評価不満タイプ  16.7%

1位は「C 損得重視タイプ」で28.9%となった。報酬や昇進の損得を考え現状維持を求めるタイプが多数派であるようだ。

次いで、2位は「A 不一致タイプ」で28.2%となっており、仕事・環境の不適合についても影響が大きい可能性があるとうかがえる。

上位のタイプについて実際の自由回答もいくつか紹介する。【図5】

タイプ自由回答
C 損得重視タイプキャリアアップすると、仕事量が増えてプライベートの時間が確保できなくなるから【20代】
C 損得重視タイプ仕事はあくまでもお金のため。仕事のやりがいは感じられないので、キャリアアップも望まない。それなりの給料が貰えれば良い。どちらかと言えば、プライベートの方を充実させたい。【20代】
A 不一致タイプ一つの仕事内容を続けて任されず、小さな改修案件をやり続けてきたり無理な職場にアサインされたりと仕事のやりがいややりたいことが分からなくなった。しかし生きるために仕事はやらなければならず、ただ仕事をして給料がもらえればそれでよいという考えになった。【20代】
【図5】20代の静かな退職のきっかけ/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)

20代の静かな退職を続けたい割合

20代の静かな退職を続けたい割合について見ていく。20代の静かな退職を続けたい割合は計66.7%、続けたくない割合は計33.3%となった。全体と比較すると「続けたくない」という回答がやや上高い。

細かな回答を見ると、もっとも多かったのは「働いている間はずっと静かな退職を続けたい」で29.9%、次いで「できるだけ静かな退職を続けたい」で22.8%、次いで「何かきっかけがあれば静かな退職はやめたい」で20.4%となった。全体と比べて、「何かきっかけがあれば静かな退職はやめたい」がやや高い傾向にある。

静かな退職者4タイプ別に「静かな退職を続けたい割合」を見ると、20代でもっとも多かった「C:損得重視タイプ」では「働いている間はずっと静かな退職を続けたい」が41.2%と全体よりも10pt以上高かった。次いで多かった「A:不一致タイプ」では「何かきっかけがあれば静かな退職はやめたい」「静かな退職をやめるために転職や異動などの準備をしている」が全体よりもそれぞれ約10pt高かった。【図6】

【図6】20代の静かな退職を続けたい割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
【図6】20代の静かな退職を続けたい割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
A:不一致タイプ……仕事・環境の不適合による意欲低下が起因しているタイプ
B:評価不満タイプ……処遇・評価に対する不平不満が起因しているタイプ
C:損得重視タイプ……報酬や昇進の損得を考え現状維持を求めるタイプ
D:無関心タイプ……そもそもの価値観として変化・上昇を求めないタイプ

20代まとめ

20代は損得重視で「静かな退職」を選択
「静かな退職をやめる」という選択肢もフラットに存在し、転職などの準備も実施

20代は、報酬と仕事内容や責任のバランスを考えて損得を重視して「静かな退職」を選ぶ傾向が見られ、全体と比べて「何かきっかけがあれば静かな退職はやめたい」がやや高い結果となった。

前回コラムでも述べたように、20代は仕事は仕事、私生活は私生活と割り切って考え、自分の資源(時間・エネルギー)を自己調整しているような姿勢も感じられた。このような調整の中でバランスに変化があったとき、「静かな退職をやめる」という選択肢もフラットに存在しているのではないのだろうか。

20代の静かな退職者については以下のコラムでも詳しく解説している。

30代の静かな退職

30代の静かな退職割合(経年比較)

30代の静かな退職割合を経年で比較すると、2023年は47.5%、2024年は41.6%となり、5pt以上減少した。他の年代と比較すると、30代は静かな退職割合がもっとも減少している。【図7】

【図7】30代の静かな退職割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
【図7】30代の静かな退職割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)

30代の静かな退職理由(ランキング)

30代の静かな退職理由について、きっかけタイプのランキングを見ていく。

1位 A 不一致タイプ  29.9%
1位 D 無関心タイプ  29.9%
3位 C 損得重視タイプ  22.2%
4位 B 評価不満タイプ  18.1%

1位は「A 不一致タイプ」と「D 無関心タイプ」で同率29.9%となった。仕事・環境の不適合による意欲低下が起因しているタイプ、そもそもの価値観として変化・上昇を求めないタイプが多数派であるようだ。

上位のタイプについて実際の自由回答もいくつか紹介する。【図8】

タイプ自由回答
A 不一致タイプ人間関係などから仕事上でのモチベーションが低く、決まった仕事をこなしてやり過ごしている。【30代】
A 不一致タイプ今の仕事が嫌いではあるが転職するのも面倒で、できればセミリタイアしたいためとりあえず今は何事にも目をつむり担々仕事をこなそうと思うから。【30代】
D 無関心タイプ決められた仕事以上に何かをしたいとは思わないし、やりがいのためにはたらいているわけではないから。【30代】
【図8】30代の静かな退職のきっかけ/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)

30代の静かな退職を続けたい割合

30代の静かな退職を続けたい割合について見ていく。30代の静かな退職を続けたい割合は計66.7%、続けたくない割合は計33.3%となった。全体と比較すると「続けたくない」という回答がやや高い。

細かな回答を見ると、もっとも多かったのは「働いている間はずっと静かな退職を続けたい」で28.5%、次いで「できるだけ静かな退職を続けたい」で23.6%、次いで「何かきっかけがあれば静かな退職はやめたい」で22.2%となった。

静かな退職者4タイプ別に「静かな退職を続けたい割合」を見ると、30代でもっとも多かった「A:不一致タイプ」では「何かきっかけがあれば静かな退職はやめたい」が32.6%と全体よりも10pt以上高かった。また同様にもっとも多かった「D:無関心タイプ」では「働いている間はずっと静かな退職を続けたい」が44.2%と全体よりも10pt以上高かった。【図9】

【図9】30代の静かな退職を続けたい割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
【図9】30代の静かな退職を続けたい割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
A:不一致タイプ……仕事・環境の不適合による意欲低下が起因しているタイプ
B:評価不満タイプ……処遇・評価に対する不平不満が起因しているタイプ
C:損得重視タイプ……報酬や昇進の損得を考え現状維持を求めるタイプ
D:無関心タイプ……そもそもの価値観として変化・上昇を求めないタイプ

30代まとめ

30代は仕事・環境との不適合で「静かな退職」を選択
価値観の明確化が進み、環境の変化などの影響も受けながら働き方を模索している

30代は仕事・環境の不適合やそもそもの価値観によって「静かな退職」を選ぶ傾向が見られ、全体と比べて、「何かきっかけがあれば静かな退職はやめたい」がやや高い結果となった。20代と30代で違いが見られたのは「静かな退職のきっかけ」だった。30代はキャリアを積んでいくなかで価値観の明確化が進んでいると考えられ、環境の変化などの影響も受けながら働き方を模索している可能性がある。

30代の働き方の模索について、「クォーターライフクライシス」という概念を以下のコラムでも詳しく解説している。

40代の静かな退職

40代の静かな退職割合(経年比較)

40代の静かな退職割合を経年で比較すると、2023年は47.4%、2024年は44.3%と減少した。前年と比較すると、特に「あまりそう思わない」の回答が増加した。【図10】

【図10】40代の静かな退職割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
【図10】40代の静かな退職割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)

40代の静かな退職理由(ランキング)

40代の静かな退職理由について、きっかけタイプのランキングを見ていく。

1位 A 不一致タイプ  33.3%
2位 D 無関心タイプ  26.2%
3位 B 評価不満タイプ  23.4%
4位 C 損得重視タイプ  17.0%

1位は「A 不一致タイプ」で33.3%となった。仕事・環境の不適合による意欲低下が起因しているタイプが多数派であるようだ。

次いで、2位は「D 無関心タイプ」で26.2%となっており、そもそもの価値観として変化・上昇を求めないタイプも一定数存在している可能性があるとうかがえる。

上位のタイプについて実際の自由回答もいくつか紹介する。【図11】

タイプ自由回答
A 不一致タイプ人間関係や顧客との関係性、そして自分のストレス耐性を考えた時にそう決断した。【40代】
A 不一致タイプ自分の意見を主張しても聞き入れて貰えず異動をさせられたり、異動をしても日によって他の勤務地で度々仕事をしなくてはならず、早朝の出勤などライフスタイルのバランスも取りづらいから。【40代】
D 無関心タイプ今以上に上を目指したいとは思わない。目の前にある業務を淡々とこなし、定時には帰りたい。【40代】
【図11】40代の静かな退職のきっかけ/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)

40代の静かな退職を続けたい割合

40代の静かな退職を続けたい割合について見ていく。40代の静かな退職を続けたい割合は計66.7%、続けたくない割合は計33.3%となった。全体と比較すると「続けたくない計」がやや高い。

細かな回答を見ると、もっとも多かったのは「できるだけ静かな退職を続けたい」で26.2%、次いで「働いている間はずっと静かな退職を続けたい」で25.5%、次いで「何かきっかけがあれば静かな退職はやめたい」で19.9%となった。全体と比べて、「働いている間はずっと静かな退職を続けたい」が低く、「できるだけ静かな退職を続けたい」が高い傾向にある。

静かな退職者4タイプ別に「静かな退職を続けたい割合」を見ると、40代でもっとも多かった「A:不一致タイプ」では「何かきっかけがあれば静かな退職はやめたい」が27.7%と全体よりも5pt以上高かった。【図12】

【図12】40代の静かな退職を続けたい割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
【図12】40代の静かな退職を続けたい割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
A:不一致タイプ……仕事・環境の不適合による意欲低下が起因しているタイプ
B:評価不満タイプ……処遇・評価に対する不平不満が起因しているタイプ
C:損得重視タイプ……報酬や昇進の損得を考え現状維持を求めるタイプ
D:無関心タイプ……そもそもの価値観として変化・上昇を求めないタイプ

40代まとめ

40代は仕事・環境との不適合で「静かな退職」を選択
「努力したが実らなかった」経験の蓄積が見られ、できるだけ「静かな退職」を続けたい傾向

40代は、仕事・環境の不適合が影響して「静かな退職」を選ぶ傾向がみられた。30代と40代で差が見られたのは、「A:不一致タイプ」における「続けたくない計」が低い傾向にある点だ。30代と比べて、40代は希望と一致しない環境でも静かな退職を望む傾向にある可能性がある。

40代の静かな退職のきっかけの自由回答を見ると、20代や30代に比べて「意見を聞き入れられてもらえなかった」など組織において「努力したが実らなかった」という回答が見られた。40代はこのような経験の蓄積によって「静かな退職」を選んでいる可能性がある。

ミドル層のキャリアについて、「ミッドライフクライシス(中年の危機)」という概念を以下のコラムでも詳しく解説している。

50代の静かな退職

50代の静かな退職割合(経年比較)

50代の静かな退職割合を経年で比較すると、2023年は51.0%、2024年は45.6%と減少した。前年と比較すると、特に「ややそう思う」の回答が減少した。【図13】

【図13】50代の静かな退職割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
【図13】50代の静かな退職割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)

50代の静かな退職理由(ランキング)

50代の静かな退職理由について、きっかけタイプのランキングを見ていく。

1位 A 不一致タイプ  33.1%
2位 B 評価不満タイプ  25.7%
3位 D 無関心タイプ  25.4%
4位 C 損得重視タイプ  15.8%

1位は「A 不一致タイプ」で33.1%となった。仕事・環境の不適合による意欲低下が起因しているタイプが多数派であるようだ。

次いで、2位は「B 評価不満タイプ」で25.7%となっており、処遇・評価に対する不平不満についても影響が大きい可能性があるとうかがえる。

上位のタイプについて実際の自由回答もいくつか紹介する。【図14】

タイプ自由回答
A 不一致タイプ今年から異動になりDXを推進する部署に配属されたが、仕事に対して自分が思い描いていたことと若干のズレがあり、仕事内容もよくわからず、指示されることもなく、毎日を無駄に過ごしていると言う点で静かな退職と呼べるのではないかと思います。【50代】
A 不一致タイプ上司とうまく行かず意見しても叶わないので、自分が正しいと思う仕事をする。ミスしないように配慮して働くと問題ない。【50代】
B 評価不満タイプ頑張っても昇進や昇格がないとわかった時。
現在やれることをやって成果が出ればよいかなという感じです。【50代】
【図14】50代の静かな退職のきっかけ/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)

50代の静かな退職を続けたい割合

50代の静かな退職を続けたい割合について見ていく。50代の静かな退職を続けたい割合は計72.7%、続けたくない割合は計27.0%となった。全体と比較すると「続けたい」という回答が高い。

細かな回答を見ると、もっとも多かったのは「働いている間はずっと静かな退職を続けたい」で33.4%、次いで「できるだけ静かな退職を続けたい」で23.2%、次いで「どちらかといえば静かな退職を続けたい」で16.1%となった。全体と比べて、「働いている間はずっと静かな退職を続けたい」が高く、「何かきっかけがあれば静かな退職はやめたい」が低い傾向にある。

静かな退職者4タイプ別に「静かな退職を続けたい割合」を見ると、50代で多かった「A:不一致タイプ」「B:評価不満タイプ」では、「静かな退職を続けたい計」が6割以上と他の年代の同タイプよりも高い傾向にあった。【図15】

【図15】50代の静かな退職を続けたい割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
【図15】50代の静かな退職を続けたい割合/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
A:不一致タイプ……仕事・環境の不適合による意欲低下が起因しているタイプ
B:評価不満タイプ……処遇・評価に対する不平不満が起因しているタイプ
C:損得重視タイプ……報酬や昇進の損得を考え現状維持を求めるタイプ
D:無関心タイプ……そもそもの価値観として変化・上昇を求めないタイプ

50代まとめ

50代は仕事・環境との不適合で「静かな退職」を選択
仕事への諦念が感じられ、静かな退職を続ける意思も強い

50代では、仕事・環境の不適合が影響して「静かな退職」を選ぶ傾向がみられ、評価に対する不満もあることがうかがえた。全体として、静かな退職を続けたいと考える割合は高く、特に「働いている間はずっと静かな退職を続けたい」の値は全年代でもっとも高い結果となった。

50代は40代以上に組織において「努力したが実らなかった」という回答が見られ、前回コラムで述べたように仕事への諦念が感じられ、静かな退職を続ける意思も強いものと考えられる。50代の静かな退職者については以下のコラムでも詳しく解説している。

まとめ

「静かな退職」に関する調査結果から、年代別の特徴が明らかになった。それぞれの年代の特徴と考察をまとめた表が以下である。

20代30代40代50代
静かな退職割合46.7%
(前年+0.1pt)
41.6%
(前年-5.9pt)
44.3%
(前年-3.1pt)
45.6%
(前年-5.4pt)
理由トップ
(4タイプ)
C 損得重視タイプ  A 不一致タイプ
D 無関心タイプ
A 不一致タイプA 不一致タイプ
続けたい割合66.7%66.7%66.7%72.7%
考察「静かな退職をやめる」という選択肢もフラットに存在し、転職などの準備も実施価値観の明確化が進み、環境の変化などの影響も受けながら働き方を模索「努力したが実らなかった」経験の蓄積が見られ、できるだけ「静かな退職」を続けたい傾向仕事への諦念が感じられ、静かな退職を続ける意思も強い
【図16】年代別の静かな退職特徴まとめ/正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
A:不一致タイプ……仕事・環境の不適合による意欲低下が起因しているタイプ
B:評価不満タイプ……処遇・評価に対する不平不満が起因しているタイプ
C:損得重視タイプ……報酬や昇進の損得を考え現状維持を求めるタイプ
D:無関心タイプ……そもそもの価値観として変化・上昇を求めないタイプ

最後に

各年代の特徴は異なったが、どの世代の働く人々にもそれぞれの背景や意志がある。企業は「静かな退職」を一概に否定するのではなく、個々の従業員の状況や価値観を理解し、積極的にコミュニケーションを取ることが重要だろう。

従業員一人ひとりの声すべてに耳を傾け、柔軟な対応をすることは現実的ではないものの、企業は「静かな退職」という価値観を理解し、折り合いをつける努力が求められているのではないだろうか。

マイナビキャリアリサーチLab研究員 朝比奈 あかり

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